2012ebook
36/65

35熟練の技を次代につなぐ 「製造現場ではこれまでも地道に改善を重ねてきましたが、そこにプロジェクトが加わり、大きなうねりとなりました」。製造部門で主任を務める高橋徹てつゆき如は活動当初をそう振り返る。 高橋が言うプロジェクトとは、FCS全社で進める「高信頼性活動プロジェクト」を指す。2011年にスタートしたこの活動では、お客様の信頼向上に向け、設計、製造、作業研究、品質管理等、ものづくりに携わるあらゆる部門が、徹底した品質管理、改善に取り組んでいる。 このプロジェクトが始動した背景には、いわゆる「2007年問題」がある。同工場も例に漏れず、団塊世代の熟練技能者の一斉退職は、現場の品質問題に少なからず影響を及ぼした。 高橋は語る。「確かに、作業によっては熟練者の高い技能も必要です。でも、技能を技術力でカバーすることはできます。技能者のカンやコツを『見える化』し次代につなぐ。あるいは、若手の新しい視点で従来のやり方を見直してみる。プロジェクトの立ち上げにはそうした意義がありました」。作業者の「肌感覚」を再現 2011年4月。プロジェクトメンバーには次代を担う若手社員を中心に13名が選ばれた。その一人である、品質管理課の鈴木博信が選定したテーマは、「炉中接合の良品率向上」だった。 電磁石の力で装置の電源の入り切りを行うマグネットスイッチ。そのコア部品は、カーボン製のトレイに並べられ、800℃の高温炉の中で溶接される。これが「炉中接合」であるが、溶加材である銀の溶け具合が、部品の良否を分ける一つの大きな要因であった。 鈴木が最初に着手したのは、炉内温度の「見える化」だった。「熱ねつでんつい電対」と呼ばれるセンサーを大型炉の内部に運び、熱の分布状況や、放射熱による温度変化などを、季節の影響も考慮し7カ月間にわたり測り続けた。富士電機(株)の子会社である富士電機機器制御(株)(以下、FCS)では、主に工場の製造ラインで使われるマグネットスイッチ、ブレーカなど、産業分野に欠かせない器具製品を生産しています。市場における不具合を撲滅し、お客様に安心して製品をお使いいただくためには、工程内での徹底した品質の作り込みが欠かせません。プロジェクト活動を通じて製品の良品率向上に大きな成果を挙げた、FCS吹上工場の取り組みを紹介します。社会報告吹上工場における製品品質向上の取り組み絶え間ない改善でお客様に最大の満足をお届けする現場ルポ吹上工場 第二製造課 高橋 徹如吹上工場 品質管理課 鈴木 博信熱電対を手に部品はカーボン製のトレイに並べられ(写真上)、高温の炉で溶接される(写真下)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です