雷サージを防ぐ機器として「耐雷トランス」がありますが、
「SPD(避雷器)」とどのように違うのですか?
SPD(避雷器)は、雷サージを吸収し電圧を制限し、等電位化を図るものです。
電源線または信号線は、接地端子に直に接続出来ないため、SPD(避雷器)を介して接続します。サージ侵入時には、SPD(避雷器)がほぼ短絡状態
となって電位上昇を防ぎ、等電位化を図ることができます。
それに対して耐雷トランスは、侵入サージに対して二次側は全く絶縁状態となり、サージの移行がないようにしたものです。
(通常の絶縁トランスでは、サージは二次側に移行してしまう。)
その結果、二次側に接続された機器はサージに対して保護されます。
耐雷トランスはSPD(避雷器)に対し、寸法的に大きく、かなり高価です。また、耐雷トランス適用の際には、一次側と二次側の接地を別接地とすることが重要です。
項目 | SPD(避雷器) | 耐雷トランス | ||
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1 | 雷サージ保護方式 |
等電位化方式 保護素子でサージを大地に放流して電圧を抑制し、機器の保護する。 |
絶縁方式 SPD(避雷器)でサージを放流すると共に、トランスでサージを絶縁して機器を保護する。 (耐雷トランス=SPD(避雷器)+サージカットトランス) |
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2 | 外形寸法 | 小さい (小形ブレーカ程度) |
非常に大きい (SPD(避雷器)に対し30~1000倍程度) |
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3 | 設 置 費 用 |
機器単体価格 | 安価(1台:1~2万円程度) | 非常に高価(1台:10万~数十万円) |
接地工事費 | 盤内の接地端子への配線工事のみ | 接地工事費がかなり掛かる | ||
4 | 接地 |
SPD(避雷器)用の特別な接地は不要 (盤または装置の接地は通常のままで良い) |
一次側と二次側の接地を別接地とし、二次側接地を一次側接地と絶縁する必要がある。または、二次側の設備(含む機器)を完全に周囲から絶縁する必要がある。 | |
5 | 雷サージに対する 保護性能 |
雷サージを機器が耐えられる電圧(1500V程度)までに抑制する。 | 雷サージをSPD(避雷器)で抑制し、さらにトランス単体でサージをカットする。 (二次側で約1/1000となる) |
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6 | 高 性 能 |
SPD(避雷器):放電耐量 | 高放電耐量:5~10kA (インパルス電流:8/20μs) |
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耐雷トランス:耐電圧 |
高耐電圧:10kV~30kV (トランス一次/二次間) (インパルス電圧:1.25/50μs) |