ニュースリリース
メタンガスを利用したりん酸形燃料電池100kW×4台 熊本北部浄化センターで燃料電池発電装置が運転開始

2006年12月8日
富士電機アドバンストテクノロジー株式会社

富士電機アドバンストテクノロジー株式会社(社長:原嶋 孝一)は、この度熊本県熊本北部浄化センターに100kW燃料電池発電装置を4台納入し、12月より運転を開始しました。

燃料電池熊本納入

1. 熊本北部浄化センターへの導入

 熊本北部浄化センターは、熊本市北東部に位置し、熊本市を含む4,146ヘクタール、約21万人の下水浄化を担っています。本浄化センターでは、集めた汚水を微生物による標準活性汚泥法で浄化するため、年間180万m3の下水消化ガスが発生します。従来このガスはボイラーで燃やして消化タンクを温める熱として一部利用していましたが、りん酸形燃料電池を導入し発電に活用することで、同センターでの年間消費電力の約半分、年間300万キロワットをまかないます。 りん酸形燃料電池による発電で、約2000トンの二酸化炭素が削減できることになり、この削減量は約14万本(注2)の杉の木が、一年間で吸収する二酸化炭素の量に相当します。

(注1:300万kWh×0.69kg-CO2/kWh≒2000トン-CO2 注2:2000トン-CO2×1000/14kg-本≒14万本)

2. りん酸形燃料電池の特徴

 りん酸形燃料電池は、機械エネルギーを介さない電気化学反応による発電方式のため、エネルギーのロスが極めて少なく、小規模でも高い発電効率が得られます。また、ガスエンジン等の回転型発電装置では低出力では発電効率が大きく低下しますが、燃料電池は低出力でも発電効率はほぼ一定であるため、ガスの発生量に応じた出力調整運用も可能です。定期点検間隔に相当する1年間を連続運用することが可能なため、絶えず発生する下水消化ガスを利用するのに最適なシステムです。さらに、低Nox、低騒音・低振動のため、住宅地に面した施設においても設置しやすい特徴があります。

3. 当社の開発状況と今後の取り組み

 当社は、1989年からオンサイト用燃料電池の開発に取り組み、すでに累計で100台を超える製作実績と運転実績があります。1998年に販売を開始した製品は、開発目標であったセル寿命約5年間(40,000時間)をすでに達成し、現在までに都市ガス供給エリアを中心に病院やホテルなどでコージェネレーションとして商用運用を継続しています。 さらに、2006年にはセル寿命と改質系機器寿命を従来の1.5倍の7.5年に向上させた新型機を販売しました。従来機では、15年間運用する場合、2回の主機交換(オーバーホール)が必要でしたが、新型機では1回ですむことになり、大幅なランニングコストの低減を図ることができます。今回納入した浄化センターのりん酸形燃料電池発電装置も、7.5年寿命の主機を搭載しています。

 下水消化ガスは全国で年間3億m3発生していますが、そのうち発電に利用されているのは約15%です。また、下水道電力消費量は150百万kWh/年で、国内の電力消費量の約0.7%(平成15年、約68億kWh )を占めています。当社は、今後も下水消化ガス発電分野に積極的に取り組み、再生可能エネルギーである下水消化ガスの燃料電池発電による高効率利用を推進して、二酸化炭素排出削減へ貢献していきます。

4.顧客お問い合わせ先

富士電機アドバンストテクノロジー(株) 環境・新エネルギセンター 燃料電池部
TEL (0436)42-8156
FAX (0436)42-8270

以上