サステナビリティ
リスクマネジメント
基本方針
富士電機は、「富士電機リスク管理規程」に基づきリスクを体系的、組織的に管理しています。
富士電機の経営に影響を及ぼす可能性のあるさまざまなリスクに関して、遺漏なく適切に管理・対処することでリスクの顕在化(危機的事態の発生)を未然に防止し、リスクによる影響の最小化を図っています。
リスク管理体制
当社の各部門および関係会社は、事業責任の一環としてその事業活動に伴うリスクの管理に責任を負い、適切なリスク管理体制を整備してリスク対策を実施しています。
事業計画や大規模投資などの重要なリスクについては経営会議などで適宜報告し、共有を図っています。また、リスク管理を確実に実施するためにマニュアル類を整備し、リスクの種類に応じた教育を実施するとともに、社内報などでリスク管理の取り組みを周知しています。
内部監査部門は、当社の各部門および関係会社が富士電機リスク管理規程に基づいてリスクを抽出・評価し、対策方針を定めて適切に管理体制を構築し的確に運用しているかを定期的に監査しています。2024年度は45拠点に内部監査を実施し、経営に重大な影響を与えるような不備・リスクがない状況です。

緊急事態発生時の対応
大規模災害など緊急事態が発生した場合、事態の拡大防止と早期収束が図れるよう、平常時の準備、緊急事態発生時 の緊急連絡、緊急対策本部の設置について定めた対応要領を策定しています。
リスク管理プロセス
富士電機の各部門および関係会社は、年次の予算策定時に事業活動に伴うリスクの把握と評価を行っています。
各リスクに対しては、経営への影響および発生頻度をふまえて、対応(回避、低減、移転、保有など)の方針や対策を検討し、各部門などで実行責任者などを定め実施しています。
第2四半期終了後に中間フォローを行い、リスク対策の改善・実施を行っています。
また、これらの管理体制および運営状況は、内部監査部門による定期的な監査を実施しています。

自然災害・事故への対応(BCPの取り組み)

国土強靭貢献団体認証(レジリエンス認証)マークを取得
大規模な自然災害や事故などの不測の事態発生時にも重要な事業を必要な時間内に再開・継続するため、「富士電機事業継続マネジメント(BCM)規程」に基づき、事業継続計画(BCP)を策定し、継続的な改善に全社で取り組んでいます。
BCPは本社や工場、お客様の対応窓口となる支社で策定するとともに、ITシステムの早期復旧や被害最小化に向けた対応、調達分野における自然災害リスクへの対応やマルチソース化の対応など、事業継続に欠かせない機能に対してBCPを策定しています。また策定したBCPに基づいた教育訓練を実施するとともに、BCPおよびその管理体制の有効性を半期に1回「全社BCM推進会議」で定期的に評価し改善につなげることで、事業継続力の強化に取り組んでいます。
さらに緊急時対応および事業継続対応の確実な実行に向け、事業責任者クラスを対象とした「事業継続セミナー」、各拠点の「災害対策本部訓練」に継続的に取り組むとともに、大規模地震発生などにより本社の災害対策本部が機能できない場合を想定した訓練を年4回実施しています。
このような事業継続の積極的な取り組みが評価され、「国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)」を取得しています
安定調達による事業継続への貢献
継続発注する部材約20万点についてリスク評価を実施し、シングルソース品の可視化とマルチソース化を推進しています。2024年度は約85%(対前年+5ポイント)の調達対象品目のマルチソ-ス化を確立しています。2025年度はマルチソース化率90%とシングルソ-ス品の撲滅のための新規開拓を推進し、強靱なサプライチェ-ン構築を目指します。

当社は、国内において、地震および気象に関する特別警戒が発出された地域に所在するお取引先様を特定できる防災システムを活用しています。お取引先様の被災の有無、当社への影響を迅速に把握し、早期に対策を立てられる体制を構築しています。本防災システムへの登録範囲を二次お取引先様に拡げており、2024年度の登録数は約12,000拠点となっています。一方で海外での災害発生時の対応として、2024年に同システムのトライアルを実施しました。2025年度は200拠点を目途に本格導入を行い、海外のお取引先様登録の拡大を図り、グロ-バルでのBCP強化を進めていきます。
プロジェクト案件管理の強化の取り組み
当社は、利益重視の経営による更なる企業価値向上に向け、プロジェクト案件管理の強化による損失発生リスクの低減に取り組んでいます。
損失発生リスクの早期把握と予知保全のため、これまでに発生した大口損失発生事例をもとにその発生原因を分析して社内関連部門と共有するとともに、再発防止策の実行および運用状況のモニタリングを実施しています。
2024年度は、与信リスクの高い案件の受注前審査ルールの整備や受注済み案件のコストを含めたプロジェクト進捗管理の徹底に向け、その実施状況について関連する事業部門およびコーポレート部門と連携して管理するとともに、定期的に執行役員会議などで経営層に報告し議論しました。また海外拠点の管理レベル強化および損失発生防止に向けて策定した実務指針および運用細則について、海外現地の社員およびローカルスタッフへの研修を実施しました。
今後、海外拠点向けの教育充実化に取り組み、更なるプロジェクト案件管理の強化および一層の損失発生リスクの低減につなげていきます。
情報セキュリティ
情報セキュリティの維持・強化の取り組み
当社が保有する経営、営業または技術上の情報、個人情報などの情報資産を機密情報として適切に管理するために、情報セキュリティに関する方針および規程類をNIST(米国国立標準技術研究所)サイバーセキュリティフレームワークをベースに再整備し展開しています。
また富士電機および国内外グループ各社に管理体制を構築し、全従業員への定期的な教育、事業所や執務室の入退場者管理、インターネットやパソコン端末のセキュリティ対策などを実施するとともに、各職場の取り組み状況を毎年点検しています。
さらに、多様化・高度化するサイバーセキュリティ脅威への対応として、第三者の専門家の知見も取り入れ、セキュリティ対応体制(CSIRT/SOC)の強化、新たなサイバー攻撃の兆候や情報の監視の強化、情報システムの防御・攻撃監視機能の強化を図っています。
各拠点においても、お取引先様の要求事項や関連する業界団体のガイドライン・市場動向などを踏まえて情報セキュリティの対策向上に努めており、情報セキュリティ管理の公的認証が求められる事業ではISMS認証を富士電機㈱2部門と子会社2社が取得しています。また、個人情報保護に関しては、プライバシーマークを富士電機㈱と子会社2社が取得しています。
2024年度は、2023年度に認証取得した東京工場・鈴鹿工場に加えて、神戸工場・発紘電機(株)・富士電機機器制御(株)において、制御システムセキュリティ国際標準規格「IEC62443-4-1」の認証を取得しました。富士電機グループとして今後も認証取得を進めていきます。
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(注)
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国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)
情報セキュリティに関する外部認証
情報セキュリティ監査の実施
富士電機では、情報セキュリティレベルの向上を継続して図っていくため、内部監査を実施しています。
2024年度は、富士電機(株)の全部門と国内子会社25社、および国外の連結子会社30社で監査を実施しました。
内部監査で指摘された事項については、各部門、各社で是正計画を策定し、海外も含め富士電機全体で継続的に改善を図っていきます。
情報セキュリティの教育
富士電機では、定期的に情報セキュリティの教育を実施し、社員一人ひとりの意識と知識の向上に努めています。
その他国内外の関係会社54社で、それぞれ情報セキュリティ教育を実施しました。
情報セキュリティ関連団体との連携
富士電機では、以下の情報セキュリティ関連団体への参画や連携を行っています。
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1.
日本コンピュータセキュリティインシデント対応チーム協議会(日本シーサート協議会)
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2.
一般社団法人 JPCERTコーディネーションセンター
知的財産の侵害防止に対する取り組み
知的財産活動では、第三者が保有する特許の侵害防止のため、特許監視システムを用いて、日常の監視活動を行っています。
また、社員へのコンプライアンス教育を実施し、侵害防止に努めています。
自社の技術については、積極的に権利化を行うことにより事業を保護しています。
また、事業における知的財産リスク低減のために、海外における知的財産問題への対応、模倣品対策を継続して行っています。