富士電機株式会社

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CSRの取り組み社員が取り組むCSR

東京工場に遺された「武蔵野の森」を活用
生物多様性保全の取り組み

JR中央線、豊田駅から歩いて5分ほどの場所にある富士電機東京工場。その構内には工場周辺の開発と一線を画した緑地が遺されています。富士電機では、この緑地を「武蔵野の森」と名付け、地域の皆さんに協力していただきながら整備を行い、生物多様性保全に取り組んでいます。

設立以来70年以上も手付かずだった森

東京工場の東門を入ってすぐ、事務所棟の裏手には背の高い木々が生い茂る森がこんもりと広がっている。東京都内、しかも駅からすぐの事業所にこれだけのまとまった緑地があるのは珍しい。

その理由について東京工場総務部総務課主査の千木良誠はこう説明する。

「東京工場の設立は戦時中、1943年のこと。もといた京浜工業地帯の工場が空襲される可能性が高いということで疎開してきたのです。その当時は豊田駅前に民家が数件しかなく、緑の多い自然豊かな場所でした。戦後、周囲は宅地として開発されていきましたが、構内の緑地は昔のまま遺されてきたのです」

総務部 総務課 千木良誠

工場のある日野市の人口と工場の従業員数は比例するように増加してきた。工場が地域とともに発展していく中で、周囲から失われていった緑地がエアポケットのように構内に残されたわけだ。

その森の豊かさについて千木良はこう言う。

「シジュウカラやキジバトなど野鳥が多く、春には筍が出るので、採りに来る従業員もいます(笑)。また近隣の方に頼まれて七夕の笹をお分けしたりもしているのです」

高まる生物多様性保全の機運

富士電機はこうした豊かな自然を生かし、生物多様性保全の活動を行っている。
ではそもそも生物多様性とはどのようなことなのだろうか。

地球上ではそれぞれの場所で多くの生き物が関わり合いながら生命活動を行う生物圏を形成し、生態系を作り上げている。多様な生物によって生態系は安定し、環境も保たれているのだ。しかし、人類の活動が拡大する中で絶滅する生物も少なくなく、多様性が失われるような危機に面している。

1992年には国連環境開発会議(地球サミット)において日本を含め190カ国およびECが生物多様性条約を締結。2010年には名古屋にて第10回締約国会議が開催されるなど生物多様性保全の機運が高まる中、富士電機は2010年3月「生物多様性行動指針」を策定し、取り組みを行ってきた。

現状を守りながら最低限の整備を

では「武蔵野の森」の整備のきっかけはどのようなものだったのだろうか。

東京工場総務部環境施設課主任の増田昌彦はこう説明する。

「富士電機は以前から環境ISOに取り組んでいます。その審査委員から“せっかくこれだけの緑地があるのだから生物多様性保全に取り組んではどうか”と勧められたことがきっかけになりました。もともと東京工場は地域とともにさまざまな自然環境の問題に取り組んできた下地もありました」

それまでに「高尾の森作りの会」や「日野の自然を守る会」といった環境保護団体に協力してきた。この両会には富士電機社員の参加も多く、また社員時代に会員となりOBになってからも活動を続けている者がかなりの人数いるという。

総務部 環境施設課 増田昌彦

このように継続的な環境活動をする中で、武蔵野の森を活用できないかという話が社内で出てきたのが2008年のこと。そして本格的に始動したのは2015年だった。日野市の「生物多様性地域戦略策定」が2015年から3ヵ年で議論されたこともあり、近隣の黒川清流公園、多摩平の森、浅川とのつながりを大切にし、合わせて武蔵野の森を整備しようということになったのです。」

こうして日野市環境共生部などとも相談しながら準備を進めていった。また日本野鳥の会に視察してもらったところ多くの野鳥がいることに驚かれたという。

「高尾の森作りの会の人たちに作ってもらった鳥の巣箱も設置しています。こうして地域の人たちと協力しながら進めていくことが大事だと考えています。また専門家の人たちの意見を聞くことも重要でしょうね
専門家が口を揃えて言ったのは“これだけ手を加えられていない状態で森が残っているのは素晴らしい”ということでした。そこで、なるべく現状を守りながら最低限の整備をするという方針になったのです」

初めての作業に「一(いち)」から挑戦

たしかに自然を残すということであれば手付かずのままにしておくのがよいだろう。しかし行動指針の一つに掲げている「社会と連携し、生物多様性保全に配慮した活動を積極的に推進する」を踏まえ取り組んでいこうとするには、人が立ち入れないようではせっかくの自然を活用できず、生物多様性の重要さを伝えることもできない。必要最小限の整備で人が自然と触れ合えるようにすることが大切なのだ。

具体的には遊歩道を作り、テーブルとチェアを置く。また、東京都観光局から寄付されたアジサイ100株と自社で購入した30株を合わせて植栽した。

実際にこうした整備を担当したのは株式会社富士電機フロンティアのスタッフたちだ。同社は障がい者雇用の促進を目的として1994年に設立された富士電機の特例子会社。グループ社内における清掃やメール集配などを業務としている。

同社東京事業所業務課主任、門脇慎はこの作業をはじめた当時はかなり戸惑ったと苦笑交じりに話す。

「それまで草木のことといえば、花壇の整備くらいでした。経験のない大仕事でしたから何をどうすればいいか分からない。整備することになったのは、構内の落ち葉を集めて腐葉土にしていた場所です。そこに遊歩道を作るといっても何から手をつければいいのか……。環境施設課と相談しながら進めていきました」

最も苦労したのは繁茂した熊笹の処理だった。遊歩道を作るためにまずは熊笹を刈り取る。その上に防草シートを敷き、両側に仕切り板を埋めて歩きやすいようにウッドチップを撒いた。

「熊笹は繁殖力が旺盛で根っこからしっかり刈り取らないと防草シートも突き破って生えてきてしまうのです」

作業を担当した矢内智也も言う。

「作業をしたのが夏場だったので暑くてまいりました。ずいぶん蚊にもさされましたし(笑)。でも、カブトムシの幼虫がいたりして自然の豊かさも感じられました。みんなで力を合わせて汗をかきながら整備した武蔵野の森をぜひ大勢の人に見てもらいたいです」

カブトムシについては、毎年夏に行われる近隣住民を招いた工場の夏祭りで子どもたちにプレゼントしてはどうかという案も出ている。

富士電機フロンティア 門脇慎

富士電機フロンティア 矢内智也

多くの人の心を癒せる場を目指していく

最後に、もう一度千木良の話を聞こう。

「現在、整備が済んでいるのは武蔵野の森全体のごくごく一部に過ぎません。鳥や蝶など生き物の誘致や希少種などの保全エリアにすることができるか、同時にどうしたら社員や地域の皆さんの憩いの場にできるかを考えながら、これからも整備を進めていきます。」

そして、生物多様性について皆さんの理解を深めていきたいという。

「将来的には一般公開も考えています。しかし、工場内ですから危険もあります。当面は夏祭りの際に地域の人に見てもらうことになるでしょう。そうしたイベントに合わせて専門家に生物多様性についての講演をしてもらうことも考えています」たしかに漠然と森を見るのと、生物多様性についての知識を得た上で見るのとでは、その印象もずいぶん変わってくるだろう。

今後も武蔵野の森の整備エリアを拡大し、社会と連携した生物多様性保全の取り組みを推進していく。

遊歩道を作り、ウッドチップを撒いた憩いの場

構内の小道を進むと竹林が広がっている

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