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UL電線の「種類」と「選定」について

盤内機器だけではなく、機器と機器の間をつなぐ各電線も、海外規格に対応する必要があることをご存知でしょうか?
今回は北米で使用される「UL電線」について、種類や選定方法をご紹介します。
※なお北米規格は不定期に改訂されますので、最新の規格内容を確認の上、選定ください。

盤内向けのUL電線って何?

盤内機器と同様に、北米で使用される電線にも定められたルールがあります。

北米で使用される電線に関して説明している規格は、米国の産業機械の電気規格の「NFPA79」と産業用制御盤の規格「UL508A」が挙げられます。
UL508AEd.3の項29.21にて内部配線には90℃(194F)以上の温度定格を有し、
・UL1063 MTW(Machine-Tool Wires and Cables)
・UL44 XHHW-2(Thermoset-Insulated Wires and Cables)など
・UL83 THHW(Thermoplastic-Insulated Wires and Cables)など
・UL758 AWM(Appliance Wiring Material)
4種いずれかの電線を使用することを定めています。

米国産業機械/電気規格の「NFPA79」と産業用制御盤の規格「UL508A」に説明の記載もありますが、
電線メーカ各社は定められた規格に対応した電線をラインアップしており、大きく下記の2種類に分別することができます。

上の図でも述べた通り、装置・機器のリスティングの状況によってどの電線を利用可能かが変わります。
例えば、適用範囲が不明な場合や、電線仕様が不明な場合は、MTW電線を選定されることをお勧めします。

▲盤内のUL電線の対象範囲

電線の選定について

電線には耐熱温度があり、60℃電線、75℃電線、90℃電線と大きく3種類あります。これは絶縁体の材料によって異なり、許容電流値に大きく関係(低い温度の電線は許容電流値が低くなります)します。
ワイヤの耐熱温度は、電線によっても基準温度が異なるため、電線仕様を確認の上、選定する必要があります。
また選定する機器によっては、ULを取得した電線温度が限定されている場合があります。
例えばFCSのブレーカは基本的に75℃電線にて試験を実施し、UL認証を取得しています。
2022年に改訂されたUL508A規格書では、項29.6に60℃または75℃電線で認証を受けている機器が90℃電線を使用する場合は、認証を受けた電線の定格電流値を適用するよう、記載されています。(例:90℃電線であっても、75℃電線の定格電流値を適用)

使用電線についてはカタログ、もしくは製品銘板をご確認ください。

豆知識:UL電線サイズについて

UL508Aの29.6.1にて、主(電源)回路に使用する電線は14AWGよりも太い電線を選定するよう規定されています(負荷と電流容量によっては一部例外もあり)。
同様に37.2.1にて、制御回路も14AWGよりも太い電線を選定するよう規定されています。
しかし10A以下の電流値の場合、電流値によっては細い電線(30-14AWG)を使用することが認められています。

電線メーカ各社(大電株式会社、東日京三電線株式会社、日合通信電線)の電線は下記より選定ください。

UL電線を選定する