一歩先へ!富士電機の基盤技術

製品開発力強化に向けた、基盤技術を紹介します。

熱流体制御技術

空気の流れや熱の移動の現象を把握し、制御する熱流体制御技術

熱流体制御技術は、気体・液体の流れや熱の移動を把握し、省エネなどの目的に応じて制御する技術です。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで飲食品を陳列するオープンショーケースや自動販売機などにこの技術が使われています。

扉がなく前面が開放されたオープンショーケースは、外気とともに多くの熱が侵入します。この熱侵入を抑えるためには「エアカーテン」と呼ばれる風のカーテンを作り、気流を適切に制御する「熱流体技術」が必要となります。現在、この技術は要冷倉庫や植物工場などにも応用されています。

霜の成長を予想するシミュレータを開発し、大幅な省エネを実現

風速や温度、湿度、気流の流れなどをコンピューター上で確認できます。従来方式に比べ、新方式ではエアカーテンの乱れが小さくなり暖かい空気の巻き込み量が減少しています。

エアカーテンは目に見えないため、レーザ光を用いた可視化実験や、熱流体シミュレーションを行い、気流を最適化しています。シミュレーションでは、ショーケースを効率的に冷やすための風速や温度、湿度、気流の乱れなどをコンピュータ上で計算することができます。ショーケースの性能に関わる設計項目は多くあり、時には数十種類のパターンのシミュレーションが必要になります。

当社は霜の付着(着霜(ちゃくそう))によって気流が変化する点に着目し、霜の成長を予測する「着霜シミュレータ」を開発。この技術と長年培ってきた気流制御技術を用いて開発されたオープンショーケースは、従来比30%以上の省エネを実現しました。

さらに私たちは、エクセル上でパラメータを入力するだけで、ショーケースの解析モデルを自動で作成できる仕組みを構築。従来は解析の専門家がモデルを作成し、1~ 2週間かけて行っていましたが、専門知識がなくとも数時間で容易に解析ができるようになりました。

開発者の声

技術開発本部 先端技術研究所 応用技術研究センター 熱応用システム研究部

五感を研ぎ澄まし、さらなる技術革新に挑みます!

私たちは、「地球温暖化防止」と「食の安全と安心」をテーマに掲げた省エネルギーに貢献する技術開発に取り組んでいます。シミュレーション技術などが発達したことで、これまで以上に効率的に製品を開発することが可能になりましたが、今でも「五感」を大事にしています。時には一日中研究室で実機を前に手や頬をあてて空気の流れを体で感じたり、実際のスーパーなどで風を感じたりしながら改善点などを常に考えています。今後も熱流体技術をさまざまな商品に適用していきます。

記事の内容と所属は取材時のものです。