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浄水技術のソルーションは何が求められているのか
眞柄 泰基
水処理ソリューションの動向と展望
初又 繁,木田 友康,多田 弘
水問題は,地球規模で論じられるようになってきている。日本の上下水道では,質と安全に対するニーズが高まり,製造業では,水処理によって経済的効果を引き出すことに期待がかかっている。今後は,持続可能な流域圏構想(ホロニックパス)に基づく自律分散型水代謝システムが必要となるであろう。富士電機は,経営面までコンサルティングができる水処理ソリューションサービス,最適化に対応するシステム・エネルギーソリューション,水質の高度化と安全を創出するセンサや膜ろ過などの新しいプロセス技術を提供していく。
水道事業運営ソリューション
上野 健郎,梅津 一吉,中野 博之
水道事業における民間委託化が拡大しつつある。本稿では,運転維持管理を含む広い意味での水道事業運営ソリューションへの取組み姿勢,実績,ツールなどについて述べ,あわせて将来へ向けた展望を紹介する。支援ツールは業務品質の向上,効率化とともに,電子化による設備状態の可視化,数値化を目指し,水道業務におけるPDCA サイクルを実現した。また,ソリューションとして経営コンサルティングメニュー,およびサービス商品メニューを紹介する。
水処理設備におけるエネルギーソリューション技術
山本総一郎,長倉 善則
水処理設備においては,省エネルギーの推進と設備の稼動信頼性の向上のための電源信頼性の確保が求められている。水処理設備のエネルギーの大部分が,水処理プロセスにおける水・空気の輸送などのエネルギー消費であり,電源信頼性の確保のためには,無停電での電源バックアップが必要である。本稿では,その要素技術である高圧VVVF(可変電圧可変周波数)とNAS(ナトリウム-硫黄)電池用PCS(Power Conditioning System)について最近の技術動向を紹介する。
小河内貯水池太陽光発電事業および水質改善等調査研究
山本総一郎,小野 正敏
都市部の水道事業体では,河川・湖沼などの原水水質の悪化に対し,給水水質を維持・向上させるためオゾンや活性炭を使った高度浄水処理の導入により「安全でおいしい水」の確保に努めている。東京都水道局と富士電機システムズ(株)は,このような中で小河内貯水池において太陽光発電事業と太陽光発電で得たクリーンなエネルギーによる水質改善の調査研究を行い,2002 年度をもって終了した。本稿では,太陽光発電に関連する部分を中心に,調査研究の成果を報告する。
Java を採用した最新Web 監視制御システム
奥田 昇,生駒 雅一,小山 深
近年,監視制御システムに初期の導入コストの抑制,最新技術の享受などを目的として,パソコンに代表される汎用品を採用する事例が増加している。一方,汎用品は性能向上が速く,ライフサイクルが短いことに対する何らかの解決策が求められている。富士電機では,これらの要求に応えるべくハードウェア,OS に依存しないJava を採用した監視制御システムWeb-FAINS を開発した。本稿では,Web-FAINS の開発コンセプト,特徴などを概説する。
DoPa 網を利用した工業用水自動検針システム
上野 隆史,石橋 景二,藤井 勝敏
世界的に高まる水問題への関心の中,流域を一体とした水環境の水質に主眼をおいたリアルタイム監視,観測,情報提供システムの研究・開発に着手した。「流域環境質統合管理研究会」を組織し,研究を始めるとともに第3回世界水フォーラムで分科会を開催し,構想発表と参加者による討議を行った。一方,従来の水質観測データの有効利用を図るために河川水質データの変化と関連性を把握し,部分的に欠測があってもデータを補間するアルゴリズムを提示した。
浄水用富士膜ろ過システム
久保田康幹,角川 功明,本山 信行
中・大規模浄水場への導入を視野に入れた膜ろ過システムについて検討した。岡山市三野浄水場において河川表流水を原水として,膜ろ過流束1.5 m3/(m2・日),回収率92 %にて運転した結果,膜差圧の上昇はほとんど見られず,6 か月間安定運転することができた。また,中空糸を破断させた膜エレメントを用いて,微粒子カウント方式をはじめ,膜破断検知方法について検討を行った結果,検出感度について知見を得た。
トリハロメタン生成能計
細川浩一郎,外山 文生,田中 良春
水道原水の有機汚濁が進む都市圏の浄水場ではトリハロメタン(THM)など消毒副生成物の生成量を低減するため,粉末活性炭の注入,オゾン処理の導入などさまざまな対策が講じられているが,これまで消毒副生成物の生成に寄与する有機汚濁量を自動的に測定する計器がないため,有機汚濁量が短期間に大きく変化する場合,粉末活性炭やオゾンの適正な注入量を迅速に管理することは困難であった。このため,富士電機は,消毒副生成物低減化対策のシリーズ機種として,トリハロメタン生成能(THMFP)を自動測定するTHMFP 計を開発した。
油膜センサ
金川 直樹,増澤 英一,金井 秀夫
河川の水質事故の70 %以上が油の流出事故といわれ,浄水設備においては給水停止など,その影響度は非常に高い。富士電機ではこのような背景のもと,高感度でかつ波立ちや異物の影響を受けにくく,安定して油膜を検知できる油膜センサを開発した。製品化にあたっては,新たに偏光解析法というユニークな手法を考案した。模擬河川やフィールドでの実証試験でも良好な結果を得ており,浄水場への納入も進んでいる。
下水道水位情報システム
関根 賢,小林 晋哉
都市型浸水対策がクローズアップされる中,各自治体では都市機能に甚大な影響を与える浸水を解消するために都市浸水対策を重点的に実施している。このような中で,浸水情報の早期把握や情報提供のニーズが高まっている。本稿では,浸水対策システムの一つであり,下水道管きょ内の水位をリアルタイムに計測・配信する下水道水位情報システムを紹介する。
サイフォン式ろ過濃縮装置を用いた上下水汚泥処理
山口 幹昌,数井 宏信,田中 義郎
富士電機では,高度下水処理場への水質予測,運転管理・制御などへの応用を目的に活性汚泥の生物反応モデルの研究開発を行ってきた。本稿では,実際の下水処理場の水質分析結果を利用した約2か月間にわたる高度下水処理シミュレータの応用事例を紹介する。今後は,処理水質にかかわる水処理設備のみならず,下水処理場全体の運転管理コストやエネルギー消費量を評価するために,ポンプ場や汚泥処理設備の運転を考慮したシミュレーション技術の向上に努めていく。
オゾン利用による下水処理・廃水処理
加藤 康弘,山崎 正志,木村総一郎
オゾン処理は下水・廃水処理の用途においても殺菌や有機物の分解に優れた効果がある。本稿ではクリプトスポリジウムなど消毒抵抗性の高い病原性微生物,および内分泌撹乱(かくらん)化学物質(環境ホルモン)に対するオゾン処理特性について報告を行った。微生物不活化を目的とした場合には,オゾン接触池におけるCT 値(溶存オゾン濃度と接触時間の積)を管理することで,安定的な処理が可能である。代表的な内分泌撹乱化学物質であるビスフェノールA,17β-エストラジオールはオゾンにより容易に分解が可能であることが確認された。
活性汚泥の生物反応シミュレータ
古屋 勇治,水谷 高明,福嶋 俊貴
富士電機では,高度下水処理場への水質予測,運転管理・制御などへの応用を目的に活性汚泥の生物反応モデルの研究開発を行ってきた。本稿では,実際の下水処理場の水質分析結果を利用した約2か月間にわたる高度下水処理シミュレータの応用事例を紹介する。今後は,処理水質にかかわる水処理設備のみならず,下水処理場全体の運転管理コストやエネルギー消費量を評価するために,ポンプ場や汚泥処理設備の運転を考慮したシミュレーション技術の向上に努めていく。
*本誌に記載されている会社名および製品名は、それぞれの会社が所有する商標または登録商標である場合があります。著者に社外の人が含まれる場合、ウェブ掲載の許諾がとれたもののみ掲載しています。
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