一歩先へ!富士電機の基盤技術

製品開発力強化に向けた、基盤技術を紹介します。

パワー半導体適用技術

新しい適用技術を開発し、高速スイッチングを実現

パワー半導体は、インバータや無停電電源装置(UPS)などさまざまなパワエレ機器に組み込まれ、省エネを実現するためのキーとなる製品です。パワー半導体は、スイッチング(電気のオン・オフ)を繰り返すことで電力を制御しており、このスイッチングの速度を速くして電力損失を減らしたり、スイッチング周波数(注)を高めることで機器の小型化を図ります。

当社は、現在SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の開発に注力しています。SiCパワー半導体は高速なスイッチングを特長の一つとしていますが、この性能を最大限に引き出すためには、パワー半導体を「使いこなす技術」も更新していかなければいけません。

スイッチング速度を速くすると、瞬間的に高い電圧や大きな波形変動が発生したり、ノイズが発生し周辺回路に悪影響を与えてしまったりする問題が起こります。このような問題を解決し、パワー半導体自体や搭載機器への影響を抑え、かつスイッチングの速度を速くすることをいかに両立させていくか、それが私たち主回路技術開発部の研究課題です。

1秒あたりのスイッチング回数

新しい適用技術を開発し、高速スイッチングを実現

当社の強みは、パワー半導体とパワエレ機器の両方の事業を有しており、それぞれの知見や設計上のデータを備えている点です。この強みを活かして、スイッチングの際に生じる高い電圧や大きな波形変動がパワー半導体や周辺回路に与える影響をシミュレーションし、最適なスイッチングの速度と、電圧や波形変動の影響を受けにくくする方法を導き出します。また、半導体のスイッチング速度は温度変化などさまざまな要因で変化するため、その要因を洗い出して対策を検討します。これらの結果を基に製品サンプルを製作し、評価試験装置を用いて十分な検証を行い、パワエレ製品の開発に反映させています。

SiCパワー半導体モジュール

開発者の声

技術開発本部 コア技術研究所 パワエレ技術開発センター 主回路技術開発部

他社に先駆けて、先進的な研究に取り組みます

SiCに代表される次世代パワー半導体は、非常に優れた性能を持っています。この性能を余すことなく発揮させる方法を見出すことは一筋縄ではいきませんが、さまざまな発見や可能性を追求できるといった面白さがあります。パワエレ製品にとってパワー半導体はなくてはならない部品ですが、この二つを結びつける「パワー半導体適用技術」が重要な差別化のポイントと考えています。進化を続けるパワー半導体と向き合い、他社に先駆けて新しいパワエレ機器を生み出し、富士電機の事業拡大に貢献していきます。

記事の内容と所属は取材時のものです。