富士時報
第68巻第5号(1995年5月)

車両・情報端末機器・インバータ用半導体特集

厳しいゆとりの時代

高橋  勲

半導体デバイスの現状と展望

桜井 建弥,菅沼 信孝,目黒  謙

富士電機では、半導体事業としてディスクリート半導体デバイス、パワー半導体デバイス、カスタムICの三つの分野を中心に技術革新を重ね、さらに高性能化にこたえるべく注力し、パワーエレクトロニクスの発展に貢献している。本稿では、自動車用、家電機器のインバータ用、車両用、汎用インバータ用、ディスプレイ用、そして情報端末用の半導体デバイス製品の現状と展望について述べる。

自動車用半導体デバイス

井出 哲雄,渡島 豪人

地球環境保護に対する社会的関心が高まっている昨今、自動車エンジンは装置のエレクトロニクス化により排気清浄化、省燃費化と高出力化という相反する技術の両立を図ろうとしている。富士電機では、エンジン制御の最適化を図るため実用化した先進のエレクトロニクス点火装置(ディストリビュータレスイグニションシステム:DLIS)用のバイポーラトランジスタと樹脂モールド高圧ダイオードを製品化したので紹介する。

車両用半導体デバイス

長畦 文男,大月 正人,中平  亨

車両用電源装置は、半導体デバイスの発展により、飛躍的な性能向上が図られている。車両用半導体デバイスは、現在GTOが主流となっているが、高速スイッチング性を有したIGBTが近年注目されている。本稿では、車両用電源装置と半導体デバイスの技術動向について述べ、富士電機の車両用半導体デバイスの製品系列を紹介する。さらに、車両用半導体デバイスとして新しく開発した1,800V/600A絶縁形IGBTモジュールの製品の概要についても紹介する。

ディスプレイ用半導体デバイス

佐野  功,渡島 豪人

情報・通信・OA関連機器の表示などに使用されている電子ディスプレイは、情報伝達の手段、マンマシンインタフェースとして広範多岐にわたって応用されている。本稿ではディスプレイ用半導体デバイスとして、液晶パネル用ICと高精細度CRTモニタ用高圧ダイオードを取り上げ、その特長、主要特性、応用例などの概要を紹介する。 

情報端末機器用半導体デバイス

小林 邦雄,押川 一志,大和  誠

高度情報化社会の発展に伴って情報端末機器の社会に対する役割はますます重要となっており、企業から家庭へと普及し始めている。今後これらの分野が成長していくためには、従来以上に小形・軽量、低消費・高効率、低価格が強く求められる。また今年からPL法が施行されることもあり、その安全性も不可欠なものとなっている。富士電機ではこれらに対応するため、高耐圧技術を活用して各種情報端末用半導体デバイスを開発した。本稿ではこれらのデバイスの特性を中心に概要を紹介する。

インバータ用半導体デバイス

有川 典男,両角  朗,大西 泰彦

近年パワーエレクトロニクスの発展はめざましく、なかでもインバータは、そのキーコンポーネントであるパワーデバイスの高性能化、高機能化、大容量化に伴い、最も急速な発展を遂げている機器分野の一つである。最近では、インバータ用デバイスとしてIGBTの適用が進んでおり、このIGBTの低損失性が、装置の小形軽量化、高性能化に大きく貢献している。今回、従来のIGBTの低損失性に加え、使いやすさ、高信頼性を追求した新第三世代IGBTモジュール(Nシリーズ)の開発・系列化を行ったので紹介する。

家庭電化製品のインバータ用半導体デバイス

山口 浩二,山田 忠則

近年、家庭電化製品にもインバータ制御方式を用いた製品が多く見られるようになってきた。このなかでも先駆的な役割を果たしている分野に電子レンジ、IH炊飯器に代表される加熱調理器分野があり、また最近ではインバータ形蛍光灯分野がある。富士電機では、これらの分野向けにモールド形IGBT、パワーMOSFETを開発したので紹介する。

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