富士電機製品コラム
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10分で誰でもわかる! 電気料を削減する自家消費型太陽光発電
自家消費型太陽光発電とは? その種類と注目される背景
自家消費型太陽光発電とは、電気代を節約したいときに、工場や会社の屋上などに太陽光パネルを設置し、そこで発電した電力を利用するものです。その際に、自家消費型太陽光発電は電力の使い方によって、「全量自家消費型」と「余剰売電型」に大別できます。
全量自家消費型は、発電したすべての電力を自社に回して消費する方法です。一方、余剰売電型は、発電した電力を消費するだけでなく、余った電力の一部を電力会社に売電する方法になります。
ただし、企業の場合は、自家消費型太陽光発電を導入しても、その一部の電力を売ることは、現状それほど多くありません。というのも、余剰売電型は、太陽光発電所と同じ扱いになるため、電力会社に売電を受け入れてもらうためのハードルがあるからです。また売電単価も、固定価格買取制度(FIT)が始まった当初と比べ、年々下落していることもあります。
そのため、ほとんどの企業では、すべての電力を自社で消費する全量自家消費型にしています。しかし、例えば工場の昼休みなどで操業が一時的に停止するときは、発生した電力が使われず、電力が余ってしまいます。電力会社と売電契約を結んでいない場合は、それを外部の電力系統に出さないように、太陽光発電の出力を絞って対応することになります。もちろん、蓄電池に余った電気をためる方法もありますが、コスト的に見合わないため選択肢としては、まだ弱いようです。
ところで、なぜ太陽光発電が、いま企業で注目されているのでしょうか? その背景として、環境問題が世界的に叫ばれていることが理由の1つに挙げられます。CO2削減という大きな目標を達成する有効な手段として、火力を使わない太陽光発電に視線が集まっているのです。
ほかにも、再生可能エネルギーには風力や水力などもあります、しかし、風力は風が発生しやすい海辺や平地でないと発電できません。また、水力は河や湖があって、落差のある場所でなければ発電が難しいのです。そういう地理環境の意味でいうと、太陽の光さえ当たればどこでも発電できる、お手軽なアプローチが人気の理由になっています。
自家消費型太陽光発電を導入するメリットとは何か?
自家消費型太陽光発電に関して、企業が一番メリットに感じる点は、やはり電気量の削減にダイレクトに効いてくることでしょう。最近では、電気代が上昇傾向にあります。一方で、太陽光発電の設備コストは下がっています。自社で発電し、電力会社から買う電力を抑えられると、企業の間接的な利益につながります。例えば、利益率が数%の企業では、省エネによる電気料金の削減が、実ビジネスとの収益と同等以上の効果になることもあります。
さらに、自家消費型太陽光発電にすると、電気料金の基本料金を下げられるという効果もあります。基本料金は、主に単価と契約電力(最大デマンド)で決定されます。ここで契約電力は「過去1年間に最も電気使用量の大きかった時間帯の電気使用量」をベースにして決定されます。そこで最も電気を使う昼間の時間帯に太陽光発電で電力を補填すると、ピーク電力を抑えられ、契約電力が安くなるので、結果的に基本料金を下げられるわけです。

また、太陽光発電装置の導入時に、政府から補助金を出してもらえることがあります。自家消費型太陽光発電では、資産として装置を設置する「自己所有モデル」と、第三者所有の装置を無償で取り付け、初期費用をゼロにして、そこで得られた電気を安く購入する「PPA(Power Purchase Agreement)モデル」があり、いずれも補助金が適用されます。
ほかにも、「中小企業等経営強化法」で認定された中小企業が受けられる優遇措置制度もメリットの1つです。太陽光発電装置など、新規設備を導入した際に「即時償却、または税額控除」のどちらかを受けられます。即時償却では取得費用の100%を計上できます。また、税額控除では取得価格の7%か、10%を控除してもらえます(資本金3000万円を超え、1億円以下の場合は控除額7%)。
こういった実利的なメリット以外にも、前出のように再生可能エネルギーによる環境問題の取り組みが、社会や投資家に対するイメージアップに一役買う効果も考えられます。SDGs(2030年までに国連加盟国が達成すべき持続可能な開発目標)や、ESG投資(環境や社会などに配慮する企業に対して行われる投資)、RE100(再生エネルギー100%で事業活動を行う活動・イニシアチブ)への良いアピールにつながるからです。
地味ですが、事業継続性、すなわちBCP(Business Continuity Plan)対策にもなる点もメリットでしょう。日本は災害が多い国なので、地震や台風などで、万が一、電力会社からの電気が止まってしまったときに、太陽光発電で電力を賄えれば、自律的に急場をしのげる可能性があります。
さらに、自社電源を周辺に開放すれば、地域貢献にも寄与できるでしょう。
太陽光発電を導入する際に注意したいポイントとは?
このようにメリットも多い自家消費型太陽光発電ですが、実際に導入するときに注意しなければいけないこともあります。この点については、前節で説明した自己所有モデルとPPAモデルによっても変わってきます。
PPA事業者は、自社で装置を所有できない、あるいは、メンテナンスが難しい企業でも、手軽に電気代やCO2の削減につながります。しかし、PPAモデルには個別審査もありますし、提供期間や電気料が契約で決められています。期間満了後の設備の取り扱いも、契約によって異なります。設備を継続利用する際に、追加費用が発生することもあるので注意しましょう。
またPPAモデルの場合は、初期費用を事業者が負担してくれるのですが、想定した電力が得られないケースがリスク要因になります。それは、太陽光パネルの故障などによって、想定出力にならないケースです。PPAモデルでは「発電する電力」=「もらう(安くなる)電気代」になりますから、もらう電気代が減ると設備の投資回収年数も長くなってしまいます。
一方、自己所有モデルでは、それなりの初期費用がかかりますので、投資対効果が十分にあるかどうかをチェックする必要があります。これは、メンテナンスも含めて考えたほうがよいでしょう。太陽光パネルを屋上や屋根に設置する際に、建屋の強度がない場合には補強工事をしておくことも大切です。
太陽光パネルが壊れるのは、自然災害や、装置自体の経年劣化もあれば、カラスが石を落としてパネルが割れてしまうなど、様々な要因があります。パネルのどこの部分が壊れて、どこを修理すべきかを調べるのも大変です。また、地面にパネルを設置する野立ての場合は、雑草対策も求められます。草木の成長が速い時期は、太陽光パネルが日陰になって出力が落ちることがあるからです。無人稼働になるため、監視設備も必要になります。
太陽光発電を導入する際に必要なコンポ―ネント
最後に、自家用太陽光発電を導入するにあたり、必要なコンポーネントについて簡単に紹介しておきましょう。
当然ですが、まず欲しい電力ぶんだけの太陽光パネルが必要になります。太陽光パネルからは直流が出力されるため、これを交流に変換する装置として「PCS」(パワーコンデショナ)も必須です。PCSによって交流になった出力は、トランスで変圧され、工場などに戻って消費されることになります。

一方、変圧器は電力会社の系統にいく高圧盤にもつながっています。これは、太陽光で賄いきれない電力を電力会社から購入する系統になります。電力会社と売電契約を結んでいなければ、自家発電した電力を「逆潮流」(PCS⇒電力系統)させることはできません。そのためにPCSは、逆潮流を防ぐための機能も備えています。
自己所有モデルの自家発電を実現するには、このように太陽光パネル以外にも、PCSが重要なキーコンポ―ネットになります。そこで、PCS選びもポイントの1つになるでしょう。富士電機株式会社では、世界最高効率のPCSを発売しています。ご興味のある方は、ぜひ、こちらをご覧ください。