富士電機技報
新製品紹介論文(2017年)

第6.5世代車載用圧力センサ 2017-S08

西川 睦雄 2017年12月18日

自動車用圧力センサの使用環境は高温化し,さまざまな電子機器から発生する電磁ノイズに対するEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)耐性の要求が厳しくなっている。加えて測定媒体(対象)は,従来大気が主であったものが排出ガスやガソリン,軽油などの気化燃料が混入する過酷なものへと適用範囲が拡大してきている。
富士電機はこのような要求に応えるため,2010年に量産を開始したデジタルトリミング型の第6世代圧力センサをベースに,高性能化を図った第6.5世代車載用圧力センサを開発した。

超高効率モールド変圧器「スーパーエコモルトラⅡ」 2017-S07

宮田 智一 2017年12月14日

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした環境配慮の取組みが進められ,トップランナー変圧器2014よりも省エネルギ―(省エネ)性能の高い製品の需要が高まっており,変圧器の省エネ化は次のステージを迎えている。
富士電機は,トップランナー変圧器2014を満たす製品として,2014年に「トップランナーモルトラ2014」を発売した。また,2015年にアモルファス合金を採用して最高変換効率を改善した「アモルファスモルトラ」を発売し,待機電力と呼ばれる無負荷損を大幅に低減した。さらに,2017年6月に発売した「スーパーエコモルトラⅡ」は,トップランナーモルトラ2014と比べて設置スペースは同等のままとし,トップランナー変圧器2014のエネルギー消費効率の基準値に対して,130%の達成率を実現した。

3レベル用 IGBT モジュール I-type“PrimePACKTM” 2017-S06

山本 紗矢香 2017年11月28日

近年,再生可能エネルギーが注目され,特に太陽光発電や風力発電の市場が伸びている。これらの分野では高電圧化や大容量化が進んでいる。さらに,発電効率の向上に加え,電力変換効率の向上が望まれている。
富士電機は,独自技術であるRB(Reverse Blocking)-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を中間スイッチに使用し,T-type3レベル電力変換回路を1パッケージ化したIGBTモジュールを既に量産している。また,大容量化に対応するため,大容量パッケージ“PrimePACKTM”を採用した汎用性の高い3レベル大容量モジュールを開発し,市場から高い評価を得ている。
今回,太陽光発電の高電圧化に対応するため,1,500Vの直流電源電圧に対応する3レベル用IGBTモジュールI-type PrimePACKTMを開発した。

第7世代「Xシリーズ」1,700V IGBT モジュール“PrimePACKTM” 2017-S05

山本 拓也 ・ 吉渡 新一 ・ 岡本 有人 2017年11月28日

近年,地球温暖化防止の観点からCO2排出量の削減が求められており,太陽光発電や風力発電などといった再生可能エネルギーの導入が伸びている。この分野において進んでいる電力変換装置の大容量化に伴い,大容量IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールの需要が拡大している。
大容量化が進む電力変換装置の小型化や低損失化,高信頼性化の要求が高く,それに応えるため,富士電機では第7世代「Xシリーズ」IGBTモジュールの製品系列において,“PrimePACKTM”(XシリーズPrimePACKTM)を開発した。

DFN8×8 パッケージの「Super J MOS S2 シリーズ」「Super J MOS S2FD シリーズ」 2017-S04

島藤 貴行 ・ 渡邉 荘太 ・ 安田 貴弘 2017年8月28日

富士電機は,パワーMOSFETの損失を改善するために従来のプレーナ型MOSFETに替え,スーパージャンクション構造を採用した第2世代低損失SJ-MOSFET「Super J MOS シリーズ」を提供してきた。
電源の電力変換部の小型化に対応するために,最新シリーズの「Super J MOS S2 シリーズ」(S2シリーズ)およびS2シリーズの寄生ダイオードを高速化した「Super J MOS S2FD シリーズ」(S2FDシリーズ)において,従来のD2-PACKパッケージよりも小型で薄型の面実装タイプのDFN(Dual Flat Nonlead)8×8パッケージに搭載した製品を系列化し,サンプル展開を開始した。

車載用第4 世代ハイサイドIPS「F5112H」 2017-S03

張  艶争 ・ 豊田 善昭 ・ 森澤 由香 2017年3月30日

近年,自動車の電子制御化に伴って電装システムの大規模化が進み,搭載する半導体への高信頼性,高機能化,低消費電流の要求が高まっている。エンジンやトランスミッション,ブレーキなどの電装システムには,IPS(Intelligent Power Switch)が使われている。
富士電機のハイサイド型IPSは,自己保護機能とともに状態出力端子を備えているので,電装システムの異常時に瞬時に保護をかけることができ,かつ異常であることをマイコン(CPU)に伝達してシステムの冗長性を高めるための制御に反映することができる。バッテリと電装システムをつなぐアプリケーションでは,バッテリの消費を抑える必要があるため,従来品よりも消費電流を低減した車載用第4世代ハイサイド型IPS「F5112H」を開発した。

SiC ハイブリッドモジュールを適用した北米向け大容量UPS「UPS7300WX-T3U」 2017-S02

佐藤 篤司 ・ 村津 宏樹 ・ 黒崎  智 2017年3月6日

通信機器やネットワークなどの情報通信システムの安定稼動は,情報化社会では前提条件となっており,これらのシステムが停止すると,社会活動に甚大な影響を及ぼす可能性がある。無停電電源装置(UPS)は,システムの安定稼動のために24時間365日安定した電源を供給するための電気機器であり,情報化社会の主要な役割を担うデータセンターにおいては必要不可欠な機器である。
データセンター向けUPSの市場は世界規模で伸長している。富士電機は,2015年度に北米市場の規格に適合する容量500kVAのUPSの販売を開始した。お客さまのさまざまな要求に応えるためには容量系列を増やす必要があり,新たに高効率な480V系オンラインUPS「UPS7300WX-T3U」を開発した。

車載用第3世代直接水冷型パワーモジュール 2017-S01

榎本 一雄 ・ 小山 貴裕 ・ 佐藤 憲一郎 2017年1月30日

地球温暖化防止に向けたCO2排出規制の強化により,エンジンとモータの双方を利用するハイブリッド自動車(HEV)や,モータのみで走行する電気自動車(EV)の開発が急速に進められており,さらなる普及が期待されている。HEVやEVでは,動力制御に用いるインバータの設置スペースは限られており,高出力化する電池やモータに対応するため,高電力密度化とさらなる小型化が求められている。
これらの要求に対して,富士電機は車載用第3世代直接水冷型パワーモジュールを開発した。この製品は,冷媒の流路を最適化し,従来品よりも高い放熱性能を持っている。さらに,新たにカバー一体型のアルミニウム製ウォータージャケットと,フランジ構造の冷媒出入り口を採用したことにより,ユーザは,フランジ出入り口に指定流量の冷媒を流す配慮を行うだけでよい。

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