富士電機株式会社

富士電機製品コラム

FA(ファクトリーオートメーション)

IoTと予知保全の関係について

製造業において、生産ラインの稼働は企業活動そのものと言っても過言ではありません。そこで各企業は、自社の生産ラインが停止してしまうことがないように、定期的なメンテナンスや部品交換を行う予防保全を行ってきました。近年IoT時代を迎えるにあたり、予防保全の一歩先を行く予知保全に注目が集まっています。

保全業務の抱える様々な問題

設備の保全業務は、冒頭でお伝えした通り製造業は言うに及ばず、大規模な商業施設や公共設備・各種研究機関など、機器・設備の稼働停止が許されない施設においても、重要な課題となっています。

保全業務に関する諸問題を挙げて見ましょう。

  • 機器や設備に問題が生じて、月間の製造計画が達成できない
  • 保全に関わる費用が年々増加して費用がかさむ
  • 機器/設備を更新する予算取りが難しい
  • 保全自体が後追いとなり、計画的な保全が出来ない
  • ベテランのみが保全に関わる、「属人化」が発生
  • 保全行為の適正化判断があいまい
  • などが考えられます。

保全に対する問題を考えて見ると、「より効果的な保全方法」「保全に関わるノウハウの問題」「保全に必要なコストの問題」が浮き彫りになってきます。

特に保全に必要なコストについては、避けては通れない問題です。製造業では、機器・設備の保全は不可欠な行為です。それ故、保全行為に掛かるコストが大きいと、企業の利益を圧迫する可能性もあるからです。

保全のIoT化を推し進め、機器装置の不具合を事前に把握する予知保全を行えば、本当に必要な時にだけ保全を行うだけで良くなりコスト減につながります。コストの中で大きな割合を占める人件費の削減についても、属人化を解消できる「IoT×予知保全」は、有効な手立てとなります。

予知保全の実現にはIoT導入が近道となる

予知保全を実施するには、対象となる機器や設備を常時監視するシステムが必要になります。このシステムにIoTを取り入れれば、機器・設備に取り付けたセンサで状態を常に監視することが可能。計測データを解析ソフトウェアやAIで解析することで、不具合や故障の予兆を発見出来るようになります。

予知保全システムが目指す理想は、機器・設備の不具合を完全に予知し、トラブルを未然に防ぐことで生産ラインや施設の稼働を停止させないことです。それ故今後、予知保全システムの監視対象は、各機械や計器・装置などにとどまらず、製造プロセスや施設全体に広がっていくと考えられます。

生産設備、自動的にデータ収集、データ蓄積、異常兆候を見える化

このような背景もあり、先進的な企業ではIoTを取り入れた予知保全システムの導入を始めています。

具体的には、生産ラインにおける機器・設備にセンシング技術を取り入れ、対象物の負荷や消耗頻度を可視化。そこで得たデータをもとに、部品交換やメンテナンスを行うタイミングを最適化するといった試みです。

予知保全でIoTを活用するために必要なこと

では予知保全にIoTを取り入れるためには、どのような準備や基盤が必要なのかご紹介したいと思います。

  • 機器より情報を得るためのエッジコントローラやセンサの選定
  • センサからデータ収集を行うネットワークの構築
  • データ処理や分析するための基盤構築
  • 分析したデータから警報通知(アラート)を出す仕組みの構築

そして何より重要なのは、機器・設備のメンテナンス作業に関わる全ての情報を一元的に管理する基盤を構築する事です。

富士電機 IoT システムの全体像

富士電機では自社の生産ラインを利用して、IoT技術の適用効果を実証。そこで得たノウハウや知見を活かし、お客さまが抱える課題を解決する予知保全システムをご提供いたします。

弊社は、工場設備や生産ライン構築のみならず、施設全体の省エネ化・工場の生産性/品質向上・小規模店舗における省エネや作業支援など。大規模施設だけでなく、小規模店舗においてもIoT技術を活かしたソリューションをご提供いたします。

今回ご紹介するIoT予知保全システムプラットフォームは、現場におけるエンジニアリングやアナリティクス・AIを基軸に、他社製品も含めた多数のフィールド機器との連携を図る基盤。各フィールド機器と、安全・安心に統合出来ることが特徴です。

このIoT予知保全システムプラットフォームは、データ収集を行うエッジコントローラ・アプリケーションの実行環境であるサーバシステム・エッジコントローラとサーバをつなぐ通信機能・システム全体を守るセキュリティ・データ分析/解析を行う「アナリティクス・AI」で成り立っています。

またこのIoT予知保全システムプラットフォームには、オープンソースソフトウェアを採用。通信プロトコル及びセキュリティに、デファクトスタンダード(標準技術)。「アナリティクス・AI」とエッジコントローラには、自社独自の技術を採用。サービスアプリケーションにおけるポータビリティと差別化を実現しています。

富士電機の予知保全IoTサーバシステム

予知保全システムIoTに必要なサーバの条件は、

  1. アプリケーションが安定して運用できる環境
  2. 新たな機器やサービス、それに顧客情報の追加が簡単なこと
  3. 運用コストが高額でないこと

などがあげられます。

これらに条件を踏まえ、富士電機では汎用クラウドを基軸としてサーバを構築。この汎用クラウド上にサービスインターフェイスを介し、アプリケーションを実装しています。

弊社のサービスインターフェイスは、多様なベンダが提供するクラウドの機能差を吸収出来るという特徴を持ちます。このインターフェイスの機能があれば、弊社が提供する様々なアプリケーションをお客さまがお使いのクラウドサーバに実装できます。つまり仕様さえ合えば、お客さまが現在ご利用になっているクラウドをお使いいただくことも可能となります。

その他、エッジコントローラとのデータ送受信機能においても、標準プロトコルであるMQTT(Message Queue Telemetry Transport)を採用。富士電機が提供するクラウドサービス以外であっても、容易に接続が可能となっています。

通信セキュリティの面においても、通信すべきエッジコントローラを特定する認証機能を完備。これに加え弊社では、アプリケーションが正常に動作しているかを監視する、サーバシステムの運用管理も行っています。

富士電機のサーバシステムは、ユーザ情報やアプリケーションの新規登録・変更・追加はもちろん、異常検知のためのログ・ネットワーク・パフォーマンス・リソースの各監視を実施。万一異常を検知した際は、システム運用者に通知する機能を有しています。

富士電機の予知保全IoTエッジコントローラ

エッジコントローラの主な役割には、現場でのデータ収集と、そのデータを上位のサーバに送信するゲートウェイ機能があげられます。

富士電機がリリースするエッジコントローラは、PLC: Programmable Logic Controller(プログラマブルロジックコントローラ)やインバータ・NC加工機・ロボットなど、数百種類のフィールド機器と接続が可能であり、用途に応じた機器を選択することで現場のIoT化を促進します。

またデータ収集としての機能だけでなく、エッジコントローラ自体で情報を一次処理する機能を持ちます。この機能により、上位ネットワークへの負荷を軽減させつつ、高いセキュリティ力を持つエッジコントローラとなりました。

さらにはエッジコントローラ単体で、データ解析・トラブルの予知・最適化といった、予知保全の中でもリアルタイム性が必要なものだけ機能分担させる、「エッジコンピューティング」も可能です。

富士電機の予知保全IoTセキュリティ

IoTによって全てのモノがネットワークに接続されることで、対象物の状態が遠方からでも把握出来たり、データ共有が出来るなど数多くのメリットが生まれます。その反面、新たなセキュリティリスクが生じることになりました。

具体的には…

システムへの不正侵入などによるサービスの妨害

IoT機器やシステムに保存されている個人のデータへの侵入

IoT機器やシステムに保存されている工場の生産情報への侵入

などです。

システムが管理している、現場機器の制御にまでハッカー攻撃が及ぶと、機器・設備を操作している現場作業員の生命が危険にさらされる可能性すらあります。

予知保全システムにIoTを組み込む際は、このような事態が発生しないように十分なセキュリティ対策を講じなければなりません。

富士電機では、予知保全のIoTセキュリティ対策に注力しています。国際標準規格である ISO/ IEC27017:2015や、 IoTセキュリティガイドラインに基づき、IoTシステムのセキュリティポリシーを策定。システム開発に関わる自社従業員への教育および訓練により、セキュリティに対する意識向上を図っています。

富士電機の予知保全IoTメカニズム面におけるセキュリティ対策

富士電機は技術的なセキュリティ対策にも対応。例えばIoTセキュリティ対策として、サーバシステム・エッジコントローラとシステムでの通信に関して、社内スタッフによる不正使用や外部からのハッキングでの情報漏洩・業務妨害を防ぐ、強力なセキュリティ技術を有しています。

また物理的な防御対策にも対応。具体的には、入退室管理や施錠などの仕組みづくりを行い、社内外の人の動きをコントロールして高い安全環境を構築しています。

富士電機ではIoTの情報セキュリティリスクを体系的に分類

弊社では、情報セキュリティに関するリスクにおいても、体系的に分類し管理・推進する体制を構築しています。

自社グループ内で発生する情報セキュリティインシデントへの対応および予防を担う Fe- CSIRT(Computer Security Incident Response Team)では、IoTとしてのシステムの監視体制やインシデントへの対応体制を整えています。

人的対策としては、富士電機の従業員へのセキュリティに対する教育および訓練により意識向上を図り、セキュリティの強化を行っています。

富士電機の予知保全IoTアナリティクス・AI

IoTにおける「アナリティクス・AI」とは、統計データや機械学習・数理応用を基軸に、AI技術を活かして、事象診断・未来予測・システム最適化・状況認識を行う技術を指します。「アナリティクス・AI」は富士電機のIoTプラットフォームの中心に位置付けられています。

具体的には、プラントや設備・生産ラインなどから稼動データを学習。目的に応じた、モデルを生成します。

富士電機ではこのモデルを用いて、生産プラントにおけるエネルギー利用の最適化・設備の安定稼動・品質・労働生産性・生産性向上といった、お客さまが求める価値を導き出します。

産業分野においては、IoTで管理する機器や設備・システムが用途ごとに目的値・パラメータ・制御応答特性・使用環境が異なる中で運用しなければならないケースもあります。

また、AIに学習させるデータの収集が制限されたり、AI自体がブラックボックス化しており信頼性の面から敬遠されたりするなどの問題もあります。

弊社ではこのような問題を解決するため、過去20年以上予知保全に関わるアナリティクス・AIの開発を続けており、数多くの技術やノウハウを蓄積しています。

まとめ

今後、予知保全による自動化システムは事後保全や予防保全に取って代わるか、あるいはそれらとの最適な組み合わせを模索しながら、多くの工場に導入され、一般化していくものと予測されています。

予知保全システムによって守られた止まらないスマート工場が現実に登場するのも、そう遠い未来のことではありません。

生産ラインで発生するトラブルを未然に防ぐための予知保全は、工場の生産性や安全性を高めるために今後ますます重要な役割を担っていくものと考えられます。工場のスマート化の一画とも言える予知保全の導入について、検討してみてはいかがでしょうか。

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