富士時報
第61巻第8号(1988年8月)

インテリジェントセンサの知能に期待するもの

山崎 弘郎

富士電機のセンサ技術

芳賀 敬二,浜田 敏義

最近のセンサ技術は、IC(集積回路)製造技術の例に見られる微細加工技術の進歩とその応用、マイクロプロセッサと結びつけたインテリジェント化、新素材の出現による新しいセンサ開発などにより著しい進歩を遂げている。富士電機はこれらの背景の下に、各自業分野に対して、そのニーズにこたえ、新しいセンサの開発、商品化に努力している。代表的な分野としてプロセス用、FA一般用などがあり、それらを含めて富士電機のセンサ技術全般についての現状と将来展望について述べる。

プロセスセンサ、測定器

安原  毅,漆畑 隆夫

プロセスセンサ、分析計、放射線センサについて報告する。

富士マイクロチップ酸素センサ

高浜 禎造,増田 昌彦,杉山 裕司

ジルコニア固体電解質を応用したマイクロチップ酸素センサ及びセンサを搭載した酸素分析計(O2コントローラ)を開発した。このセンサは、印刷法により形成された電極とヒータを持つジルコニアグリーンシートを積層、焼成して製造され、大量生産ができ、超小形、低消費電力、良好な安全性などの特徴を持つ。O2コントローラは、防災、安全、食品、バイオテクノロジー、医療関係分野への応用が期待される。

フーリエ変換赤外分光光度計の応用

渡辺 敦夫,田中 猛夫,加藤  茂

フーリエ変換赤外分光光度計は、分光分析のため利用できる光量が多いので、回折格子やプリズムを利用した分散形赤外分光光度計に比べ応用範囲が広がっている。富士電機のFT-IR(FIRIS-100及びFIRIS-25)について構造と特長を簡単に紹介した後、最近注目されているFT-IRの応用(GC/FT―IR、赤外顕微鏡、光音響分光法、複光束法)について解説する。

シリコン放射線検出器

吉田 義輝,石倉  剛,鈴木 敏夫

原子力発電所や各種の放射線取扱施設における各種の放射線管理機器に使用することを目的として、近年、富士電機で開発したSi半導体検出器に関し、原理、使用目的、仕様、試験結果などに関し解説する。この検出素子はプラズマCVD法により超高純度Si基板上に形成したa-Si膜を利用することを特徴とし、個々の検出素子と使用目的に合わせて低ノイズアンプ系を開発し、ハイブリッドIC化した。個人被ばく線量計、サーベイメータ、エリアモニタ、ダストモニタ及び中性子被ばく線量計への適用結果に関し記す。

表面微粒子検出装置 パーティクルモニタSPM-05

大戸時喜雄,杉本 啓介,難波 泰明

富士電機は、鏡面を有する固体表面上(例えばSiウェハ)の微粒子数をインラインで計測できる装置を開発した。レーザによる散乱光検出を原理とし、光学系及び信号処理系を単純・小形化しインライン化を可能とした。また、本装置は試料の搬送系から独立しており、ユーザーは任意の搬送装置と組み合わせることが可能である。
試作機を用いて行った実験で次の結果を得た。(1)0.5μm以上の粒子で100%、0.3μmで30%以上の検出率。(2)再現性5%以下。(3)他社装置との良好な相関。

水処理・交通用センサ

山本 邦男,岸   豊,青木  隆

上下水道の水処理分野、高速道路・鉄道の交通分野で使用されるセンサの現状と動向を展望し、それぞれの分野で使用されるセンサのうち富士電機の特徴あるセンサを紹介した。取り上げたセンサは、水道用センサとして光ファイバ式投込水位計、下水道用センサとして主な水質センサ、高速道路用センサとして車両検知装置・一酸化炭素検出装置、鉄道用センサとして4種類の予防保全用モニタ装置である。

汎用FAセンサ

黒田 一彦

FAシステムにおいては、コントローラ、アクチュエータとともにセンサが重要な役割を果たしている。センサは種々の物理現象を応用した機器であり、また用途、精度、機能別など非常に多くの種類が製造販売されている。
FAセンサのうち特に汎用性の高い機種を取り上げ、その一般動向、技術動向、及び代表的汎用FAセンサについて個々にその概要を解説する。

FA距離センサ

中島 信一,美麗賢次郎,山崎 正明

従来、FA分野では、リミットスィッチ、近接スイッチ、光電スイッチなど、物体の有無を検出するものが主として使われてきた。
近年、パーソナルコンピュータやプログラマブルコントローラなどによる高度な演算処理が可能となるに伴い、距離変化の度合いが認識できるFA距離センサの重要性が増している。そこで、富士電機が手がけてきた下記のFA距離センサについて紹介する。
(1) 高周波発振形アナログ距離センサ、(2) 超音波距離センサ、(3) 光学式距離センサ。

小形振動監視計

金子 健郎,押谷  侃,鳥山 文雄

今日、高精度化・高品質化への要求はますます強くなっており、機械設備の保全管理への関心が高まっている。小形振動監視計「MVA01形」は、優れた測定精度と簡単な取扱性のため、だれにでも使用できる傾向管理用監視計で、発売と同時に大きな反響があり好評を得ている。また、機械設備の保全管理を集中化・システム化したいとの欲求も強く、現在、測定部と表示部を分離しマイクロコンピュータ処理により測定データを諸々加工できる「MVA03形」と、測定データをコンピュータや各種計測機器に伝送できる「MVA04形」の開発を進めている。

半導体圧力センサ

三浦 俊二,酒井 利明

シリコンのピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサは、小形軽量で量産性に優れており、自動車を中心として家電、産業用などの圧力計測用に用途が拡大中である。富士電機ではIC技術、微細加工技術を活用して、同一チップ上にストレンゲージ、温度補償用拡散抵抗回路及びクワッド形オペアンプを複合集積化したワンチップ形圧力センサの開発を行ったので、その特長、構造、特性、応用についての概要を紹介する。

富士ビデオセンサ

小室 明夫

富士ビデオセンサを市場に送り出してから12年になる。第一世代の専用機の時代には、ニーズに応じて各種の自動外観検査装置を開発してきた。現在は、富士ビデオセンサの応用範囲も、検査だけでなく、位置決め、仕分け、分類など、目を使った判断作業の自動化に用途が拡大している。第二世代の汎用機を主体とするビデオセンサが活躍している。
富士ビデオセンサの開発経過、最近の開発品の状況と、新技術の適用による今後の展望について、簡単に紹介する。

汎用ビデオセンサ マルチウィンドウMWP-3000とその応用

山村 辰男,井上 彰紀,宮川 道明

富士ビデオセンサとして、従来のMW-2000シリーズに対し、高機能化を図ったMWP-3000を製品化した。高機能化された点は、ショウイングによる検査エリア(辞書パターン)の設定、マッチング判定、回転を含めた位置変動補正、テレビカメラからの映像信号の濃淡レベル変動に追随した2値化制御、判定の高速化(最高33ms) などの機能である。回転位置変動、照度変動のあるラインや、高速処理の要求されるラインに対して、適用拡大を目指すものである。

FA視覚ユニマット VR-F

宗木好一郎,仁藤 正夫,小平 俊実

FAシステムのネットワーク化傾向に歩調を合わせたFA向けの視覚ユニットVR-Fの特長を概説する。入出力インタフェースを充実して、いかなるFAシステムにも容易に結合し、特に富士電機のプログラマブルコントローラとは高速分散形ネットワークに直結して視覚付のFAネットワークの構築を容易にしている。アプリケーションをサポートするBASICプログラミングの活用と、判定機能プラス位置計測機能により応用範囲が格段に広がることを期待している。

電力分野における設備診断用センサ

川畑 博資,森田  公,遠藤 研二

電力分野の機器に対する予防保全技術は、今後ますます重要となり、センサの高性能化、センサ適用技術の高度化が望まれている。富士電機では、回転機、変圧器、開閉装置など電力設備機器の予防保全センサ及び診断システムの製品化を精力的に進めており、実用化させている。本稿は、これら電力設備機器へのセンサ適用について最近の富士電機の技術を紹介する。

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