ニュースリリース
高効率電力変換を実現する「新3レベル変換回路と専用モジュール」の開発
2010年2月4日
富士電機ホールディングス株式会社
富士電機ホールディングス株式会社(社長:伊藤 晴夫、本社:東京都品川区)は、この度,電源やインバータをはじめとする電力変換装置の電力損失を大幅に低減させた、新しいマルチレベル変換回路「新3レベル変換回路」とこれに搭載する専用の「パワー半導体モジュール」を開発し、高効率電力変換システムのプラットフォームを構築しました。
このプラットホームにより、2010年4月には、数10kVAから数100kVAクラスの無停電電源装置に搭載し,省エネ効果の高い製品ラインナップを強化します。また、2010年度には、太陽光や風力など再生エネルギー用パワーコンディショナーなど同容量クラス全ての電源装置をこの回路に置き換えながら、その後順次、車両用やインバータ装置にも展開し,弊社グループの製品に広く応用していく計画です。
なお、このプラットフォームは、エネルギー・環境分野をはじめとした応用製品へ幅広く搭載できるため、単体での外販も行います。
当社グループは、今後もエネルギー・環境分野に貢献する企業として、コア技術で得意とするパワーデバイス技術と回路技術を融合し、パワーエレクトロニクス分野における高効率システムの製品化を推進します。

1.発売製品
次世代変換回路システム
2.新3レベル変換回路の特徴
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(1)
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出力電圧ステップ数を3レベルのマルチレベル化
従来の一般的な電力変換回路は、2レベル
3レベル化により正弦波に近い波形が出力できる
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(2)
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電圧波形を制御するスイッチング周波数を従来の1/2
スイッチング損失が半減
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(3)
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高調波交流フィルタ回路容量が1/2
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(4)
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電力変換回路で本質的な課題である電磁ノイズが半減
従来のIGBTでは、逆方向の電流をブロックするためにダイオードとIGBTを直列に接続する必要がありました。ここに、当社の独自技術である逆阻止IGBT(RB-IGBT:Reverse-Blocking IGBT)を採用することで,ダイオードとIGBTの直列接続が不要とし、3レベル変換専用パワーモジュールと組み合わせることで変換回路の損失発生を大幅に抑制することを実現しました。
例えば,特に変換効率が重要になる太陽光発電用パワーコンディショナー等では発生損失が約40%低減できます。このことは,100kWクラスの装置において,二酸化炭素削減量に換算すると約3t(0.332kg-CO2/kWh:2008年度東京電力発表炭素クレジット適用CO2排出原単位)削減となります。
このRB-IGBTを搭載した世界初の専用パワー半導体モジュールは,新3レベル変換回路1相分をワンパッケージに搭載することで,新3レベル変換器の構成を簡素化できる設計となっています。
以上の通り,新しい変換回路と専用デバイスの相互効果によって,電力変換装置の高効率・小型・簡素かつ低ノイズ化を実現出来るようにしました。
3.新3レベル変換回路と専用パワー半導体モジュールと各種組込製品の発売時期
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(1)
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専用パワー半導体モジュール単体
2010年度予定
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(2)
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数10kVAから数100kVAクラスの無停電電源装置
2010年4月 発売開始
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(3)
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太陽光や風力など再生エネルギー用パワーコンディショナー
2010年度 下期予定
以上