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社会・環境報告(CSR)
富士電機レポート2011 第三者意見

富士電機レポート2011 第三者意見

足達 英一郎氏写真
株式会社日本総合研究所
理事 ESGリサーチセンター長
足達 英一郎氏
今回のレポートは従来の「アニュアルレポート」と「CSRレポート」を統合し、2010年度の経営活動の要点を一冊で報告する第1号となりました。世界でも、統合レポートのあり方をめぐる議論が活発になっています。富士電機が、こうした形態のレポート作りに先駆的に挑戦していくという意思を示されたことをまず評価いたします。
そのうえで、統合レポートの意義とは、どこに求めることができるでしょうか。個人的見解に過ぎませんが、自分はそれを「社会・環境への影響という側面から事業活動の意味を問い直す」ということだと考えています。今回のレポートでは、今後、富士電機が「エネルギー・環境事業への注力」を図っていこうとする姿勢を、その背景を含めて明確に理解することができました。

これまで、多くの日本企業は「誠実さ」や「優れたものづくり」を理念として表明しても、「どのような世の中を目指していくか」について必ずしも積極的に言及することが多くはありませんでした。次号以降のレポートでは、「エネルギー・環境事業への注力」が、「どんな世の中を理想にして」推進されていくのかを、是非、示していただきたいと期待します。

一例をあげるとすれば、社会システム事業に関する記述があげられます。スマートコミュニティ実証事業への参画などの実績が報告されていますが、その前提には「需要に従っていくらでも電力が供給される世の中」から「徹底したデマンド・サイド・マネジメントに従って需給をやり繰りしていく世の中」へのパラダイムシフトが存在すると考えられます。富士電機が描いておられる未来を、改めて知りたいと考えます。

さらに、期待申し上げるのは、そうした未来づくりへのコミットメントと、リーダシップです。昨年も申し上げましたが、わが国には大きな地熱資源量が存在します。しかし、さまざまな制約から利用は進んでいません。こうした現状に対して、単に「法改正や規制緩和などにより、地熱発電の拡大が期待されています」と述べるに留まるのではなく、世界有数の技術と実績を持つ企業であるからこそ、国内でも先頭に立って普及を進めていく決意を伺いたいと思うところです。

こうした取組みを通じて、「社会・環境への影響という側面から事業活動の意味を問い直す」ことが具現され、統合レポートの意義がいっそう大きくなるものと考えます。同時に、従来事業の再構築に関しても、こうした脈絡からの開示が期待されます。今回のレポートで、原子力関連機器、放射能管理システム、飲料・食品自動販売機に関連するビジネスについて、社会・環境への影響という側面からの開示がより積極的になされてもよいのではないかと感じました。

社会・環境側面から見ても、富士電機の有する技術と実績は、今後ますます、ステークホルダーからの大きな期待を集めるものであることに間違いはありません。「豊かさへの貢献」という経営理念が、例えば百年後の世代からも評価を受けられるよう実践されていくことを願って止みません。

社会的責任投資のための企業情報の提供を金融機関に行っている立場から、本書を通じて理解した富士電機の社会・環境側面の諸活動ならびにその情報開示のあり方に関し、第三者意見を提出したものです。このコメントは、本書が、一般に公正妥当と認められる環境報告書等の作成基準に準拠して正確に測定、算出され、かつ重要な事項が漏れなく表示されているかどうかについて判断した結論を表明するものではありません。

[略歴]
環境問題対策を中心とした企業社会責任の視点からの産業調査、企業評価を担当。
金融機関に対し社会的責任投資や環境配慮融資のための企業情報を提供。
主な共著書に「CSR経営とSRI」(2004年、きんざい)「地球温暖化で伸びるビジネス」(2007年、東洋経済新報社)、「環境経営入門」(2009年、日本経済新聞出版社)、「進化する金融機関の環境リスク戦略」(2011年、きんざい)等。
日本規格協会ISO26000 JIS化本委員会委員(現任)(2009年05月までISO26000作業部会日本エクスパート)。

ご意見をいただいて

富士電機は、地球社会が抱える環境問題の解決に貢献できる、多くの創エネや省エネ関連の技術・製品をもっており、そのことは、私たちの誇りでもあり、また、やりがいでもあります。昨年、経営方針を見直し、「世界の富士電機を目指す」「エネルギーと環境事業に注力し地球社会に貢献する」ことを表明し、同時に、社員の行動指針となる「企業行動基準」をよりグローバルな視点で見直しました。今後は、ご指摘にある、社会・環境への影響という側面からの事業活動の意味合いをより明確にするとともに、企業行動基準の海外を含めた実践・徹底、さらにステークホルダーの皆様とのコミュニケーションの機会を増やし、これまで以上に社会から信頼される企業をめざしてまいります。

富士電機株式会社
社長室長(広報IR、CSR推進部門所管)
三吉 義忠


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