ニュースリリース
業界初の技術による大容量ハードディスク(HD) の量産化について
2008年7月30日
富士電機ホールディングス株式会社
富士電機デバイステクノロジー株式会社(社長:重兼壽夫)は、業界で初めて、垂直磁気記録媒体に改良を加えたECC (Exchange-coupled composite)媒体の製品化に成功し、当初9月の出荷計画を前倒しし、7月から出荷を開始しました。さらに、2.5インチサイズで250GB(ガラス基板媒体)の業界最高レベルの記憶容量をもつECC媒体を2008年9月から量産開始する予定です。
1.ECC媒体の特徴
ハードディスク駆動装置用(HDD)のディスク媒体は、記憶容量の拡大が進んでおり、現在最高レベルの記録密度を達成している垂直磁気記録方式を上回る技術として、ECC媒体、ディスクリート媒体、熱アシスト記録媒体などさまざまな方式の技術開発が進められています。
この中でECC媒体は、下部磁性層の結晶粒を微細化(高記録密度化)させつつ、上部磁性層に適切な材料や層構成を選ぶことで、従来トレードオフの関係にあった書き込み性能を抜本的に改善した媒体のことを意味します。
2.当社ECC媒体の特徴
当社のECC媒体は、垂直磁気記録媒体の記録層に改良を加え、下部磁性層に磁気異方性の高い材料を使用するとともに、下部磁性層と上部磁性層との交換結合強度を最適制御することで、従来の垂直磁気記録媒体に比べ、2倍以上の書き込み易さ(当社比)を実現する媒体となっています。これをプロセス技術を工夫することで、従来の垂直磁気記録媒体と同じ装置で生産できるようにしました。
9月に量産開始予定のECC媒体は、下部磁性層の材料を変えることで磁気異方性を高め、さらに記録層の結晶粒径の微細化を進めたもので、これによって、記録データの熱安定性を損ねることなく記録密度をさらに高めることができました。
3.ECC媒体の出荷・量産計画
2.5インチガラス媒体 160GB(2008年7月出荷開始)
3.5インチアルミ媒体 334GB(2008年7月出荷開始)
2.5インチガラス媒体 250GB(2008年9月量産開始予定)
3.5インチアルミ媒体 500GB(2008年12月量産開始予定)
これにより、2008年度の媒体出荷数に占めるECC媒体の割合は、当初計画では10%でしたが、40%となる見通しです。
垂直磁気記録媒体

当社のECC媒体

図1 垂直磁気記録媒体と当社ECC媒体の比較



以上