サステナビリティ
従業員の安全と健康の管理

労働災害撲滅に向けた安全衛生の方針

安全衛生基本方針

富士電機では職場の安全衛生を企業にとっての最重要課題とみなし、「働く者の安全と健康はすべてに優先する」を基本理念に掲げてこれに基づく「安全衛生基本方針」を広く内外に宣言しています。

安全衛生基本理念 働く者の安全と健康はすべてに優先する
富士電機 安全衛生基本方針
  1. 1.

    富士電機は安全衛生を企業経営における最重要課題の一つと位置付け、安全で快適な職場環境の形成と、労働災害の撲滅および心身の疾病予防に向けた質の高い安全衛生管理活動を実践します。

  2. 2.

    関係法令並びに会社、事業所、部門が定めた自律的な管理基準を遵守し、常に基本に忠実に安全衛生活動を励行します。

  3. 3.

    富士電機の事業にかかわるすべての人が、自らの安全と健康を確保するために、一丸となって自主的な安全衛生活動に取り組み、職場に安全文化を根付かせます。

  4. 4.

    すべての事業において従業員の安全と健康を第一に考える積極的な安全衛生活動を展開し、さらにこれを公開することで、より安全、安心で快適な社会の実現に貢献します。

全社安全衛生管理方針と年間スローガン(2025年度)

毎年度、「安全衛生基本方針」に則した課題や具体的な実施事項をまとめた「全社安全衛生管理方針」を策定するとともに、全社員の意識高揚に向けて、社員公募により「安全衛生年間スローガン」を定めています。

「全社安全衛生管理方針」は各事業所を通して全社員が共有し、工場・本社・支社や各地の工事現場における年間安全衛生諸活動の基礎となるものです。この方針は、国内子会社に加え、海外の子会社に対しても英語版、中国語版を配信、全社一丸となって「安全文化」の浸透と定着に努めています。

 2025年度は、以下の内容を「全社安全衛生管理方針」および「安全衛生年間スローガン」に定め、安全の確保と労働災害の防止に取り組んでいきます。

全社安全衛生管理方針
2025年度安全衛生目標
  1. 1.

    業務上災害 ゼロ

  2. 2.

    業務上疾病 ゼロ

  3. 3.

    交通事故 ゼロ

具体的な実施事項
  1. 1.

    労働安全

    1. 1.

      不安全行動を起因とした労働災害の防止に向けて、管理者による日々の安全指導と、職場の仲間同士による声掛けなど、職場全員で労働災害の未然防止に取り組む。

    2. 2.

      トップ主導でリスクアセスメントを推進し、危険・有害作業等に対して間接部門を含む関係者全員で、本質安全化や工学的対策等により職場のリスクの最小化を図る。また、残留リスクが残る場合は対策を立案してそれを順守する。

    3. 3.

      労働災害発生時は、トップ主導で徹底した原因究明のうえ、効果的な再発防止対策と他職場への水平展開により類似災害の防止を図る。また、残留リスクが残る場合は作業方法・手順をルール化してそれを順守する。

    4. 4.

      非定常作業を行う際は、一人で判断せず、必ず管理者(上長等)と作業方法・手順を相談し、安全を確認した上で実施する。

    5. 5.

      計画的に安全衛生教育を実施し、本人が理解・修得したことを確認した上で教育記録を残す。また、危険物・有害物を扱う作業者や経験年数の浅い作業員に対しては、特に、日々の安全衛生指導を小まめに実施する。

    6. 6.

      作業者はルールを必ず守り、作業前 KY・作業手順の事前確認・指差し呼称を実施する。管理者(上長等)は日々の指導と監視を行う。

    7. 7.

      高齢化に伴う身体機能の低下や既往歴に配慮し、職場環境改善・保護具の活用・適正配置等を施して、災害や疾病を未然に防止する。

    8. 8.

      熱中症防止として、作業環境の整備・WBGT 計の活用・空調服の着用等の事前対策を強化し、きめ細かい作業員の体調管理を徹底する。

  2. 2.

    労働衛生と健康づくり

    1. 1.

      労働衛生三管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)を徹底して業務上疾病を予防する。

    2. 2.

      化学物質リスクアセスメントを最新の SDS を使用して実施し、その結果に基づいた、リスク低減措置を講じた上で作業する。

    3. 3.

      作業環境測定結果は、第一管理区分を基本として、第二管理区分、第三管理区分の場合は、継続的に管理区分を下げるよう努める。

    4. 4.

      全社健康づくり推進活動を積極的に実施し、生活習慣病の予防と改善、メンタル不調者の未然防止、高年齢労働者の健康保持と増進に努める。

  3. 3.

    交通安全

    1. 1.

      安全運転管理者及び運行管理者は、法令・基準に則った適切な業務用自動車の使用を管理・監督する。

    2. 2.

      安全運転管理者等は、業務用自動車運転資格者に対し、各種教育の実施や事故事例(ドラレコ映像)を活用して継続的に安全運転を啓蒙する。

    3. 3.

      安全運転管理者等は、法令に準拠したアルコールチェッカーによる酒気帯びの有無と体調確認を徹底し記録に残す。また、過労運転防止に向けて運転者の疲労状態や運行計画の妥当性を十分確認し、必要な措置を講じる

    4. 4.

      運転者は、体調管理を万全に行い、安全運転7則を順守し事故リスクを回避する。

    5. 5.

      同乗者は、運転者と協同して安全確認を実施する。

全社安全衛生年間スローガン
慣れるな 省くな 気を抜くな 基本を忘れず ゼロ災職場

安全衛生推進体制

 富士電機全社の労働安全衛生管理の方向性を示すと共に具体的な活動を総括する最高機関として、労務担当役員と全事業所のトップで構成される「安全衛生推進委員会」を設置しています。年1回の開催時には前年度の労働災害、業務用自動車事故の発生状況などを総括し、新しい年の「全社安全衛生管理方針」や「安全衛生年間スローガン」を決定し、全社の労働安全衛生PDCAサイクルの確実な実施を促します(2024年度実施率100%)。
 これを受けて工場・本社・支社では新規事業を含む継続事業および有期事業それぞれにおいて、環境や特性に応じた管理方針や規程・基準を設けています。管理体制整備やリスクアセスメントを始めとした各種活動など安全衛生管理のあるべき姿を要求事項として示し、安全衛生活動のPDCAサイクルにより、最適な安全衛生管理体制PDF(147KB) のもとで操業しています。それぞれの組織はトップダウンによる指揮命令の徹底だけでなく、全社安全部門による安全衛生監査や、現場の生の声が反映されるボトムアップの機能も重視し労働組合とも密接に連携する仕組みになっており、拠点ごとに最適な労働安全衛生マネジメントを推進しています。

また、2024年度は富士電機グループ36社中3社(8.3%。国内連結会社9社中2社、海外連結会社27社中1社)がISO45001、OSHMSなどの国際認証を取得しています。

安全衛生の確保・向上への取り組み

安全衛生大会の開催

当社の基本理念に基づき、毎年「富士電機安全衛生大会」を開催し、工場・本社・支社、労働組合、関係会社、協力会社の代表者等が参加し、安全で安心、そして健康で明るい職場の維持、発展を目指していくことを誓い合います。

大会では、一人ひとりが常に労働災害の防止を心掛ける「安全文化」の浸透や、関係会社も一体となって富士電機チームとして安全と健康を最優先する意識の高揚を醸成しています。

2024年度安全衛生大会は、関係会社や協力会社を含めた多くの安全衛生関係者が参加しました。会社及び労働組合トップからのメッセージや、2024年度の安全衛生活動総括と、2025年度の安全衛生管理方針を共有し、工場・本社・支社等の各事業所における安全衛生管理方針に反映しています。

 2025年度も当社安全衛生目標の達成に向けて、全社一丸となって安全衛生活動に取り組みます。

工場安全衛生監査と営業拠点の巡回

工場安全衛生、業務用自動車管理に対する遵法管理・監視に向けて、全社安全部門と連携した診断を実施しています。診断では、法令・社内規程について共通チェックリストによる机上での遵法確認と実際の現場確認による指導・提案等を行っています。

また連結子会社に対しても、当社と同様に実施し、グループ全体で遵法管理の徹底に努めています。

安全パトロールの実施

 元請会社として、多くの下請け業者の安全責任を負うプラント建設工事では、現地安全衛生診断基準書に則り建設現場をきめ細かくパトロールすることで、コンプライアンスと安全衛生状態の確保、維持、向上を図っています。

海外拠点の安全確保

連結子会社の海外拠点に対しても、「全社安全衛生管理方針」や「安全衛生規程」を展開するとともに、安全教材等を提供し、日本に準じた管理水準を目指しています。各国の法令や文化、習慣に配慮した安全衛生活動を心掛け、安全部門だけでなく人事・法務・海外営業・産業保健部門などが連携した全社体制で臨んでいます。

安全衛生の活動事例

慣れた作業の中に潜むリスクに気づくには、第三者の目で点検することが効果的です。これには、グループ会社も含めた計画的な安全パトロールや設備のリスク洗い出しなどの実施が欠かせません。

2024年度は、全社安全部門と他工場の安全衛生担当者がチームとなり、工場のリスクアセスメント活動内容について診断する、リスクアセスメント相互診断をスタートさせました。活動体制や実施事例について診断するだけでなく、協同で現場を見ることで、気が付かなかったリスクの発見や新しいリスク低減措置の提案がでるなど、職場環境の改善に向けて大きな成果をあげています。

安全パトロールの様子
安全パトロールの様子
リスクアセスメント相互診断の様子
リスクアセスメント相互診断の様子

安全衛生教育の実施

 法令に定められた安全衛生教育の他、関係会社の社員までも対象としたオープン講座、新入社員研修、事業所や工事現場ごとに企画される教育や訓練、また協力会社様の現場リーダーに向けた職長・安全衛生責任者教育など、年間を通して実践的なカリキュラムによる安全衛生教育を継続的に企画・開催しています。

2024年度 安全衛生教育実績

労働災害の発生状況

休業災害度数率の推移
休業災害度数率の推移

度数率:100万労働時間当たりの死傷者数=死傷者数/延実労働時間*1,000,000

対象範囲:富士電機、国内連結子会社

災害強度率の推移
災害強度率の推移

対象範囲:富士電機、国内連結子会社

死亡災害件数の推移

対象範囲:富士電機、国内連結子会社

健康管理とメンタルヘルスケア

 法令で定められた定期健康診断の受診に加え、健康保険組合とも協調しながら、最新の検査項目や検査方法の採用、有所見者への健康指導などを通じて、生活習慣病予防に積極的に取り組んでいます。

 また全ての従業員が健康でいきいきと働くことができる制度や環境の整備を進めるとともに、従業員ひとり一人の健康維持・増進に向けた取り組みを積極的に支援する全社健康づくり推進体制新しいウィンドウを開くのもと全社的に健康づくり活動を推進しています。2024年度は、「生活習慣病の予防と改善」と「メンタル不調の未然防止」に向け、全社員に「心とからだの健康教育」(受講人数 19,551名)を、職場において指導的立場にある幹部社員に「部下に対するケア(ラインケア)を学習する教育」(受講人数 2,793名)を、eラーニングで実施しました。また、重度の生活習慣病該当者に対する粘り強い受診勧奨や業務起因による治療中断の防止、その予備軍への保健指導の強化、不適切な生活習慣がある社員への健康指導等も推進しています。

 労働者のメンタルヘルス不調の未然防止を目的としたストレスチェック制度も、多くの従業員に浸透しています(2024年度受検人数 17,140名)。集団分析についても継続的に実施し、その結果は職場の改善に活用されています。工場・本社・支社の特徴に合わせた睡眠教育、ストレス対処法といった様々な切り口でメンタルヘルス教育も実施し、セルフケアやラインケアを推進しています。

その他、高年齢労働者の健康保持と推進についても、全社健康づくり活動の一環と位置づけています。2024年度は、各事業所の実情に合わせた施策を設定して活動に取り組みました。また、上期の活動事例を拠点間で共有することで、下期には他事業所の優れた取組みを効果的に取り入れるなど、事業所毎に活動を活性化させています。

 さらに、健康及びメンタル相談を受け付ける24時間体制の健康相談窓口も設置し、プライバシーを厳守しつつ社員やその家族がいつでも相談できるようになっています。

 海外出張、赴任時にはA型肝炎、破傷風、マラリア、HIV/エイズ、結核、新型コロナウイルス感染症等の感染症から社員を守るため、事前の健康診断や予防接種の実施、ホームページ等による感染予防対策の情報提供を幅広く行っています。また2020年度からは、海外赴任者にもストレスチェックを実施し、メンタルヘルス不調の未然防止に努めています。

無災害記録の外部評価

 川崎工場が「第二種無災害記録」を、東京工場および大田原工場が「第一種無災害記録」を樹立し、厚生労働省から表彰されました。これからもより安全で快適な職場の実現と労働災害の撲滅に努めていきます。

「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」を受賞

受賞式の様子

松本工場の宮島英郎作業長が、18年間不休・休業災害ゼロを継続したことや、QC(品質管理)検定2級、第一種衛生管理者などの資格取得に積極的に取り組んでいることが評価され、令和6年度「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」を受賞しました。

「安全優良職長厚生労働大臣顕彰を受賞できたことは、とても名誉あることと光栄に感じております。今回の賞は職場の全員が長年にわたり、安全意識を高く持ち続け無災害を継続した結果です。今後もこの賞を励みに更なる安全レベルの向上を目指し日々精進してまいります。」