ニュースリリース
鉄道輸送の省エネ化に貢献する 第7世代「Xシリーズ」IGBTモジュールを発売

2020年11月4日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(代表取締役社長:北澤 通宏、本社:東京都品川区)は、鉄道市場をターゲットに、第7世代「Xシリーズ」素子を搭載した大容量IGBT(注1)モジュール「HPnC(注2)」の量産を開始しましたので、お知らせいたします。

(注1)

:Insulated Gate Bipolar Transistor

(注2)

:High Power next Core

1. 背景

 近年、地球温暖化対策の観点から、鉄道はエネルギー効率に優れた環境に優しい交通機関として注目されています。一方で、車両の走行には多くの電力を消費するため、車両機器のさらなる小型・軽量化や、エネルギー消費量の低減が課題となっています。
 パワー半導体(IGBTモジュール)は、鉄道車両を動かす駆動システムの主インバータ装置、および空調システムや車内の照明などに電力を供給する補助電源装置に搭載され、高速スイッチング(電気のオン・オフ)により、交流・直流などの電力変換を行う電子部品です。

本製品「HPnC」

 当社は今般、電力損失を低減し省エネを実現する大容量IGBTモジュール「HPnC」を開発し、量産を開始しました。電気鉄道向けの市場は、今後年平均6%で成長し、2023年には500から600億円規模に伸長する(注3)と見られており、本製品をグローバルに展開していきます。

(注3):当社推定

2. 製品の特長

①電力損失を低減し省エネを実現

 本製品は、業界最高クラスの低損失性能を持つ最新の第7世代IGBT素子を搭載しています。また、パッケージの構造を最適化することで、高速スイッチングの妨げとなる内部インダクタンスを従来比76%低減し、低損失化を実現しました。本製品を搭載したインバータは、従来品(当社製「HPM」)に比べ動作時の電力損失を約8.6%低減。さらに下記②項(放熱性向上)と併せて発熱を抑制し、従来品比19%の小型化、13%の軽量化を実現しました。

②基板材料を見直し信頼性を向上

 IGBTモジュールの故障要因の一つに、動作時の温度変化により発生する応力による、モジュール内部の接合部の劣化があります。そこでモジュールのベース基板を、従来のアルミニウムと炭化ケイ素の複合材料(AlSiC)より熱伝導に優れたマグネシウムと炭化ケイ素の複合材料(MgSiC)に変更し、放熱性を向上させ、温度変化を抑制しました。さらに従来品は絶縁基板と端子をはんだで接合していましたが、超音波接合(注4)することで製品故障率を低減させました。
(注4):接合の対象物に超音波による振動を印加して直接接合する手法

③パワー半導体の並列接続が容易に

 従来品は回路を構成する際、3種のブスバー(電気接続用の導体)が重なり合う構成となり、パワー半導体の並列接続使用時には配線構成が複雑になっていました[画像]。本製品は端子配列を最適化することにより、3種のブスバーを同一方向に統一して配置できることから、パワー半導体の並列(複数)接続が容易になり、さまざまなインバータの組立性向上に貢献します。

[画像]

3.主な仕様

4. 製品に関するお問い合わせ先

富士電機株式会社 電子デバイス事業本部 営業統括部 営業第一部 営業第五課
☎03-5435-7161

(注)

本リリースに掲載している情報(製品仕様や問い合わせ先、価格等)は発表日時点のものであり、予告なく変更する場合もございます。
あらかじめご了承ください。