富士時報
第71巻第11号(1998年11月)

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」特集

「むり・むら・むだ」とコントローラ

関口  隆

コントローラの現状と展望

井手健一郎,田中 春樹,武井 孝憲

リレー制御の置換えからスタートしたコントローラは,生産システムへの要求変化および情報処理システム,生産設備技術の発展によって大きな転換期を迎えている。企業環境の変化は,生産システムに対してグローバル生産への対応,トータルなシステム運用コストの削減およびシステム全体効率の追求を厳しく求めている。この転換期におけるコントローラは,十分な性能レンジを持ち,要素間のオープンな分散による高い構築自由度とそのエンジニアリングが可能であり,PCコントローラが先導する情報ネットワーク形コントローラへと変貌していく。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」のコンセプト

菊地  洋,富沢 敬一,石井  洋

コントローラに要求される機能は,本来のシーケンス制御に加え「ネットワーク・通信」「データ処理」「操作・表示」「モーションコントロール」とますます拡大・高機能化している。また,標準化・国際化・オープン化の要求も高まっている。これらの流れを取り入れ,制御・操作・監視を統合するコントローラとしてMICREX-SXシリーズを開発した。本稿では,その製品コンセプトを紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」のスケーラブルマルチコントローラ

渡辺 哲仁,坂本 義貞,石井  靖

MICREX-SXシリーズは,ハードウェア,ソフトウェアともに,IEC61131に準拠したコントローラである。オープンネットワークにも対応したことにより,市場の強い要求である「オープン化」志向にこたえた製品である。加えて1 msコントロール・マルチCPUなど,高性能・高機能コントローラでもある。本稿では,こ のMICREX-SXシリーズのハードウェアPLC(スケーラブルマルチコントローラ「SPH」)の仕様・特長について概要を紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」の位置決めモジュール

相田 忠勝,村本 道也,富永 保隆

高速・高応答が要求されるサーボシステムの位置決め制御では,専用の位置決め装置を必要とする。従来,プログラマブルコントローラのCPUモジュールでは,位置決めに必要な数値演算を高速で実行することが困難であり,専用の位置決めモジュールと組み合わせてシステム構築を行ってきた。今回開発したMICREX-SXでは,高速の数値演算機能によりCPUモジュール側での位置決め処理が可能となった。本稿ではMICREX-SXでの位置決めシステム構成,CPUモジュールに実装する位置決めファンクションブロックの概要を述べる。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」のネットワークモジュールと各種機能モジュール

藤田 和弘,竹内  基,宮宗  潔

制御システム分野において,ネットワークおよび機能モジュールは,フレキシブルなCIMやシステムのトータルコストダウンを実現する手段としてきわめて重要な位置を確立している。本稿では,オープンネットワークモジュール,富士電機の専用ネットワークモジュール,Ethernetカードやメモリカードなどが装着できるPCカードIFモジュール,RS-232Cなどのシリアル通信インタフェースを持つ機器を接続し制御する汎用通信モジュールと汎用ソフトウェアパッケージなどの概要を紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」の統合プログラミング支援システム

福住 光記,山田 正志,濱田 明秀

プログラマブルコントローラの高性能化に伴い,制御ソフトウェアも複雑化・大規模化が進んでいる。また,より高度かつ複雑なプログラム作成・評価作業が求められる。このようなもとで効率的,省力的に作業を可能にするため開発されたのが,MICREX-SXシリーズの統合支援システムである。特長は,国際規格IEC61131-3(旧番号体系IEC1131-31993)言語の採用,変数ラベルによるプログラミング,プログラム資産の再利用が容易,高品質なドキュメントなどである。本稿では,支援ツールの概要について紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」のPCベースコントローラ

松田  洋,引地 正則,森  泰二

パーソナルコンピュータ(パソコン)の普及に伴い,FA制御分野においても,パソコンを応用したオープンなコントローラのニーズが高まっている。富士電機は,このニーズにこたえ,パソコンで動作するソフトウェアPLC,ソフトウェアPODならびにパソコン内蔵各種ボードを開発した。ハードウェアPLC,ハードウェアPODと支援ツールの共通化や各種コンポーネントとの接続性を高め,システム構築,保守を容易にしている。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」のプログラマブル操作表示器

川島 重雄,大島 繁男

統合コントローラMICREX-SXシリーズのマンマシンインタフェースとしてプログラマブル操作表示器「新形UGシリーズ」を開発した。同シリーズは表示画面サイズ5.7,7.7,10.4,12.1(インチ)の4種類がある。新形はCPUに32ビットRISCプロセッサを採用し,従来比で約5倍の高速化を実現した。また,ネットワークは富士電機オリジナルのSXバスとTリンク,業界標準のJPCN-1に対応した。10.4,12.1(インチ)の大画面機種には監視ビデオカメラ映像などを画面の任意の大きさ・位置に表示できる機能を追加した。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」の適用技術

菱沼 正勝,島田 喜秋

プログラマブルコントローラは小規模システムから大規模システムまでさまざまな産業機械および設備に適用されている。本稿では,MICREX-SXシリーズをシステムに適用するにあたって必要な技術に関し,特に入出力応答時間,マルチCPUシステム,プログラミングに絞って紹介する。

統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」の適用例

島田 喜秋,野口  浩

プログラマブルコントローラは,リレーに代わるプログラマブルなコントローラとして誕生して以来,高性能化・高機能化が進み,さまざまな産業機械に適用されている。本稿では,MICREX-SXシリーズを採用したシステム適用例として,半導体製造装置であるリードフレーム成形機とタイヤ製造機について紹介する。

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