ニュースリリース
第5世代IGBTモジュール・U4シリーズのラインナップ拡充- 大容量向け産業用IGBTモジュールの新製品を発売

2008年8月27日
富士電機デバイステクノロジー株式会社

 富士電機デバイステクノロジー株式会社(社長 重兼 壽夫)は、第5世代 IGBT・U4シリーズのラインナップを拡充し、業界トップクラスの熱伝導性・低損失および低ノイズ性を実現することで、従来と同じパッケージサイズでより大きな電流定格に対応した「High Power Module」を開発し、本年10月より発売します。 当社は、これまで中容量インバータやエレベータなど中容量製品向け産業用 IGBTを供給してきましたが、同製品を産業インフラ分野で使用される高圧・大容量インバータや風力発電システム向けの電力変換装置向けに拡販を進め、産業用 IGBTでのさらなるシェア拡大を目指します。

1.事業計画

 好調な産業インフラ分野で使用される高圧・大容量インバータや風力発電システム向けの電力変換装置向けに、2009年5,000台/月の販売を目指します。

2.「High Power Module」の特徴

 「High Power Module」は、以下の特徴により、大容量装置に対して、従来製品と同じパッケージサイズで、より大きな電流定格(1200V/600Aから3600A、1700V/600Aから3600A)への対応を可能としています。大容量装置は、扱える電流を稼ぐために、複数の半導体を並列接続していますが、ひとつのIGBTモジュールで大電流化することで、お客様の装置の小型化に貢献します。さらに、同製品に搭載している第5世代U4シリーズは、ノイズの発生を抑えるとともに電力損失を従来比30%低減しており、使いやすさとともに変換効率アップによる省エネにも貢献します。

 1)基板材料としてSiN(窒化珪素)を使用
 - 業界最高水準の熱伝導性を実現 -
 
一般的に電力用半導体は、適用装置の放熱フィンに絶縁して取り付けられるため、絶縁性能と熱伝導性(熱の放出性能)が両立する材料を基板として用いています。扱う電流が大きくなればなるほど、基板材料にはより高い熱伝導性が必要となります。新製品は従来基板として使用していたAl2O3(アルミナ)より、熱伝導性が高く割れにくいSiN(窒化珪素)を基板材料として使用することで、より大きな電流定格への対応を可能としています。

 2)ノイズの発生と電力損失の低減を両立
 - トレードオフ特性のブレークスルー -

 ノイズの発生を抑えることと電力損失を低減させることはトレードオフの関係を示しますが、U4シリーズではこのトレードオフが改善されています。低ノイズ化によりお客様の製品設計に寄与します。

 3)大きな電流定格に適した第5世代U4シリーズを搭載
 - 高い電流密度の実現 -

 第5世代U4シリーズはIGBTの電極構造を従来のプレーナー構造からトレンチ構造へ変えています。トレンチ構造はゲート電極をシリコンウエハ面に対し、縦型に埋め込むことで、同じ体積でも表面積を拡大し、電流密度を上げることができます。

プレーナー構造とトレンチ構造の比較図
図1.プレーナー構造とトレンチ構造の比較

3.電圧・電流定格と発売時期

4.標準価格

IGBTとは:
IGBT(絶縁型バイポーラ・トランジスタ)は電気エネルギーを制御するために使われる半導体スイッチング素子のひとつで、さまざまな電気機器の心臓部である電源部分において、電子回路を流れる電流のオン・オフを行うことで、モータの回転数を細かく制御しています。IGBTをパッケージ化(IGBTモジュール)することで、さまざまな電流定格に対応しています。また、電気機器の一部品として搭載されるため、IGBTモジュールは低損失かつ小型であることが求められます。

【お客様問合せ先】
富士電機デバイステクノロジー株式会社 半導体事業統括部 パワーモジュール部
TEL:0263-26-2513 FAX:0263-28-5531

以上