サステナビリティ
お取引先様とともに進める持続可能な調達活動
サプライチェーンにおけるCSR推進の考え方
富士電機は、行動指針である「企業行動基準」に「お取引先様を大切にします」を定め、持続可能な社会を支えるサプライチェーンの構築により、「社会的存在価値の高い企業」を目指すことが重要と考えています。
また、「環境ビジョン2050」の「循環型社会の実現」の取り組みの一環として、地球環境保護の観点から、環境保全活動に積極的に取り組んでいるお取引先様より、環境負荷の小さい資材を調達することで、グリーン調達への対応を積極的に進めています。
お取引先様と進める持続可能な調達活動
お取引先様向けに、当社のCSRに対する考えを共有・実践いただくことを目的に策定した「富士電機CSR調達ガイドライン」をグローバルに展開し、国内外のお取引先様と共に責任あるサプライチェーンの構築を目指します。
お取引先様を対象に「富士電機CSR調達ガイドライン」に基づくCSR調達セルフアセスメントを実施しています。サプライチェーンにおけるCSRの取り組み状況を把握するとともに、お取引先様には、アセスメントの回答を通じて、当社が遵守・実践を求めるCSRの考え方や取り組みについてご理解を深めていただいています。CSRの取り組みに課題のあるお取引先様については、協働してレベルの向上を図ることにより、サプライチェーンにおけるCSRリスクの低減につなげています。
なお、2022年10月より、新規に取引を開始するお取引先様に対して、CSRセルフアセスメントの実施を義務付け、CSRの取り組み状況の把握、評価を行っています。

富士電機CSR調達ガイドライン
当社は、サプライチェーンにおけるCSRリスク低減の視点から、お取引先様に遵守・実践いただきたい取り組みの考え方や具体的な事例について「富士電機CSR調達ガイドライン」としてまとめました。ガイドライン策定にあたっては、グローバルなサプライチェーンにおけるCSRを推進する企業同盟である「RBA: Responsible Business Alliance」の行動規範や電子情報技術産業協会(JEITA)「責任ある企業行動ガイドライン」などを参考としています。
グリーン調達ガイドライン
当社は、グリーン調達の推進にあたり「グリーン調達ガイドライン」を定め、下記2点についてお取引先様に確認させていただいています。
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1.
製品含有化学物質の管理状況
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2.
納入資材中の化学物質の含有状況
サプライチェーン全体で化学物質を適切に管理するために、お取引先様にはこのグリーン調達ガイドラインを通じて、含有製品化学物質調査にご協力をお願いしています。さらに、含有物質の調査を円滑に実施できるように、JAMP-chemSHERPAが定めた「製品含有化学物質管理ガイドライン」に基づいた管理を推奨し、「chemSHERPA」(注)を共通の管理ツールとして採用するようお願いしています。
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注
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「chemSHERPA」とは、JAMPと旧JGPSSIを統合した、製品毎に川上から川下まで、商社等を含むサプライチェーン全体で含有化学物質情報を管理、伝達する経済産業省が主導する支援ツール。
【2024年度改定内容】
① 管理物質に「特定国禁止物質」を追加
② 提出書類・データ一覧表に「フランス包装材 鉱物油インク規制調査シート」を追加
③ 製品含有化学物質の調査に「特定国禁止物質についての報告」を追加
富士電機カーボンフットプリント調達ガイドライン
当社は、カーボンニュートラルの実現に向けて、当社が取り組んでいる「環境ビジョン2050」の脱炭素活動についてお取引先様にご理解いただくとともに、事業活動によって発生する温室効果ガス(GHG)可視化の視点から、カーボンフットプリント(CFP)に関するお取引先様への協力要請事項をガイドラインとして制定しました。
本ガイドラインは、「富士電機企業行動基準」、「環境保護基本方針」および「富士電機購買方針」を基本として、経済産業省・環境省発行の「カーボンフットプリント ガイドライン」(2023年3月)を参考に、お取引先様にご協力いただきたいCFPへの対応や具体的な実務および事例についてまとめています。
お取引先様への啓発と支援
CSR調達セルフアセスメントの実施状況
当社は、お取引先様へのエンゲージメントならびにリスクマネジメントを目的に、お取引先様のサステナビリティに関する取り組みの評価・分析を行っています。
2024年度は、グループ全体の取引先約6,100社のうち、過去3年間(2021年度~2023年度)の購入実績で上位80%を占める主要取引先875社(国内728社、海外147社)に協力をお願いしました。「富士電機CSR調達ガイドライン」に基づき、以下の項目について自己点検を実施していただきました。
・人権・労働
・安全衛生
・環境
・公正取引
・品質・安全性
・情報セキュリティ
・事業継続計画(BCP)など
調査の結果、改善が必要と判断した12社に対しては、個別に面談を行い、CSRへの理解を深めていただくとともに、改善状況を確認しました。
また、2022年10月からは、新規取引先に対してもCSRセルフアセスメントの実施を義務づけ、CSRへの取り組み状況を含めた総合的な評価を行っています。
今後も、お取引先様とのコミュニケーションを深め、お取引先様とともに持続可能な社会を支えるサプライチェーンの構築に取り組んでいきます。

評価ランク
CSR調達監査の実施状況
2024年度は、17社のお取引先様を訪問の上実地監査を行い、全社がアセスメントの回答内容と実態が整合していることを確認しました。
2025年度は、20社のお取引先様への実地監査を計画しております。
当社は、実地監査を通じてお取引先様とのコミュニケーションを図り、相互に補完し合う双方向の改善活動を進めていきます。

CSR実地監査員の育成
お取引先様への実地監査を拡大するため、社内の実地監査員の育成に積極的に取り組んでいます。
2024年度は、12名の監査員を新たに認定しました。さらに、2025年度には13名の監査員を追加で認定する予定です。これにより、1拠点あたり2名体制での監査実施が可能となり、より効果的かつ効率的な監査体制を整えることができます。
<監査員認定のプロセス>
監査員として認定されるためには、以下の3つのステップを完了する必要があります
・監査人育成講習会の全プログラムの受講
・認証試験に合格(70点以上)
・実地監査でのトレーニングを完了

お取引先様とのコミュニケーション
事業方針説明会
富士電機では年1回、当社の事業に多大な貢献を頂いているお取引先様を招待し、「事業方針説明会」を開催しています。当社の生産活動を支えていただいているのはお取引先様であるとの認識のもと、お互いの信頼関係をさらに深める場としています。2024年度は96社のお取引先様をベストパートナーとして認定し、さらに、当社事業に対し特に顕著な実績を残していただいたお取引先様の表彰式を実施しました。

購買方針説明会
各工場・事業所では毎年、拠点のお取引先様向けに「購買方針説明会」を実施しています。CSR調達ガイドラインを共有するほか、当社の調達重点施策に加え、環境、品質、コンプライアンスなどの方針や取り組みなどを伝えることで、持続可能な調達活動の実効性を高めています。
環境コミュニケーション
環境ビジョン2050推進に向けて、お取引先様と連携した脱炭素の取り組みを開始しました。
国内外の主要なお取引先様880社を対象に、当社の「環境ビジョン2050」説明会を開催し、GHG排出量削減に向けた当社の取り組みと方向性を共有しました。また、お取引先様の脱炭素に関するお取組み状況を確認、把握するため、調査アンケートを実施しました。
2025年度は、お取引先様の活動レベルに合わせて、脱炭素経営説明会の開催や、GHG排出量削減に向けたeラーニング、個別ヒアリングを計画しています。
また、カーボンフットプリントの算出に向けて、一次データを収集するためのお取引先様向け勉強会も計画しています。
お取引先様啓発活動
パートナーシップ構築宣言によるお取引先様とのコミュニケーションおよび啓発活動を推進しております。
紛争鉱物への対応
富士電機は、サプライチェーンを通じた間接的な人権侵害行為への加担を行わない方針です。当社および当社の関係会社は、コンゴ民主共和国およびその周辺国における紛争地域から産出される鉱物のうち、スズ、タンタル、タングステン、金、コバルト、マイカとその派生物について、武装勢力の資金源および人身売買、強制労働、児童労働、虐待、戦争犯罪などに関わるものの使用を禁止するよう推進しています。
また、2014年2月にJEITAの「責任ある鉱物調達検討会」の正式会員として加わり、紛争鉱物に対して、RMIの最新情報の収集など業界団体と連携した効果的な活動を推進していきます。
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注
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RMI:Responsible Minerals Initiative 責任ある鉱物イニシアティブ
反社会的勢力排除に向けた取り組み
富士電機では、「反社会的勢力排除」にも継続して取り組んでいます。近年、反社会的勢力の資金獲得活動が巧妙化しているため、日本政府も被害を防止するための指針を公開しています。当社および当社の関係会社は、国内の新規および継続取引を行うすべてのお取引先様と「反社会的勢力の排除に関する覚書」を締結しています。加えて、お取引先様からの同様の契約書締結などの要請があった場合にも誠実に対応しています。
現地工事の労働安全衛生
富士電機では、発電設備や産業設備などの現地工事を専門のお取引先様に委託していますが、工事作業における労働安全衛生の管理も当社の重要な責務であると考え、取り組みを行っています。
工事作業ごとに安全事項を確認する「KYM(危険予知ミーティング)、TBM(ツール・ボックス・ミーティング)」や、工具類の点検、現地安全巡回などは日常的に実施しています。
また、大規模な工事においては、安全衛生協議会を工事会社様と組織して、安全衛生に関する資料の作成や安全衛生報告書の発行に加え、硫化水素などの危険物質の取扱い作業に関する特別教育を定期的に行っています。
建設業法施行規則の改正に伴い、下請企業労働者の医療、年金などの公的保障を推進するため、元請企業に対して下請企業への社会保険加入の指導が求められています。
当社では、2012年11月1日付けの工事請負契約以降、元請企業の責任として委託先企業の社会保険加入実績を確認し、データベース化しています。そして、この情報をもとに委託先企業の選定や指導を行っています。