富士電機

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知っておくべきSCCR

SCCRってそもそも何?という方から、よくある質問や間違ってはいけない選定ポイントまで幅広く「SCCRの対応ポイント」をまとめたサイトができました。

知っておくべきポイント

Fundamental

設備や機械の輸出時によく耳にする「SCCR」実は米国向けだけでなく、欧州向けの対応も必要です。
いまのうちに知っておくべきSCCRのアレコレ、ざっくり押さえておきましょう。

SCCRってそもそも何?

装置・盤が耐えられる短絡電流の最大値です。
「SCCR」とはShort Circuit Current Ratingの略で、機械装置・盤が耐えられる短絡電流の最大値のことを指します。
日本産業規格であるJIS B9960-1では短絡電流定格と翻訳されています。

なんで対応する必要があるの?

電気事故による火災を防ぐためです。
現地で電気事故が起こった際に流れる短絡電流で火災などの二次災害を生じさせないためです。

どの回路が対象となるの?

米国で要求されるSCCRは動力回路、ならびに動力回路に繋がる電源部分の一次側までが対象となります。

米国だけに対応すれば良かったのでは?

米国だけというわけではありません。欧州やアジアにおいても基本的な考え方は同じです。
SCCRは国際規格IECでも規定されています。特に、2016年の改定でその内容が強化されました。

SCCRに関する規格について
もっと詳しく

米国へ機械を輸出する場合、従来UL認定品を使っていれば問題ないと言われてきましたが、NFPA 70National Electric Code:アメリカ電気工事基準やNFPA 79 Electrical Standard for Industrial Machinery:産業機械の電気規格の改訂により、ただ単に機械の制御盤に使われている製品がUL認定品であれば問題ないと言えなくなっています。

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社内共有にご活用ください

  • D&C press lite知っておくべきSCCR Q&Aガイド【基礎編】

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  • D&C press lite知っておくべきSCCR Q&Aガイド【実践編】

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各SCCR値に適応した製品が見られる「SCCR値組み合わせ早見表-北米編」もあわせて
ダウンロードができます。

資料のダウンロードには簡単なアンケートにご回答いただく必要がございます。

メーカとの直接相談窓口もございますので、
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下記からお問い合わせください。

お問い合わせいただく内容によってはご連絡までにお時間をいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

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制御盤の目標SCCR値はどうやって決めるの?
SCCRが要求される目的は、制御盤が設置される場所で短絡事故が発生した場合に、流れる短絡電流よりも大きな短絡電流定格(SCCR)を制御盤が持つことを担保することです。従って制御盤が設置される場所での短絡電流より求める必要がありますので、ユーザに提示してもらう必要があります。
機械安全のために、電磁接触器を2重化した場合のSCCR値は?
電磁接触器を直列に2台接続した場合も、1台の場合と同じように考えてください。
例)SC-0のSCCRはAC240V/25kA(上位に30A以下のULブレーカ設置時)です。
SC-0を2台直列した場合も、上位に30A以下のULブレーカを設置することで、SCCRはAC240V/25kAとなります。
カタログに記載されている電磁接触器のSCCRについて、使用するブレーカは表に記載されている形式でなければならないのでしょうか?例えば他社のブレーカとの組合せは使用できますか?
可能です。UL489規格品のブレーカ(漏電遮断器)であり、カタログに記載の定格電流値を使用すれば、カタログに記載していないブレーカ(漏電遮断器)の使用が可能です。なお、その定格電流は最大値ですので、この値以下であれば問題ありません。
また、ブレーカの遮断容量(SCCR値)が電磁接触器より低い場合は、そのブレーカの遮断容量の値となります。ただし、マニュアルモータスタータ(BM3)と電磁接触器の組合せはカタログの指定品でなければなりません。
ブレーカのカタログに電圧「480VY」や「480VΔ」とありますが、この違いは?
電源トランスの結線をし示しています。
Y:電源のトランスがスター結線され、中点が接地されている電源
Δ:電源のトランスがデルタ結線され、その内の1点が接地されている電源
上記いずれも、相間電圧は同じでも、結線方式により相ー大地電圧が変わります。その電圧は、Yの場合は、相間の1/√3となりますが、Δの場合は相間と同じ電圧(接地相以外)になります。この違いにより、一部の性能に制約がかかるため、電圧にYの記載のあるものはスター結線された電源にのみ使用可能です。電圧にΔの記載のあるものは、スター結線及びデルタ結線の電源双方に使用できます。なお、Y及びΔの記載のないものもスター結線、デルタ結線双方の電源に使用できます。従って、電圧にYの記載のあるものは電源トランスの結線を確認する必要があります。米国は480VY結線の電源が一般的です。
SCCRを大きくするために、限流ブレーカ、限流ヒューズの使用をしたいのですが、どのブレーカ、ヒューズを選定すれば良いのでしょうか?
限流ブレーカ、限流ヒューズ共に日本メーカで製作しているものはありません(2022年5月時点)。
従って海外メーカの製品を使用することになります。限流ブレーカにつきましては、シュナイダー製のPowerPactシリーズにございます。
詳細は弊社営業にお問合せください。
マニュアルモータスタータ(BM3)をType E 又はType Fに適用する場合、電源側端子カバーBZ0TCREを使用しなければならないのですが、付属品のブスバーを使用する場合も電源側端子カバーが必要ですか?
付属品のブスバーを使用する際には、電源入力端子ブロックBZ0BFRARを必ず使用してください。端子カバーは不要となります。
マニュアルモータスタータ(BM3)をType E 又はType Fに適用する場合、短絡警報接点ユニットBZ0TKUABを使用しなければならないのですが、このユニットの信号をどう処理すればよいのでしょうか?
UL規格で要求されている内容は、「短絡電流が流れてマニュアルモータスタータがトリップしたことが識別できる」ことです。この短絡警報接点ユニットは、短絡動作時に青色のリセットボタンが突出し、識別ができます。従って、接点信号を処理する必要はありません。
なお、短絡動作した場合は、このリセットボタンを押してリセットさせてください。
制御回路をAC200Vで構成。又は絶縁トランスなしで構成している。
NFPA79(9.1.1項及び9.1.2項)では制御回路は絶縁トランスを介して、AC120V以下(DCの場合は250V以下)とする規定があります。制御回路(絶縁トランスの2次側)は絶縁トランスにて電気的に分離されるため、SCCRについては対象外となっています。AC200Vで制御回路を構成しますと、主回路と同等とみなされ、SCCRの対象となり、対策が困難となります。
リレー接点、センサの出力接点を主回路に使用している。
リレー接点、センサの出力接点は制御回路に使用するものです。従って、主回路には使用できません。SCCR値もない場合が多く、あっても非常に小さい値です。
対策として、制御回路にて、リレー接点で電磁接触器を制御し、その電磁接触器の接点を主回路に使用してください。
AC240VでUL規格を取得している
ブレーカをAC480V回路に使用している。
AC500V以下であれば、殆どの機器の定格電圧は、国内用途、海外用途は同じ定格となっています。
しかし、ブレーカ、漏電遮断器はUL規格では定格電圧が異なる場合(低い場合)がありますので、注意が必要です。具体的な例を下記に示します。
<UL489規格品のブレーカ:BW50RAGUの場合>
  • JIS規格及びIEC規格での定格電圧:AC500V
  • UL規格での定格電圧:AC240V
となっていますので、UL規格対応した場合、400V回路では使用できません。
この理由を簡単にお伝えしますと、ブレーカは保護器に分類されているため、UL規格ではより厳しい要求があることが原因で、定格電圧が低くなっています。
主回路の分岐をブレーカの一次側を渡り配線をして実施している。
ブレーカの一次側の渡り配線は、制約事項が多く、また審査官によっては渡り配線自体を不可と判断されている場合もあります。従って、ブレーカ一次側の渡り配線は行わず、分岐端子台を使用して分岐を行ってください。
なお、この分岐端子台もSCCRの対象となりますのでご注意ください。
また、主回路の中継端子台もSCCRの対象となります(過去に単結回路図をいただいてチェックした際、回路図に端子台の記載のない場合が多く漏れていることがございました)。
なお、マニュアルモータスタータの渡りバーはUL規格を取得しておりますので、渡り配線として使用可能です。
主回路にUL1077規格を取得したサーキットプロテクタを使用している。
UL1077規格を取得したサーキットプロテクテタ(以下CP)は補助保護装置というカテゴリに分類されているため、このCPのみでは回路保護(配線保護)はできません。NFPA79(7.2.1.3)にも明確に記載されています。
回路保護(配線保護)に使用できるものはUL489規格を取得したブレーカとなります。
CPは制御回路内の分岐回路に機器保護用として使用します。
1つの過電流保護器(ブレーカ、漏電遮断器、ヒューズなど)に複数の負荷を接続している。
米国では、各負荷それぞれに過電流保護器が必要です。1つの過電流保護器で複数の負荷を保護(接続)することをグループインスタレーションといいますが、このグループインスタレーションは規格で決められた場合のみとなっております。
グループインスタレーションを満足しない場合は、個々の負荷に個別に過電流保護器を設ける必要があります。
もっとも良く使われる方法をご紹介します。
下記条件を満たした場合に、定格15A以下の1つの過電流保護器に複数のモータ回路を接続することができます。
  • モータ定格が1馬力以下で、定格電流が6A以下(1馬力以下でも6Aを超えるのはNG)。
  • 使用する過電流保護器の種類及び定格が、各モータ回路に接続される機器から指定される条件に合致すること(例えば、インバータより5A定格のブレーカが指定されている場合は、5A定格のブレーカを使用しなければなりません)。
  • 各モータ回路にはサーマルリレーなどの過負荷保護器があること。
マニュアルモータスタータの負荷側にインバータ回路がある。
マニュアルモータスタータのタイプE・Fは、UL489ブレーカの代わりに使用できますが、保護できる対象は直入れのモータ回路のみです。インバータや端子台などの機器を保護する用途では使用できません。
その場合にはブレーカを追加で取付けるか、マニュアルモータスタータではなく、ブレーカを使用してください。
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