一歩先へ!富士電機の基盤技術

製品開発力強化に向けた、基盤技術を紹介します。

組込機器のセキュリティ技術

IoT 化により求められる製品のセキュリティ対策

世界規模でIoT 化が進展するなか、当社のお客様においても、IoT を活用した生産現場の情報などの集約・解析による生産性・品質向上や、エネルギー利用の最適化、省人・省力化への取り組みが進んでいます。一方、さまざまな機器がインターネットなどの外部環境と接続されることで、不正アクセスによる遠隔操作やウィルスによる情報流出などのセキュリティ事故の危険性も高まっており、これらの事故の発生はお客様の損害につながります。

こうした背景から、製品に対するセキュリティ対策の必要性が高まっています。当社は、不正アクセスなどから製品を保護するため、電気・電子機器に組み込まれ、演算や制御などを行うCPU(組込機器)にセキュリティ機能を施す技術の開発に取り組んでいます。

セキュリティレベルとコストに応じた最適な技術を開発

セキュリティは、その機能を高めることでリスクを低減 させますが、コスト増につながります。逆に一定のコストを掛けなければ、安全は担保できないため、機能とコスト のトレードオフのバランスを見極めることが重要です。当社は過去に、非接触ICカードシステム(電子マネー読 み取り端末)を開発しており、データ秘匿などのセキュリティ技術に関する技術やノウハウを得てきました。こうした経験の蓄積により、製品に求められるセキュリティレベルとコストに応じた最適なセキュリティ対策を講じられることが当社の強みの一つです。現在、当社主力製品に適合するセキュリティ技術として、以下に注力し、製品への搭 載に向けた研究開発を進めています。

基本となるのは、セキュアブート(注1)によるプログラム検 証技術です。製品の制御などを実行するプログラムに不正が 加わった場合、内蔵されたCPUがその不正を判別し、該当す るプログラムを起動させないことでセキュリティ事故を未 然に防ぎます( 図1 )。さらに、製品そのものがインターネッ トに接続される場合は、より高度なセキュリティが求めら れ、機密性の高い制御データを操作できるプログラムを限定 させることで、その他のプログラムからこれらの制御データ を保護し、安全性を向上させます。( 図2 )。

今後、PLC(注2)やHMI(注3)を始めとするパワエレ機器、サイネージ自動販売機、自動釣銭機などへの搭載を目指します。

注1

製造元から信頼されたプログラムのみを使用して製品を起動させる機能

注2

Programmable Logic Controller

注3

Human Machine Interface

図1 セキュアブートによるプログラム検証技術、図2 機密性の高い制御データを保護する仕組み

開発者の声

技術開発本部 デジタルイノベーション研究所 デジタルプラットフォームセンター組込システム研究部

当社製品もインターネットに接続されるケースが増え、セキュリティに対する 責任は大きくなっています。まずは、自動釣銭機にセキュリティ機能を搭載させ、順次、適用製品の拡大を図っていきます。事業本部とともにセキュリティ技術の開発に継続的に取り組み、お客様から信頼していただける製品づくりに貢献していきます!

記事の内容と所属は取材時のものです。