ニュースリリース
北九州スマートコミュニティ創造事業におけるスマート店舗の実証実験開始

2012年5月24日
富士電機株式会社
株式会社デンソー
豊田通商株式会社
株式会社ファミリーマート
株式会社タカミヤ
ヤマト運輸株式会社

 富士電機株式会社(社長:北澤通宏、以下「富士電機」)、株式会社デンソー(社長:加藤宣明、以下「デンソー」)、豊田通商株式会社(社長:加留部淳、以下「豊田通商」)、株式会社ファミリーマート(社長:上田準二、以下「ファミリーマート」)、株式会社タカミヤ(社長:髙宮俊諦、以下「タカミヤ」)、ヤマト運輸株式会社(社長:山内雅喜、以下「ヤマト運輸」)は、地域全体の電力負荷平準化と低炭素化に貢献し、エネルギーを有効活用する「スマート店舗」実現を目的としたエネルギーマネジメントシステム(BEMS:Building Energy Management System)の開発のため、北九州市にて共同実証実験を行います。
 今回の実証実験は、本年6月から2014年12月にかけて行われ、主な内容は以下のとおりです。

1.地域全体のエネルギー使用の最適制御

 本実証実験は、店舗におけるエネルギーマネジメントだけではなく、広く地域全体を見据えたエネルギーマネジメントシステム(CEMS: Cluster Energy Management System)の構築の一環として行われるもので、店舗内機器のエネルギー使用を最適化する店舗コントローラー、省エネ制御可能な空調などの店舗内機器、店舗用のエネルギーの蓄積と放出を制御する蓄電BEMSコントローラー、蓄電池、直流(DC)・交流(AC)の変換及び電圧の変換を行う各種パワーコンディショナーなどからなるシステム(BEMS)の検証を行います。
 具体的には、CEMSとの連携で、需給調整、季節や時間帯に応じて電気料金の単価を変動する仕組みであるダイナミックプライシングと連動した運転を行うとともに、電力網における需要に応答して需要家側の電力消費を調整するデマンドレスポンスによるピークシフト/カット等により、地域全体のエネルギーの最適化を図る制御を行います。

2.店舗内のエネルギー使用の最適制御

店舗コントローラーによる以下のデータ予測に基づき、エネルギー使用の最適制御を行います。

  • 過去の電力使用量や気象予報などから、空調や照明、ショーケースなど、店舗内設備のエネルギー需要を予測

  • 気温、日射量などから、店舗に設置した太陽光発電設備(PV)の発電量を予測

  • 受電コスト最小化を実現する蓄電池の充放電計画を策定

3.エネルギーの蓄積と有効活用

 蓄電BEMSコントローラー、蓄電池およびパワーコンディショナーと電気をつくる太陽電池を組み合わせ、店舗コントローラーが策定した充放電計画に従って、電力の蓄積と放出を制御し、DCで稼動する機器(DC駆動ショーケース、充電ポール)およびACで稼動する機器(店舗内の機器)への電力供給を行います。
 電力会社から供給される電力がACであるのに対し、太陽光発電ではつくられる電力がDCであるため、通常、電気を使用する設備においては一旦ACに変換する必要があり、この変換においてエネルギーのロスが発生していました。今回の実証実験では、DCで稼動するショーケースを設置することで、蓄電池に貯められたDC電力を、ACに変換することなく稼動できるようにします。これにより、変換ロスをなくし、電力の有効活用を行います。
 また、電力需給の特区である立地をいかし、蓄電池から電力系統への逆潮流の機能(蓄電池に貯めた余剰電力を電力会社に戻す機能)を付加しており、電力需給逼迫時の改善への効果の検証を行う予定です。

4.車載蓄電池の小型化による燃費向上、及びコスト低減

 商品を運ぶ集配車両(宅配便:冷蔵・冷凍庫付き)に蓄電池を搭載することで、停車中にアイドルストップしても冷蔵・冷凍庫の温度管理ができることを検証します。また、店舗に充電ポールを設置し、基地である配送センターでの充電に加え、店舗での継ぎ足し充電が行えるようにすることで、車載蓄電池の小型化を図り、燃費向上とコスト低減の可能性についても併せて検証します。

スマート店舗システム概要

今回の実証実験においての各社の役割は以下のとおりです。

 実証終了後は、地域全体のエネルギーの負荷平準化に貢献し、低炭素化社会の実現に向けた効率のよいエネルギーマネジメントシステムの開発・事業化に向け、今回の実験の結果を活用していきます。

 なお、本実証実験は、2010年4月から経済産業省が推進している「次世代エネルギー、社会システム実証地域」の一つである北九州市における「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一環として実施されるものです。

以上