【導入事例】アグリコンシェルジュ(穀物乾燥・貯蔵設備)
地球開拓事業団株式会社様

農業技術をICTでクリアに見える化
 生産管理の精緻化によって品質安定を実現

『アグリコンシェルジュ(穀物乾燥・貯蔵設備)』

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始まりは「圃場と乾燥施設の距離をなくしたい」

 就農人口の減少と高齢化、それに伴う耕作放棄地の増加が日本の農業の課題となっている。その解決と農業の新たな未来を拓くため、挑戦を続けているのが地球開拓事業団様だ。
代表取締役の浅野様はもともと大規模農家で、2016年に地球開拓事業団を設立。経験も年齢も問わず農業へのチャレンジを広く呼びかけ、若い社員たちとともに新しい農業の創造をめざしている。そんな浅野様が農業にICTを活用しようと思われたきっかけは、
  「弊社の農地面積は80haですが、一般的な農家と違って、圃場と農作物の乾燥施設が離れているのが悩みでした。一番近いところでも16km、最も遠いところは25kmの距離があるため、圃場から施設への移動と施設内の確認だけで1時間かかっていたのです」。

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「データが取れているからこそできることがあります」と話す代表取締役の浅野真英様。

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若い社員が多く、ほぼ全員がスマホを使用。施設の状況もスマホで確認している。

温度・湿度のムラを見える化して水分15%を保持

 さらに貯蔵施設についても、温度や湿度を詳細に把握する必要があった。
  「たとえばお米なら品質維持のために水分15%をキープするのですが、籾は水分を含みやすく、湿度が高くなるとお米の水分が変化してしまってカビの原因になることもあります。さらに温度・湿度の調整はサイロ内を撹拌して行うのですが、サイロの構造上、上部は温度が上がりやすく下部は温度変化が少ない。そのため乾燥直後の温度高めの籾を入れると、下部では高めの温度を維持してしまいます。忙しい時期はとくに、この温度調整にも悩まされていました」。
  そこで富士アイティでは、『アグリコンシェルジュ』による乾燥施設と貯蔵施設の見える化をご提案。複数のセンサーで各施設・設備のデータを計測し、クラウドへ送信。それをPCやスマホ、タブレットで統合監視し、農作物の品質管理をサポートするサービスだ。

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貯蔵施設の写真に現在の温度・湿度を表示。場所による温度の違いが一目でわかる。

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現在の温度・湿度がみえるだけでなく刈入れ後から現在までの温度・湿度をグラフで表示。

既存の設備に後付け&無線センサーで配線工事不要

 導入に際しては、既存の設備にセンサーや『FiTSA Σ』を後付けで設置。さらに、温湿度センサーを無線にしたことで配線工事も不要となり、従来の設備はそのままで、設備の稼働状況の監視や温度・湿度の見える化が実現できた。サイロの中にセンサーを取り付ける場所がないという問題も、「センサーの親機はサイロの外に設置し、壁に小さな穴を開けてセンサー部だけを内部に引き込む方法をとることで富士アイティさんが解決してくれました」と浅野様は話す。また、ソリューションと通信回線を一括提供する『FITmobile』をご利用いただいたことで、通信業者との新たな回線契約や別途支払いの手間も解消された。そして導入後は、遠隔地からでも乾燥施設の稼働状況や異常が把握できるようになった。貯蔵施設についても、温度・湿度が数値やグラフでクリアに示されるため、状況に応じてファンの稼働・停止や籾の撹拌を行って品質を安定的に保持している。

お客様にデータとともにお米をご紹介し、信頼を得る

 その効果やメリットを浅野様は具体的にこう実感されている。
 「外気温に左右されず、一定の品質で出荷できるようになりました。お客様に実際の温度・湿度のデータをお見せして、『お届けしているお米はこのような状態です』とご紹介することもあります。これは、詳細なデータを取っているからできること。私たちの農作物は100%自主販売なので、信頼性やオリジナリティ、ブランド力を高めるためにもデータはあったほうが絶対にいい」。
  農業分野におけるIT活用は、世代間の情報共有や経験不足を補うことにもつながる。たとえばお米の栽培は通常年に一回のため、10年間続けても10回しか経験できないが、その内容や結果を見える化すれば、経験の少ない新規就農者の強い武器になる。浅野様は今後、ICTをさらに活用してトレーサビリティの充実や収量増を計画されている。

(取材日:2017年1月20日)

○地球開拓事業団株式会社

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