食品製造業・食品工場に関する動向調査
食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査

この調査に関連する最新情報が公開されています

食品製造業のIoT/IT「現在取り組んでいる」は36.8%、課題は「人材不足」

IoTの利用が進む昨今、食品工場を含む工場現場では生産設備や保全・稼働監視等でIoTの普及が進んでいます。

データの収集からAI・機械学習等の利用も従来と比較して、コストを抑えて実施できる環境が整いつつあること、従来のITシステムのクラウド対応などによるIoT連携が容易になったことなどが背景にあります。

このIoT/ITについて食品製造業での利用動向を調査すべく、IoT/ITの導入・検討にかかわる食品製造業従事者を対象に「食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査」を実施しました。

食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査概要

食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査のイメージ
対象エリア

全国

調査対象者

食品製造業従事者

所属部門

製造・生産,生産管理・品質管理,技術・研究開発,経営企画・事業企画,情報システム,その他

有効回答数

253人

調査方法

インターネット調査

調査期間

2021年6月16日~6月18日

調査項目

  • IoT/ITを利用した、生産性の向上や業務効率化等を目的とした取り組み

  • IoT/ITを利用・活用した取り組みを実施していない/しない理由

  • IoT/ITの活用により期待している事

  • IoT/ITを利用・活用していく上での阻害要因

  • IoT/ITで収集・取得したデータの利用有無

  • IoT/ITで収集・取得したデータの活用状況

  • IoT/ITの利用・活用状況

    • 遠隔作業支援システム

    • 予兆保全・予知保全システム

    • トレーサビリティシステム

    • AI画像認識システム

    • IoTプラットフォーム

    • 設備保全管理システム

    • 製造実行管理システム(MES)

    • 稼働監視システム

    • 音声認識システム

    • 可視化ツール/ダッシュボード

    • 健康安全管理システム

    • 入退室管理システム

    • 温度管理システム

  • IoT/ITの利用・活用に関する問題・課題について(FA)

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

食品製造業におけるIoT/ITの利用動向調査の結果

IoT/ITを利用した、生産性の向上や業務効率化等を目的とした取り組み(複数回答)

IoT/ITの利活用状況について「現在取り組んでいる」と回答したのは全体の36.8%、「今後取り組む予定がある」が21.3%となった。一方で、「必要性は感じているが、取り組んでいない」が18.6%、「取り組んでない」の回答は全体の16.6%となった(図1)。

従業員規模別では従業員数が多くなるほどIoT/ITの利活用状況が進んでいる傾向がみられた。
従業員規模別では5000人以上では「現在取り組んでいる」の回答は66.7%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では18.8%となり、取り組み状況に47.9%の差が開いた。

図1 IoT/ITを利用した、生産性の向上や業務効率化等を目的とした取り組み

IoT/ITを利用した、生産性の向上や業務効率化等を目的とした取り組み

IoT/ITを利用・活用した取り組みを実施していない/しない理由(複数回答)

IoT/ITを利活用していない/しない理由について、もっとも回答が多かったのは「製品・システム導入するための予算がない」で33.7%,次いで「業務内容にあった製品・システムがない」で30.3%、「導入後の運用を任せられる人材がいない」で29.2%の順に続く結果になった(図2)。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図2 IoT/ITを利用・活用した取り組みを実施していない/しない理由

IoT/ITを利用・活用した取り組みを実施していない/しない理由

IoT/ITの活用により期待している事(複数回答)

IoT/ITの活用により期待している事について、もっとも回答が多かったのは「コスト削減」で46.9%、次いで「生産性の向上(自動化、機械化の推進)」で46.3%、「データの活用・見える化の推進」で42.9%の順に続く結果になった(図3)。

従業員規模別では1000人~4999人では「データの活用・見える化の推進」の回答は70.8%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では21.9%となり、取り組み状況に48.9%の差が開いた。

図3 IoT/ITの活用により期待している事

IoT/ITの活用により期待している事

IoT/ITを利用・活用していく上での阻害要因(複数回答)

IoT/ITを利用・活用していく上での阻害要因について、もっとも回答が多かったのは「IoT/ITと業務を理解する人材不足」で36.4%、次いで「設備投資予算の制約」で32.0%、「投資効果が不透明」で29.2%の順に続く結果になった(図4)。

従業員規模別では1000人~4999人では「システム化・自動化が困難な業務・作業が多い」の回答は38.7%という結果になった。一方、従業員規模100人未満では21.2%となり、取り組み状況に17.5%の差が開いた。

図4 IoT/ITを利用・活用していく上での阻害要因

IoT/ITを利用・活用していく上での阻害要因

IoT/ITで収集・取得したデータの利用有無

IoT/ITで収集・取得したデータの利用・活用について、「積極的に活用している」と回答したのは全体の19.4%、「ある程度活用している」が57.0%となった(図5)。

一方で、 「まだ活用していないが、今後活用を検討している」が10.8%、「必要性は感じているが、活用していない」の回答は全体の8.6%となった。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図5 IoT/ITで収集・取得したデータの利用有無

IoT/ITで収集・取得したデータの利用有無

IoT/ITで収集・取得したデータの活用状況(複数回答)

IoT/ITで収集・取得したデータの利用・活用状況について、もっとも回答が多かったのは「データ分析による現状把握」で67.6%、次いで「データの収集・蓄積」で63.4%、「データ分析による業務効率化・改善活動」で56.3%の順に続く結果になった(図6)。

従業員規模別では、100人~499人で「データ分析による業務効率化・改善活動」が全体と比べやや高くなっている。

この設問の回答数が少ないため参考データとなります。

図6 IoT/ITで収集・取得したデータの活用状況

IoT/ITで収集・取得したデータの活用状況
関連:AI・機械学習導入に向けたデータ統合基盤の構築

データ活用基盤を構築することで、レポーティングの自動化、製造データ解析による品質改善、AI・機械学習の導入も容易になり、食品工場の経営課題の解決や生産性向上を可能にします。

IoT/ITの利用・活用状況

IoT/ITの利用・活用状況について、「入退室管理システム」の回答が最も多く57.1%、次いで「製造実行管理システム(MES)」が53.1%、「温度管理システム」が51.7%となった。(図7)。

図7 IoT/ITの利用・活用状況

IoT/ITの利用・活用状況

遠隔作業支援システムの利用状況

遠隔作業支援システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の7.5%となった(図8)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が14.3%という結果になった。
「今後、利用を検討している」の回答は全体の24.5%で、従業員規模別では100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図8 遠隔作業支援システムの利用状況

遠隔作業支援システムの利用状況
関連:遠隔作業支援(スマートグラス)

遠隔作業支援パッケージ FWOSP-Glass。遠隔地の現場状況をリアルタイムで把握し、作業指示を支援します。食品工場の点検・保全作業の人材不足の解消、管理工数の削減、設備故障からの復旧時間の短縮などの課題を解決します。

予兆保全・予知保全システムの利用状況

予兆保全・予知保全システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の8.8%となった(図9)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が14.3%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の25.2%で、従業員規模別では100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図9 予兆保全・予知保全システムの利用状況

予兆保全・予知保全システムの利用状況
関連:予知保全によるコスト削減・IoT活用事例

予知保全によるコスト削減・IoT活用事例。予防保全から予知保全へ保全方式を切り替えることで、メンテナンスコストの低減やいままで対応が難しかった異常値の検知ができるようになります。

関連:IoTによるモータの予知保全

回転機故障予兆監視システム Wiserot。回転機の故障原因の64%をカバー可能。既存の設備に取付が容易で、食品工場の電動機・ポンプ・ファン等の回転機の故障を防ぎ、製造ライン停止による機会損失を低減します。

トレーサビリティシステムの利用状況

トレーサビリティシステムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の15.0%となった(図10)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が12.9%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の23.1%で、従業員規模別では100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図10 トレーサビリティシステムの利用状況

トレーサビリティシステムの利用状況

AI画像認識システムの利用状況

AI画像認識システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の10.9%となった(図11)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が8.8%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の21.8%で、従業員規模別では500人~999人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図11 AI画像認識システムの利用状況

AI画像認識システムの利用状況

IoTプラットフォームの利用状況

IoTプラットフォームの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の9.5%となった(図12)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が15.0%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の25.2%で、従業員規模別では100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図12 IoTプラットフォームの利用状況

IoTプラットフォームの利用状況

設備保全管理システムの利用状況

設備保全管理システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の10.9%となった(図13)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が9.5%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の21.1%で、従業員規模別では、100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図13 設備保全管理システムの利用状況

設備保全管理システムの利用状況

製造実行管理システム(MES)の利用状況

製造実行管理システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の23.1%となった(図14)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が11.6%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の23.8%で、従業員規模別では、100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図14 製造実行管理システム(MES)の利用状況

製造実行管理システム(MES)の利用状況

稼働監視システムの利用状況

稼働監視システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の17.7%となった(図15)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が18.4%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の21.1%で、従業員規模別では、100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図15 稼働監視システムの利用状況

稼働監視システムの利用状況

音声認識システムの利用状況

音声認識システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の4.8%となった(図16)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が10.9%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の26.5%で、従業員規模別では、5000人以上で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図16 音声認識システムの利用状況

音声認識システムの利用状況

可視化ツール/ダッシュボードの利用状況

可視化ツール/ダッシュボードの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答は全体の7.5%となった(図17)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が17.7%という結果になった。

従業員規模別では5000人以上では「既に利用しており、導入効果もでている」の回答は20.0%、一方で従業員規模100人未満では9.4%となり、取り組み状況に10.6%の差が開いた。

図17 可視化ツール/ダッシュボードの利用状況

可視化ツール/ダッシュボードの利用状況
関連:流量計とEMSで食品工場の省エネを実現。工場のエネルギー消費量を可視化。

配管工事不要で簡単に取付けられ、圧力損失の心配なしに蒸気流量を測定可能。高精度で飽和蒸気の流量を測定し、蒸気流量の「見える化」を実現。EMS連携で省エネにも貢献します。

健康安全管理システムの利用状況

健康安全管理システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の9.5%となった(図18)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が14.3%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の23.8%で、従業員規模別では、100人未満で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図18 健康安全管理システムの利用状況

健康安全管理システムの利用状況

入退室管理システムの利用状況

入退室管理システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の25.9%となった(図19)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が15.6%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の19.7%で、従業員規模別では、100人未満で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図19 入退室管理システムの利用状況

入退室管理システムの利用状況

温度管理システムの利用状況

温度管理システムの導入状況について「既に利用しており、導入効果もでている」と回答したのは全体の22.4%となった(図20)。

一方で、「既に利用しているが、導入効果がでていない」が15.0%という結果になった。

「今後、利用を検討している」の回答は全体の21.1%で従業員規模別では、100人~499人で「今後、利用を検討している」が全体と比べやや高くなっている。

図20 温度管理システムの利用状況

温度管理システムの利用状況

IoT/ITの利用・活用に関する問題・課題について(FA)

食品製造業のIoT/ITの利用・活用に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「人材不足」「費用対効果」「知識・技術不足」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 何から手を付ければ良いのかわからない

  • 導入費用が高いため、実際に導入するのが難しい

  • 経営層のIoT活用の認識不足がはなはだしく、投資対象として考えていない

  • 導入や検討をする人材が不足している

  • システムを担当している課員のスキルアップが必要

  • 作業や業務内容が複雑で変動も変数も多いため、平準化が難しくシステム構築が難しい

  • 使い手の技術や知識が不足している

  • プロジェクトまわせる人間が不足

  • 低コストで進めたいが何から手をつけていけば良いかがわかる人間が居ない

  • 古いシステムからの移行にかなりの時間と手間が掛かること

  • 皆にきちんと仕組み知識が行き渡るかが心配上手く教育できる人材も不足

  • 投資効果の具体的な説得力

  • IoTの活用によって作業効率との費用対効果がわからない

  • 手作業が多い生産ラインの上、小ロット多品種製造が基本で合理的なシステムが導入しにくい

  • 活用を検討しているが、予算確保までが遠く、上の了承を得られそうにないこと

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

(ファイル形式:PDF、1.36 MB)

富士電機では食品製造業・食品工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

[2023年調査]

[2022年調査]

[2021年調査]