富士電機株式会社

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CSRの取り組み製品による環境負荷低減の取り組み

水車の改良で発電能力を大幅改善
技術の進化で環境課題の解決に貢献
富士・フォイトハイドロ

水力発電といえば代表的な再生可能エネルギーのひとつですが、太陽光発電などに比べると一般の人にはなじみが薄いかもしれません。しかし、実はここ十数年の間に水力発電の技術は大きく進歩し、CO2の排出量削減をはじめとする環境課題の解決に大きく貢献しています。2017年に実施した西勝原第三水力発電所の設備改修事例を通じた環境負荷低減の取組みを紹介します。

三次元流れ解析が水車の進化を実現

西勝原第三発電所は福井県大野市にある北陸電力所有の水力発電所。仏原ダムを水源として1968年、水車・発電機など中枢部に富士電機の技術を用いて作られた。

西勝原第三発電所

水力発電の仕組み

ランナ(羽根車)などの機器は定期的にメンテナンスされてきたが、設備の老朽化に伴い、根本的な更新計画が持ち上がる。そこで考えられたのがランナと付随設備の改良による高効率化と環境負荷の低減だった。「水力のような古くからある技術でいまさら改善の余地があるのか」と多くの人は疑問に思うかもしれない。そんな疑問を富士・フォイトハイドロ株式会社、代表取締役副社長の中村彰吾にぶつけてみた。

「確かに一時期は、これ以上の高効率水車の開発は行き詰るだろうと思われていたのです。その状況に風穴を開けたのが三次元流れ解析(Computational Fluid Dynamics=CFD)という水の流れを精密にシミュレーションする技術の確立でした」

もともとは限られたポイントで行ってきた流れのシミュレーションが、技術的な発展により正確に全体の流れをつかめるようになったのだ。このことでより高効率のランナを設計することができるようになった。

富士・フォイトハイドロ(株)
代表取締役副社長 中村彰吾

バルブ水車ランナのCFD

スクリューを早く回すだけでは船のスピードが上がらない理由

さてここで多くの人がまた疑問を抱くかもしれない。「効率といってもたくさんの水を羽根車に当たるようにすればよいだけなのではないか」という疑問だ。しかし、水車の原理はそれほど単純なものでもないのだ。中村は語る。

「19世紀末から20世紀の初頭にかけて、欧州で船舶の高速化が競われました。この頃、エンジニアたちはとにかくスクリューを早く回転させれば大きな推進力を得られると考えたのです。ところが、スクリューの回転がある速度になってから、それ以上いくら高速回転にしてもなぜか早く進まなくなったのです。そしてスクリューがどんどん削られていってしまう。その原因として発見されたのがキャビテーションという現象でした。」

キャビテーションとは空洞現象と訳される。回っているスクリューの羽根の両側には、飛行機の羽根に生じる揚力のような圧力差が生じる。その結果低圧部には微細な気泡が多量に生じるために、想定された能力を出せないばかりかスクリューの表面を微細に崩壊させ、摩滅させてしまうのだ。このキャビテーション現象を起こさないように、流れを正確にシミュレートして設計することで水力発電は大きく効率化し、より環境負荷を下げることができるのだ。

大掛かりな模型実験も敢行

西勝原第三発電所のランナ更新ではCFDによるシミュレーションの上に、模型を作製しての大掛かりな実験も行われた。必ずしも行われるものではない模型実験を行ったのは西勝原のランナが斜流水車と呼ばれるタイプのものだったからだ。

水車には、高圧のジェットをランナに当ててエネルギーを取り出すペルトン水車と、羽根に流れを導いてエネルギーを取り出すフランシス水車およびカプラン水車があり、水源の落差と流量の大小によって適用を決定する。斜流水車はフランシスとカプランの中間の地点に使われる。斜流水車は適用事例が少なくランナ内部の流れも両者と異なるため、CFDが期待通りの精度で解析できないリスクがある。そのために模型実験を行い解析精度の検証を行うことにしたのだ。

「実験を行えばもちろんコストが嵩みます。それでもあえて実験することを了解いただけたので結果を出さなければならない。これは大きなプレッシャーでした。」

斜流水車の代表模型
(径 0.4m  重量 70kg)

西勝原第三発電所向け新ランナの模型

複雑な形状と納期の問題に直面する製造現場

このプレッシャーをもっとも強烈に感じていたのは製造現場のスタッフだろう。実際に製造に携わった生産部水車グループのマネージャー、濵岡祐司はこう語る。

「ランナの更新やメンテナンスでは、いつでも納期との戦いです。ランナがなければ当の水力発電所はもちろん、その下流の水力発電も回せないのです。お客様の事業活動に影響を与えてしまいます。」

ランナに画期的な進化をもたらしたCFDの技術だが、現場では戸惑うこともあるようだ。

「これまでの設計とは異なり羽根の肉厚差が大きいなど、全く違う形状の設計が出てくるんです。西勝原第三発電所の場合も、ランナの羽根の外球面は2つの球面を組み合わせた特殊な形状をしており、まさにコンピュータでなくてはできないような設計。このような特殊な外球面形状の羽根ですと、加工だけでなく現地での据付調整も困難になります。」

水車グループマネージャー
濵岡祐司

西勝原第三ランナの羽根周りのCFD 

関係者の予想を上回る効果が!

こうしてお客様とも協力しながら設計・開発し、現場スタッフが休日を返上してまで製造に注力した新たなランナは2017年4月、西勝原第三発電所に据え付けが完了した。

西勝原第三発電所納入 斜流水車ランナ

その結果は予想を上回るものだった。最大出力は約1,500kW増えて49,500kW、年間の発電量にして約660万kWhもの増加となった。この増加した発電量は一般家庭約2100世帯の年間使用電力量に相当し、そのCO2排出量削減効果は年間約3,900トンに及ぶ

その効果について再び副社長の中村の説明を聞こう。

「もともと西勝原第三発電所は効率がよい発電所でしたが、それでもさらにこれだけ高効率化することができた。それも羽根の交換だけでです。お客様にはこの数字に大変満足していただきました。そして、改善点はそれだけではありません。静粛性も向上し、振動の小さい水力発電所に生まれ変わりました。」

更新時期を迎える多くの水車を改善することで、大きく環境負荷を低減

このようにランナや付属する機器の改良による効果は、発電量の増加だけではない。

「水車の内部は水圧が大きく変化するために、水圧の極端に低い部分を通った魚が破裂してしまうのです。そのため欧米では、水車を通過した魚の生存率が、環境負荷を考える指標の1つになっています。当社では魚に優しいランナを開発しており、アメリカのお客様に高く評価していただいています。またこれまで油圧式だった操作機構(サーボモータ)を電動式に変えたり、油を採用していた軸受けやランナハブを水潤滑にすることで、油漏れによる河川の水質汚染を防止しています」

一見、成熟しきった技術かに見える水力発電だが、その進化による効果は大きいのだ。

中村はこう話を締めくくる。

「日本では1960年代に大容量の水力発電所が数多く建設されました。それらは今、いっせいに更新の時期を迎えようとしています。日本に数多くある60年以上使われている水車を新たに効率的なものに更新することで確実に発電能力がアップし、環境負荷を大きく低減できるのです。そして、これからも水力発電は進化していきます」

ランナ製作・オーバーホール現場
(カプラン水車)

※出典:北陸電力株式会社様プレスリリース

http://www.rikuden.co.jp/press/attach/17040302.pdf

リンク先:

地球温暖化防止(CSR)

http://www.fujielectric.co.jp/about/csr/global_environment/preventing_warming.html

水力発電システム(製品)

http://www.fujielectric.co.jp/products/hydraulic_power_plant/

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