富士電機株式会社

安心・安全・高品質な国産パプリカの安定供給をめざして。北海道サラダパプリカ 様

北海道サラダパプリカ 様

輸入品が多数を占めるパプリカ。国内において安定した高い品質で安定出荷を目指す北海道サラダパプリカ様の小林社長にお話をおうかがいしました。
富士電機は、パプリカ栽培に合わせた環境制御と、エネルギーマネジメント技術を駆使した省エネ型施設の設計・調達・施工を一括して手がけました(EPC)。

パプリカ生産大国・オランダの気候を釧路に見つけた

ーー  なぜ釧路でパプリカを

私自身約20年前からパプリカ栽培を行っていたことから、富士電機さんが植物工場を北海道内でつくる際に立地選定のお手伝いをさせていただきました。それがきっかけで運営まで手がけることになりました。

北海道サラダパプリカの小林豊社長

北海道サラダパプリカの小林豊社長

釧路市には3つの利点がありました。まずパプリカ生産の先進国であるオランダの気象条件に似ていて、日照がありながら特に夏場は比較的涼しい。それから、ハウス栽培に欠かせない暖房の熱源として敷地の隣にある製紙工場の蒸気熱を利用できたこと、さらには空港が近いという物流のアドバンテージから今の場所を選びました。

ーー 立地選定後、設計から施工までの流れは

立地選定後、設計から施工までの流れは

生産者の視点からパプリカの栽培に必要な条件を伝えて、それに最適な施設をプランニングしてもらいました。たとえばパプリカは温度変化に敏感で、暑すぎても寒すぎてもうまく育ちません。そのため栽培エリアの温度や湿度などを一定に保つように自動で環境制御ができることであったり、畝のつくりであったり、それからハウスの高さも必要です。
そうした栽培上の要望に加え、パプリカ先進国のオランダで使われている設備やシステムをできる限り導入してもらうようお願いしました。オランダ、韓国、イスラエル、もちろん日本など国内外の様々なメーカーの製品を柔軟に組み合わせた設計で、なるべく理想形に近づけてもらいました。プランニングが固まると調達、施工と進み、完成して栽培を始めたのが2016年の10月です。

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温度変化を敏感に検知し、環境制御で最適な栽培環境をつくる

ーー 導入された富士電機のシステムは

大きいのは環境制御システム。ハウス内に4ヶ所あるセンサーでリアルタイムに温度、湿度、CO濃度、CO2濃度をモニタリングしています。たとえば温度であれば、パプリカ自身の成長や実をつけるのに最適な温度を保つことが大事なので、日中の寒暖差や季節の変化に対して必要な時に必要な分だけ自動的に加温したり屋根を開閉して、効率的に調節できます。

温度調整などを司る環境制御盤
温度調整などを司る環境制御盤

温度調整などを司る環境制御盤

ーー CO2供給はどのように行っているか

収量や実の品質を高める上でCO2はとても重要なため、CO2を供給するシステムを導入し、日中は大気中の濃度の約2倍になるように設定しています。CO2で収量や品質をアップさせる手法自体はよく知られていますが、コストが高く導入を見送るケースが多いと思います。特に北海道では、CO2の生ガスを利用する場合には本州からの輸送が必要なので割高になりがちです。また化石燃料を燃焼させてCO2を発生させるとしても、やはり一定のコストはかかります。
ところが富士電機さんのシステムでは、ハウスを加温するためのボイラーから発生した排気からCO2を取り出してハウス内に供給でき、1台で2役を担うことでコストダウンが図れます。

  • ハウス内のCO2濃度を管理
  • CO2・熱供給システムの一部
  • CO2・熱供給システムの一部
  • ハウス内のCO2濃度を管理

  • CO2・熱供給システムの一部

ーー 敷地の外から続いているパイプラインは

隣の敷地にある製紙工場の蒸気をいただいています。蒸気熱を利用してお湯をつくり、そのお湯をハウス内へ循環させて暖房に利用しています。実際のところはこちらがメインの熱源で、CO2供給と兼用のボイラーはバックアップ熱源の位置付けです。たとえばもしも冬期に蒸気熱熱供給が一瞬でも止まってしまえば、外気温がマイナス20度の日にはハウス内の植物が死んでしまい、その後の生産ができなくなってしまいますから、こうしたシステム構成が大幅な省エネとリスク低減につながっていると思います。

近隣工場の排熱利用で省エネを促進

近隣工場の蒸気熱利用で省エネを促進

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日本の食卓に、とっておきのパプリカを

ーー 現在の収穫の状況は

今年の2月が初出荷でした。そこから国内の他地域では収穫が難しい秋口までここでは収穫が続きますから、端境期でも安定して国産のパプリカを出荷することで、今後も順調に取引を増やしていきたいです。また、1つの区画で試験的にナトリウムランプを設置したところ、パプリカの収量が約3割増すなど新しい手応えをつかんでいます。今はまだ、冬期の収穫は十分な収量が見込めないため実施していませんが、今後の通年栽培を見据えて様々な挑戦をしていきたいです。5年以内に年間600tの出荷を目指しています。

人の目によるチェックも欠かせない
人の目によるチェックも欠かせない

ーー 現在の卸先は

スーパー等の小売店が中心です。現在は赤・オレンジ・黄をつくっていますが、国内のパプリカ市場が大きく育っていけば品種を絞りさらに生産効率を高めることも考えられます。栽培面積は2.3haありますから、数パーセントの改善が大きな違いにつながります。

ーー 今後の展望は

やはり私たちのミッションは、国産の高品質のパプリカを安定供給していくこと。その目標に向かって、栽培ノウハウや設備の知見など日ごとの気づきをもとにPDCAサイクルを回していきます。

−今後の展望は

パプリカはサラダなど生で食べることが多いですから、なるべく農薬を減らすために益虫を使って害虫駆除を行ったり、また、収穫後ダンボールの内側でさらに1枚ビニールを被せて水分を保つなど、様々な工夫を重ねています。みずみずしく、そして香りも味も濃厚なパプリカを楽しんでいただきたいです。

現在釧路市のふるさと納税の返礼品としても私たちのパプリカが選ばれるなど、釧路の街の新しい産業としての期待を感じています。その点からもぜひがんばっていきたいです。

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植物工場の概要

-所在地
北海道釧路市
-会社設立
2015年3月
-竣工
2016年9月
-栽培品目
パプリカ
-栽培面積
約2.3ha
-外観
外観
外観
-栽培風景
栽培風景
栽培風景

システム概要

システム概要 システム概要
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