ニュースリリース
PM2.5の実態解明に貢献する「エアロゾル複合分析計」の発売について

2015年6月10日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:北澤通宏)は、PM2.5の主要成分を測定・分析する「エアロゾル複合分析計」を発売しますので、お知らせいたします。

1.背景
 大気中のエアロゾル(浮遊粒子状物質)に含まれるPM2.5(直径2.5マイクロメートル以下の粒子状物質)は、人の健康に影響を及ぼすことが懸念されており、大気汚染が問題視されている中国はもとより、日本国内でも社会問題の一つに数えられています。
 PM2.5の発生源や発生要因をより正確に分析するには、大気に含まれるエアロゾルの成分をリアルタイムに分析する要求が高まっています。
 今般発売する「エアロゾル複合分析計(注1)」は、PM2.5の主要成分であるブラックカーボン、硝酸塩、硫酸塩をリアルタイムに測定する製品です。川崎市(注2)や北九州市などと実施したフィールド評価の成果を活かし、中国や日本を中心に、PM2.5の実態解明および大気汚染防止に貢献していきます。

(注1)

「エアロゾル複合分析計」は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の「先端計測分析技術・機器開発プログラム」(開発課題名:実時間型エアロゾル多成分複合分析計の開発)を活用し、東京大学 竹川暢之研究室(現・首都大学東京 教授)および海洋研究開発機構と共同開発しました。

(注2)

川崎市の「環境技術産学公民連携公募型共同研究事業」を活用し、川崎市と共同でフィールド評価およびデータ解析を実施しました。

2.製品の特長
 1)エアロゾルの粒径・粒子数・成分を1台で測定
  光散乱法(注3)、レーザ誘起白熱法(注4)、質量分析法(注5)を組み合せた複合分析手法と、MEMS(注6)を応用した粒子捕集技術により、エアロゾルの粒径、粒子数と、成分(硫酸塩、硝酸塩、ブラックカーボン)の質量濃度を、同時に高精度で連続測定します。

 2)成分分析にかかる時間を大幅に短縮
  通常、成分分析は手作業で行う必要があり多くの時間を要しますが、本装置はサンプリングから測定値の分析までを自動化し、分析結果は15分周期でモニターに表示されます。一般的な分析手法と比べて、成分分析にかかる時間を大幅に短縮しました。

(注3)

光散乱法:粒子にレーザ光を照射したときに発生する散乱光から、粒径、粒子数を測定する方式。

(注4)

レーザ誘起白熱法:粒子にレーザ光を照射したときに発生する白熱光から、ブラックカーボン(元素状炭素)だけを選択的に測定する方式。

(注5)

質量分析法:粒子を捕集して加熱気化した後にイオン化して、四重極質量分析(QMS)で各種イオン成分を分析。本分析計では硫酸塩、硝酸塩を測定。

(注6)

Micro Electro Mechanical Systems。微細加工技術を用いた微小な電気機械システム。

3.主な適用先
 大気環境計測(PM2.5)、排ガス計測(煙道排ガス等)など

4.概略仕様

5.発売時期
 即日

6.製品に関するお問合せ先
 富士電機株式会社 産業インフラ事業本部
 産業計測機器事業部 計測機器技術部
 042-583-6597

以上