富士時報
第62巻第3号(1989年3月)

特集論文

富士地図情報処理システム FAMOS

太田 徳二,風間  清,黒谷 憲一

社会の多様化や急激な変化に対応する新しい情報処理システムとして、地図や図面及び関連情報をデータベース化する地図情報システムが現在注目されている。これに対応して富士電機では、地図情報処理システムFAMOSを開発した。
FAMOSは規模別に、MAPSTAR,MAPSKY,MAPWORLDの基本ソフトウェアと各分野別専用システムで構成され、各種の規模のシステムが構築可能である。本稿では、このFAMOSのシステム体系、特長の概要について紹介する。

地図情報処理基本ソフトウェアFAMOS/MAPSKY

山本 正昭,堀田 敬志,大崎  明

近年、地図及び図面情報を扱う応用処理システムは、水処理、電力及び自治体を中心に適用分野が拡大化されてきている。従来、富士電機では、FAMOS/MAPSTAR及びMAPWORLDを基本ソフトウェアとして、各種応用処理システムの製品化を行ってきた。今回、より一層の高機能及び高性能な応用処理システムに適用すべく、ミニコンピュータを中心とする中規模タイプのFAMOS/MAPSKYを開発したので、その概要を紹介する。

都市情報システムへの適用

山西 年男,梅津 一吉,柄沢  隆

成熟化の時代を迎えた我が国では、都市を中心として企業や個人の活動が多様化しつつあり、洗練された都市環境の整備を求める社会的なニーズが生まれている。
富士電機では、このニーズに応じて、都市行政の分野にコンピュータによるマッピングシステムの適用を図り、業務分析から出発して実運用段階に至ったシステム群を体系化した。
本稿では都市情報システムの概要について、(1)具体例、(2)機能構成、(3)ソフトウェア、(4)ハードウェアの各観点から紹介する。

上下水道の施設情報管理システムへの適用

伊藤 晴夫,岡田 俊雄,上本 憲嗣

水道分野では埋設された管路の情報を取り扱う業務が多いため、地図情報処理の適用範囲は広く、ニーズも高い状況にある。
本稿では、地図情報処理を適用した富士電機の管路情報管理システムの全体概要・特長、中規模システムの構成について紹介する。

施設管理システムへの適用

安藤 圭司,小柳 準一,小林 一智

工場や各種プラント、研究施設などの施設管理業務では、実に様々な情報を横断的に取り扱う必要があり、各施設や設備の図面と台帳の効率的な管理と活用が求められている。マッピングシステムの持つ様々な機能は、その声にこたえるものである。
本稿では、マッピングシステムの応用例の一つとして施設管理業業務への適用を運用面を中心に紹介する。

配電自動化システムへの適用
―四国電力(株)配電系統自動化計算機制御システム―

正木 徳治,井出 哲男,金澤 康久

配電系統の事故時や改修作業時に、系統を自動的に切り換える配電自動化システムの実用化が急テンポで進められている。特に、系統の事故時や作業時には現場情報は迅速かつ的確に把握され、これらをわかりやすく運転員に伝達される必要がある。そのため、配電系統及び系統状態をCRT上の街路図面に重ねて表示する配電自動化システムの開発が行われている。
本稿では、富士電機で開発中の四国電力(株)向け配電系統自動化計算機制御システムの概要を、マッピングシステムを中心に紹介する。

秋田市ガス局向けガス配管管理用システム

長浜谷隆雄,山根 清治,望月 謙治

都市ガスの配管網は年々拡大され、除々に複雑化の傾向にある。秋田市ガス局では、業務の一環としてガス導管の埋設位置及び埋設年度を個々に管理し、土木工事の掘削時の事故、寿命による腐食などを未然に防ぐためにガス導管の管理情報を行っている。
富士電機では、ガス導管の情報管理をパーソナルコンピュータを使って一元処理することにより、管理業務軽減を目標としたシステムを開発している。これは地図と配管情報を合わせて処理できるもので、今般秋田市ガス局に納入したのでその概要を紹介する。

地方自治体向け公園緑地管理システム

佐藤  實,黒田 昌幸,長谷川 智

公園施設を維持管理する業務は、公園の図面及び関連する膨大なデータの作成、更新、管理、報告など多岐にわたっている。
富士電機は、パーソナルコンピュータを利用して、公園施設の維持管理業務の質的向上~公園緑地管理システム「MAP-PARK」を開発し、完成させた。
本稿では、ある地方自治体へ納入したシステムについて、その概要を紹介する。

秦野市水道局向け給水台帳管理システム

越光  守,豊島 英文,渡辺 光範

水処理分野における地図情報運用システムのニーズは特に高いものとなっているが、導入コストが大きいこともあり、大・中規模のシステムが主流となっている。低コストで小規模なシステムの導入の事例として、富士電機の上水道管路情報システム「MAP-LINE」の適用例を紹介する。

普通論文

ぺルトン水車の高比速度化とジェット干渉

久保田 喬,川上 一美

ベルトン水車の小形化を図る有力な方法は、ノズル数を増やし回転速度を上げることであるが、この際の最大の障害としてジェット干渉による水車出力の急減現象である。しかし、それを可視化して解明しようとする研究はこれまでほとんどなされていない。今回、模型水車を使ったバケット内の流れの可視化実験により、ジェット干渉現象を解明し適切な対策を施した結果、6ノズルペルトン水車の限界比速度を25%高めることに成功した。本稿では、比速度とジェット干渉の関係と、ジェット干渉の可視化実験の結果を報告する。

回転ヒートパイプ利用の水車発電機軸受冷却

佐藤 昭二,東   泉,安達 昭夫

中小水力発電装置の課題の一つとして、保守点検の省力化が挙げられる。これを実現する為に、冷却などのための水を必要としない発電装置とすることが望まれている。このニーズにこたえるべく、回転ヒートパイプを利用した軸受冷却法の適用範囲の拡大を図った。実機と同等の回転モデルを製作し、種々の改良、工夫に対する効果確認実験を行い、横軸中小フランシス水車発電装置の大部分を占めるおおよそ5,000kW以下の範囲に対し適用可能な冷却法を確立した。本稿ではその構造上の特長、実験結果などについて紹介する。

ごみ焼却工場におけるごみクレーン自動化システム

高橋 金博,吉田  昭,小貫 直治

ごみ焼却工場におけるごみクレーン自動化のニーズに対応すべくシステムを完成した。
本稿では、ごみクレーン設備の概要、運用方法、各種ニーズにこたえるごみクレーン自動化システムの構成と機能、三つの特長(種々の作業の自動化、ごみクレーン特有の自動制御方式、マンマシンインターフェースの工夫)、導入の効果、及びシステム評価について紹介する。

本誌に記載されている会社名および製品名は、それぞれの会社が所有する商標または登録商標である場合があります。著者に社外の人が含まれる場合、ウェブ掲載の許諾がとれたもののみ掲載しています。