富士電機株式会社

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エピソード2. 南極観測の、推進役として。

南極観測船「ふじ」
南極観測船「ふじ」

1957年に始まった日本の南極観測。それは、敗戦から立ち直り、国際社会への復帰をめざすこの国にとって、まさに国家の一大事業と言えるものでした。その第7次観測のために建造された日本初の本格的極地用砕氷艦「ふじ」に搭載されたのが、富士電機の電気推進装置だったのです。

それまでの観測船「宗谷」では、タービンやディーゼルエンジンで直接スクリューを動かしていましたが、氷の圧力が強いため舵取りにも苦労していました。電気推進装置は、発電機をまわし、発生した電力で電動機を駆動しスクリューを動かすことで、パワフルかつスピーディに南極の厚い氷を砕き、スムーズな舵取りを実現しました。
では、砕氷作業とはどういったものだったのでしょう。まず、2〜3挺身の助走をつけて、時には厚さ1mを超える氷に船を突進、激突させます。そしてまた後退、さらに突進するという作業を何回も繰り返すもの。そのために推進装置に求められたのは、衝撃への耐久性と、低速時から一気に速度を上げる大きな回転力、さらに前進後進を簡便にスピーディに行える操縦性でした。富士電機の電気推進装置は、当時の最先端技術やアイデアを注ぎ込み、さらに幾度もの慎重なテストを繰り返して、6mの砕氷能力をはじめ高い要求水準をクリア。世界的にもAクラスの性能といった評価を得て採用にいたったのでした。

「ふじ」は、1965年11月20日に東京晴海埠頭を出航。砕氷だけでなく、輸送船、観測船、ヘリコプターの航空母艦という計4役を任され、観測隊員物資の輸送を完遂、さらに外国基地訪問、野外観測、基地作業支援を行って1966年4月8日に帰航。電気推進装置は、「ふじ」の心臓部としてその全行程を滞りなく支えました。

現在、電気推進装置は、リチウムイオン電池採用によりゼロエミッション船を実現。CO2削減など環境を守りながら、完全バッテリー駆動式自動航船「e-Oshima」などに納入され、今も航路を力強く進んでいます。

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「ふじ」、もう一つのプロジェクト

砕氷艦「ふじ」には、実はもう一つ、いや、もう一組、富士電機の作品が乗船していました。ぬいぐるみのマスコットペンギン「富士昭男・和江」夫妻です。誕生のきっかけは、「ふじ」の艦長が当社の保証技師にもらした「アメリカの砕氷鑑グレーシャー号のように、マスコットがあるといいですね。」という一言。技師はさっそくマスコット制作プロジェクトを発足したのですが、もちろん図面もありません。洋裁や絵画などが得意な社員が集まり、知恵や特技を出し合い、ときには徹夜作業を経て、約10日という短期間で完成へとこぎつけました。「ふじ」に乗り込んだペンギン夫妻、寄港地や艦内で人気者になり、大勢の人々から触られたと見えて、帰航した時にはくちばしがブカブカになっていたそうです。

マスコットペンギン「富士昭夫・和江」夫妻の結婚式
マスコットペンギン
「富士昭夫・和江」夫妻の結婚式