ニュースリリース
船舶用排ガス浄化装置の初出荷について

2018年10月1日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:北澤通宏)は、船舶用排ガス浄化装置を当社千葉工場から本日初出荷しますので、お知らせいたします。

1. 背景

当社製SOxスクラバ(千葉工場)

 国際海事機関(IMO)は、大気汚染原因物質の一つである硫黄酸化物(SOx)の排出量抑制に向け、船舶燃料の硫黄分濃度の上限を、指定海域(注1)を除く全海域で、2020年に0.5%(現在3.5%)とすることを定めています。本規制は新造・既存船問わず全船に適用され、船舶所有者は規制強化以降、低硫黄成分燃料へ切り替えるか、船舶用排ガス浄化装置(SOxスクラバ)を使用するなどの対応が必要となります。
 当社は、排ガスに海水を混ぜ、排ガス中の硫黄酸化物を低減するSOxスクラバを搭載した「船舶用排ガス浄化システム」を日本財団の助成で開発し、本日、SOxスクラバを当社千葉工場から初出荷します。

(注1)

北米、米国カリブ海、北海・バルト海他。2015年から0.1%に規制

2. 当社製品の特長

 当社の「船舶用排ガス浄化システム」は、SOxスクラバに、排ガスの成分濃度をリアルタイムで計測できるガス分析計、海水を汲み上げる給水ポンプを制御するインバータやコントローラなどを組み合わせて提供します。98%以上の高い脱硫率で、0.1%規制の指定海域にも適用できます。

・独自技術で世界最小のSOxスクラバを実現

 当社製SOxスクラバは、世界で初めて内部構造にサイクロン技術を採用。排ガスに渦流を発生させ、らせん状に配した配管から海水を広く噴霧することで、効率的に海水(ないしはアルカリ剤)と排ガスを接触させます(右下図参照)。これにより、世界最小サイズ(注2)のSOxスクラバを実現。設置スペースに制限のある既存船への適用を容易にするとともに、システム搭載による積荷スペース低減を抑制します。
 なお、配管の構造(枝管らせん構造)とスプレーノズルの配置は当社が特許を取得しています。

(注2)

同じエンジン出力で比較した場合、他社既存製品に比べて体積で約50%小型化

サイクロン技術を採用した
当社製SOxスクラバ

・あらゆる海域で使用可能

 「オープンループタイプ」と「ハイブリッドタイプ」を用意しています。「オープンループタイプ」は、使用した海水を船外に排水する方式で、補機が少なく投資負担の少ないシステムです。「ハイブリッドタイプ」は、オープンループとクローズドループ(アルカリ剤を混ぜた循環水を使用する方式)を、船舶が運行する海域の規制に応じて切り替えることができ、排水禁止海域(注3)を含めたあらゆる海域での運行を可能とします。

(注3)

ドイツ河川及び港湾、ベルギー沿岸3マイル及び港湾、米国カリフォルニア州、コネティカット州、ハワイ州

・運航費用負担を抑制

 本システムを搭載することで、低硫黄成分燃料に切り替えることなく、現行燃料(C重油)を継続して使用することが可能となり、船舶所有者の運航費用負担抑制に貢献します。当社は本システムの投資回収期間を3年以内(注4)と試算しています。

(注4)

2018年9月時点の燃料価格、95,000DWT相当バルカー(ばら積み貨物船)の燃料消費量で試算

3. 主な適用先

 バルカー、タンカー、コンテナ船、自動車運搬船など

4. SOxスクラバの仕様

いずれのサイズもオープンループタイプとハイブリッドタイプを用意しています。

5. 製品に関するお問い合わせ先

 富士電機株式会社 パワエレシステム事業本部
 ファクトリーオートメーション事業部 FA営業技術部
 03-5435-7168 

(注)

当社船舶向け排ガス浄化システムの製品化に対して、日本財団から開発助成いただきました。
 平成27年度新製品開発助成事業「IMOの国際的規制に対応した小型化を可能とする排ガス浄化システムの技術開発」

日本財団

(注)

当社船舶向け排ガス浄化システムの実船搭載試験に対して、
 日本海事協会の「業界要望による共同研究」のスキームにより支援をいただきました。

日本海事協会

(注)

本リリースに掲載している情報(製品仕様や価格、問い合わせ先等)は発表日時点のものであり、
予告なく変更する場合もございます。あらかじめご了承ください。

以上