ニュースリリース
SiCパワー半導体を搭載した北米向け大容量無停電電源装置の発売について

2016年10月24日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:北澤通宏)は、北米の電源事業強化に向け、SiCパワー半導体を搭載した大容量無停電電源装置(以下、UPS)「7300WX-T3U」を発売しましたので、お知らせいたします。

1. 背景

 情報システムのクラウド化やIoT(注1)の導入などにより、世界的にデータセンターの需要が伸長するなか、北米ではデータセンターの建設が拡大しています。電力の安定供給が欠かせないデータセンターでは、蓄電池を内蔵し停電時にも電源を供給し続けるUPSが使われます。
 北米におけるUPSの市場規模は2015年時点で約1,000億円(注2)であり、2016年から2020年の間に年率3%以上の市場伸長が見込まれています(注3)
 データセンターではサーバーの高性能・大容量化が進み、電力使用量は急速に増加しており、機器の省エネ対策が求められています。今回発売するUPSは、SiCパワー半導体(注4)を搭載しており、業界最高レベルの装置変換効率を実現し、省エネに貢献する製品です。

(注1)Internet of Things
(注2)1USD = 100円で換算した場合
(注3)出典:IHS Technology
(注4)本パワー半導体に適用したSiCデバイスは、当社が2012年度より参画している「TPEC(つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション)」における、国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究成果を活用しています。

2. 製品の特長

1) SiCパワー半導体を搭載し、業界最高レベルの装置変換効率を実現
 当社が開発したSiCパワー半導体、および当社独自技術の逆阻止IGBT(RB-IGBT)を用いた「3レベル電力変換回路」を適用し、業界最高レベルの97.5%の装置変換効率を実現しました。また、低負荷(負荷率25%時)においても96.3%の装置変換効率を達成しており、電力損失を低減し省エネに貢献します。

2) 複数台接続可能なモジュール型構造(2017年度対応予定)
 本製品はモジュール型構造を採用しており、1台300 kVAのUPSユニットを複数台組み合わせることが可能です。これにより、データセンターの増強などのニーズに応えます。

3) 電力損失を減らすECOモードを搭載
 ECOモードを搭載しており、交流入力(商用電源)が安定している場合は商用電源を直接お客様の設備へ供給することで、電力損失を減らします(下図参照)。なお、万一、商用電源に異常があった場合には、自動的にUPSの給電(インバータ給電)に切り替わり、設備への給電を継続します。

3. 概略仕様

4. 発売時期

 即日

5. 適用先

 データセンター、医療用設備、産業用設備など

6. 製品に関するお問合せ先

 富士電機株式会社
 営業本部 パワーサプライ統括部 海外営業第一部
 TEL: 03-5435-7061

All North American Inquiries: Fuji Electric Corp of America

 Sales Contact: Gareth Davis
 Department Manager, UPS Systems Dept.
 TEL: +1-732-564-5145
 GDavis@fujielectric.com

【ECOモードについて】

 ◇インバータ給電
 周波数や電圧が安定した電力を供給可能。ただし、整流器およびインバータで電力変換(AC⇒DC⇒AC)を行うため、電力のロスが生じる。

(注)太線は通電、破線は非通電の状態です。

 ◇ECOモード給電
 整流器、インバータを介さず、商用電源(バイパス)を直接供給することで、高効率給電が可能。ただし、商用電源の周波数変動などの影響を受ける。

(注)太線は通電、破線は非通電の状態です。

以上