受配電・制御機器分野をリードする コンポーネント&ソリューションプロバイダーを目指す仏シュナイダー・エレクトリック社との合弁会社 新生「富士電機機器制御株式会社」を10月1日に設立―合弁のねらいと戦略について―

2008年8月28日
富士電機株式会社

 当社の親会社である富士電機ホールディングス株式会社(本社:東京都品川区、社長:伊藤 晴夫)は、フランスのシュナイダー・エレクトリック・インダストリーSAS(本社:フランス・ルエイユマルメゾン市、CEO:ジャン-パスカル・トリコワ、以下シュナイダー・エレクトリック社)と、受配電・制御機器事業分野における合弁会社の設立についての株主間契約書の調印を本日8月28日(木)に行いました。
 合弁会社は、現在の富士電機機器制御株式会社(本社:東京都中央区、社長:肥後直人、以下FCS)と、シュナイダー・エレクトリック社の日本法人であるシュナイダーエレクトリック株式会社(本社:東京都台東区、社長:ピエール・レベック、以下SEJ)との事業統合を行い、富士電機ホールディングスグループの連結子会社となる新会社として富士電機機器制御株式会社(本社:東京都中央区、社長:肥後直人、以下新FCS)を10月1日(水)に設立いたします。なお、合弁会社の出資比率は、富士電機グループが約63%、シュナイダーグループが約37%となります。
 新会社(新FCS)は、日仏両社の製品ラインアップ・開発力の活用により、製品の相互供給・共同開発、グローバルなネットワークの共用、高い品質・サービスと高度なコンサルティング力の統合により、受配電・制御機器分野において業界をリードするコンポーネント&ソリューションプロバイダーとして事業拡大を目指してまいります。
 なお、新FCSは、設立時点の連結売上高700億円に対し、2012年度には連結売上高1,000億円を目指していきます。

1.合弁会社設立の背景

 FCSは、受配電機器・制御機器を主力基盤事業とし、日本市場におけるリーディングカンパニーとしての評価を確立し、またアジア市場でも大きな評価を得ています。
 一方、SEJの親会社であるシュナイダー・エレクトリック社は、海外の主要規格に準拠する受配電・制御機器、オートメーション事業分野において、欧州・アジア・北米で世界をリードする企業グループの一つです。
 世界の受配電機器・制御機器の市場は、EUにおけるIEC規格の発展とそのグローバル化、および新興市場の台頭による価格競争の激化などに伴い、厳しい環境を迎えつつあります。また同時に、この分野は環境対応、省エネルギー、安全性の強化など、新たな状況への対応が迫られています。
 このような背景の中、FCSとシュナイダー・エレクトリック社は、2003年11月から製品の相互供給を行い、また2004年3月に中国におけるブレーカ製造の合弁会社を設立するなど、協業関係を築いてきました。中期的な目標としてアジア市場でのシェア拡大を目指すFCSと、日本市場でのプレゼンスを強化したいシュナイダー・エレクトリック社のニーズが一致することから、今年3月、受配電・制御機器事業分野における合弁会社を設立することを合意し、このほど本件事業を統合し、合弁会社の設立に至ったものです。

2.合弁会社の狙い

 FCSの受配電機器・制御機器と、シュナイダー・エレクトリック社の安全機器・省エネルギー機器などの高付加価値製品との組み合わせや、両社のノウハウを活かした新製品開発などにより、コンポーネントの供給力を強化します。また、拡充した製品ラインアップをベースに、両社がこれまで培ってきた日本、アメリカ、ヨーロッパなど異なる市場におけるマーケティングやコンサルティングのノウハウを共有することで、顧客ニーズに的確に対応したソリューションビジネスを拡大していきます。これらグローバルな製品力と付加価値の高いソリューションの提案力を兼ね備えた、業界をリードするコンポーネント&ソリューションプロバイダーを目指します。

1)2012年度の連結売上高1,000億円を目指します
 両社の事業統合が生み出すシナジー効果や、高い品質の製品・サービスを通じて、業界をリードするコンポーネント&ソリューションプロバイダーとして事業拡大を図り、2012年度には連結売上高1,000億円を目指します。

2)受配電機器分野で国内シェアNO.1を目指します
 受配電機器分野の国内シェアを現在の23%(FCS+SEJ  2007年度推定)から2012年度には35%とし、トップシェア獲得を目指します。

3)売上高海外比率35%を目指します
 グローバルカンパニーとしてアジア圏への進出を進める日本企業に対し、最適なサービスを提供し、海外売上高比率を2012年度には35%にします。

3.合弁会社の概要

4.合弁会社の戦略

 今回の新合弁会社設立により、日本国内において確立されているFCSの販売ネットワークに、新たにシュナイダー社の製品を投入し、受配電・制御機器のラインアップを拡充するとともに、新たな企業体制を構築し、業界をリードするコンポーネント&ソリューションプロバイダーに向けて、以下の施策を推進していきます。

1)競争力のある機種・製品によりシェアを拡大
・省エネソリューションの提供で受配電機器分野のトップシェアを獲得

受配電機器の品揃えを強化することで、物件受注の拡大を目指します。特に、省エネソリューションとして高機能電力監視機器など、付加価値の高い製品・サービス提供の強化を図ります。
・製品ラインアップの拡充により安全機器分野でシェア20%を獲得
制御機器のラインアップ拡充に加え、特にシュナイダー・エレクトリック社の得意分野である安全機器とコンサルティング力を組み合わせることにより、年率で二桁以上の市場拡大が見込まれる制御機器分野における安全機器分野の現在のシェア4%(FCS+SEJ)を、2012年度には20%とし、主要事業に発展させていきます。

合弁会社の戦略図

2)コンサルティング力の強化による新分野の開拓
 省エネルギーソリューション、自動車関連やレトロフィット分野(更新需要)などへ、コンサルティング力を活かしたソリューションビジネスを拡大し、2012年度には売上高100億円を目指します。
 特に、データセンターや病院など、クリティカルパワー技術(完全な無停電電源を構築する技術)が必要とされる分野を、新たなビジネス領域として開拓していきます。またこのため、コンサルティングに特化したセールスエンジニアを養成していきます。

3)国内外の販売・サービスネットワークの強化
 FCSがサポートする日本、中国、東南アジアの販売・サービスネットワークに加え、シュナイダー・エレクトリック社の北米、南米、欧州、中近東、アフリカに及ぶ広大な販売・サービスネットワーク(190カ国、15,000拠点)を活用し、これらの拠点をFCS製品のサポートに対応させることで、新FCSのサポート体制を世界市場に拡げます。
 グローバルカンパニーとして海外進出を進める、自動車関連の機械メーカーや工作機械、ロボット、半導体製造装置メーカーなどの日本企業に対し、最適なサービスを提供します。また、新たにタイに販売会社を設立し、アジア地域での販売・サービス体制を強化します。

4)開発・生産体制の強化
 新FCSは、両社による研究開発費の相互負担、知的財産の相互利用を行い、共同開発による開発スピードの向上を通じて製品開発力を強化していきます。具体的には次世代電磁開閉器の共同開発について検討中です。
 開発体制については、国内では、複数の事業所に分散していた開発機能を吹上工場に統合し、製品企画から量産品の立ち上げまで一貫した体制を構築することで、新製品のタイムリーな市場投入を実現します。海外では、新たに中国・大連地区に技術センターを設置し、中国市場向けを中心とした製品の開発力や顧客対応力を強化します。
 生産体制では、国内における生産機能を大田原工場、株式会社秩父富士に集約する一方、中国における生産拠点の強化、さらに新たな生産拠点を東南アジアに設置することにより、海外生産比率を約50%に高めていきます。

■関連する会社の概要

以上