富士電機株式会社

一歩先へ!富士電機の基盤技術

製品開発力強化に向けた、基盤技術を紹介します。

複合ストレスの絶縁評価技術
過酷な環境を再現するシミュレーション技術で製品の絶縁性能を高める

用途拡大、過酷な環境下で稼働するパワエレ機

変圧器や遮断器、開閉器などさまざまなパワエレ機器において、電気の「絶縁」は欠かせない機能です。絶縁とは、各種部品・装置などを利用して、電気機器や電気・電子回路に流れる電流を遮断することで、機器を保護したり、使用者の感電を防止する役割があります。

近年、世界的な電力需要の拡大や再生可能エネルギーの普及などを背景に、パワエレ機器の用途は拡大しており、高地や海上、熱帯・寒冷地域など、従来に比べて過酷な環境でも使用されるようになっています。その結果、過酷な環境で発生する、気圧や温湿度、腐食、塩害など複数の要因が組み合わさることで、製品の絶縁機能が低下する恐れがあります。

そこで当社は、これらの要因やその度合いをさまざまに組み合わせた「複合ストレス環境」を再現し、製品の絶縁性能を評価するシミュレーション技術を開発しています。

図1 パワエレ機は従来より過酷な環境下で使用されている

富士電機が業界に先行する絶緑評価技術

当社は、他社に先駆けて本シミュレーション技術の開発を進めています。2016年に取り組みを開始。研究論文や実験などから得たデータをもとに複合ストレス環境を再現す るシステム(原理検証機)を独自に開発しました。また、お客様先を訪ね、実際に当社製品が使われている環境下でのデータ採取を行っています。これらのデータから、設計上最適な絶縁距離を算出したり、絶縁性能の維持に必要なメンテナンスの時期をシミュレーションする数式モデルを構築しています。

当社が業界に先行して技術開発を進められる背景は、世界でも高品質の製品開発を求める日本のお客様に長く製品を提供してきたことはもちろん、プラント向けのシステム・機器を中心に、お客様先の使用環境に適した製品開発を数多く重ねてきた実績などが挙げられます。

図2 原理検証機を用いた実験の様子

▲原理検証機を用いた実験の様子

原理検証機を用いて過酷環境を再現

過酷な環境下での絶縁性能をシミュレーションするため、「原理検証機(右図参照)」を用いた実験で、必要なデータを収集しています。試験空間となる小型タンク内に、電気設備や受配電機器などに搭載される電極を設置。タンク内の空気圧や電極に流れる電圧などを変えながら、複合ストレスにより絶縁破壊が起きアークが発生するときの条件値を収集しています。

製品に付藩する「汚れ」によっても絶縁性能は低下するため、砂や塩を電極に塗布して汚れを再現します。製品品質に関する社内規程では、性能試験時に塗布する砂と塩の分量や比率などまで細かく定められています。

※絶緑体に加わる電圧がある限度に達すると、絶緑性を失い大電流が流れる現象

図3 独自設計した原理検証機の構成図

お客様先を訪問し、製品の使用環境を調査

社内での研究に止まらず、より精度の高いシミュレーション技術を確立するため、技術者が実際の製品納入先を訪問し、製品使用環境の調査とデータ収集をしています。例えば、海の近くで塩分が多く付清する風力発電設備の電機室や、車両走行などによる粉塵、汚損が堆積する都内主要駅の電機室を訪問し、塩害や汚損等の環境調査を実施。採取したほこりや溶液を持ち帰り、電子顕微鏡や導電率計などで、汚損度合・成分を分析しています。

今後は、2020年度中に「汚損」と「圧力」の複合ストレス、2021年度にはこれに「低気温環境」を加えた原理検証機を完成させ、本シミュレーション技術を確立させる目標を掲げています。

図4 採取作業風景・導電率計を用いた汚損度合の測定風景

開発者の声

技術開発本部 先端技術研究所 エネルギー技術研究センター 電気エネルギー技術研究部

私たちは、絶縁・放電応用技術を用いたイノベーションの創出をミッションとしています。今回紹介した技術以外にも、変電設備からパワー半導体に至る各種高電圧機器の設計・開発支援(高信頼化)や、絶縁破壊の予兆を検知する診断サービス、船舶向け電気集塵機の開発など、多くの部門と連携し、事業貢献に向けた技術開発に取り組んでいます。

※記事の内容と所属は取材時のものです。

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