ニュースリリース
産業機器の小型化を実現するRC-IGBTモジュールのサンプル出荷開始について

2018年8月31日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:北澤通宏)は、パワー半導体の新製品として、産業機器用RC-IGBT(注1)モジュールのサンプル出荷を9月より開始しますのでお知らせいたします。

(注1)

:Reverse Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor(逆導通 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)

1. 背景

 産業機器用IGBTモジュールは、インバータや無停電電源装置(UPS)、風力・太陽光発電設備用パワーコンディショナなどに搭載され、省エネや電力の安定供給を実現するためのキーデバイスです。市場規模は2017年に約3,300億円、以降年率4%程度で成長することが予測されています(WSTS, IHS市場データを基にした弊社推定)。
 近年、産業機器に対する省エネや設置スペース削減へのニーズが高まっており、パワー半導体にはより一層の高効率化や小型化が求められています。
 当社は、今般、2015年に発売した第7世代「Xシリーズ」IGBTモジュール(注2)に、RC-IGBT素子を使用した新製品を開発しました。1,200V耐圧製品からサンプル出荷を開始し、順次ラインナップを拡充していきます。

(注2)

:第7世代「Xシリーズ」IGBTモジュール

2. 製品の特長

1)小型化

 産業機器に搭載される一般的なIGBTモジュールは、電気のON・OFFを行うIGBT素子と還流機能を持つダイオード(FWD)素子をそれぞれワイヤでつなぎ、一つの基板に組み込んでパッケージ化したものです。
本製品は、IGBTとFWDを一体化し機能を集約したRC-IGBT素子を開発・適用することで、従来製品(第6世代「Vシリーズ」)に比べて約40%の小型化を実現しました。これにより、産業機器の小型化・省スペース化に寄与します。

2)長寿命化

 モジュール内の温度変化が多いと、ワイヤや絶縁基板における接合部分の劣化による破損のリスクが高まります。RC-IGBT素子はIGBTとFWDが一体化しているため、素子ごとに電気を流すよりもモジュール内の温度変化を少なくできる利点があります。これによりモジュールの長寿命化を実現し、搭載される産業機器の信頼性向上に寄与します。

3)省エネ

 当社は、Xシリーズで確立した素子の厚みを薄くし表面構造を微細化する技術に加え、独立したIGBTとFWDの機能を1チップで最適化する新技術を融合することで、小型化と電力損失低減の両立を実現しました。このRC-IGBT技術を本モジュール製品に適用し、従来製品に比べてインバータ動作時の電力損失を約10%(注3)低減しました。これにより、搭載機器の省エネと電力コスト削減に貢献します。

(注3)

:当社試算値

図1.RC-IGBT素子を搭載した第7世代IGBTモジュール
図2.RC-IGBT素子の概略図

3. 製品仕様

PIM

:Power Integrated Modulesの略, 複数回路を一つのモジュール内に収めた製品
EconoPACKTM, PrimePACKTMはInfineon Technologies社の登録商標です。

4. サンプル出荷時期

 2018年9月より順次開始

5. 製品に対するお問い合わせ

 富士電機株式会社 電子デバイス事業本部 営業統括部 営業第一部
 03-5435-7152

(注)

本リリースに掲載している情報(製品仕様や問い合わせ先等)は発表日時点のものであり、予告なく変更する場合もございます。
あらかじめご了承ください

以上