物流倉庫の改善コラム
出荷作業のピッキング作業を効率化する方法

出荷作業のうち、ヒューマンエラーが発生しやすい作業のひとつはピッキング作業です。

ロボットやAI等を活用した自動化等も可能ですが、大多数の企業では人の作業による出荷作業を行っているのが現状です。

このため、出荷作業におけるピッキング作業をいかに効率的に、正確におこなうかが作業生産性や物流品質を向上させるポイントになります。

  • Excelや紙を利用しているため、記入ミス・読み間違いがなくならない

  • 在庫状況をリアルタイムに把握したいができていない

  • 所定の場所にピッキングにいっても商品がない

  • 商品・アイテム数が増え、探すまでに時間がかかっている

  • 人海戦術にたよった出荷作業が常態化かしている

  • 属人的な作業があり、物流品質の維持が難しい

  • ピッキング作業担当者を教育するまでに時間がかかる

  • 類似した部品・商品が多くあり、出荷ミスがなくならない

出荷業務を効率化するためにはマテハン機器の利用が考えられます。ではどのような課題にたいして、どのようなマテハン機器を選べば出荷作業の効率化が可能になるのでしょうか。

関連:ピッキングシステムを活用した出荷作業の効率化事例

デジタルピッキングシステムの場合、種まき式・摘み取り式に対応でき、ハンズフリーで初心者でも作業がしやすいメリットがあります。ロケーションの工夫もしやすく、柔軟性がある運用ができるのが特徴です。

出荷作業とは

出荷作業とは顧客からの注文を受け、商品を顧客や店舗等に納品に関する一連の作業をさします。一般に、出荷指示・在庫引当・ピッキング・検品・梱包・発送といった作業を指します。

出荷作業の分類とピッキング作業

ピッキング作業には紙のリストによるピッキング(リストピッキング)で行う方法と、マテハン機器を利用してピッキングを行う方法があります。ピッキング作業に利用できるマテハン機器にはデジタル表示器やハンディ―ターミナルがあります。

また、出荷作業は「種まき方式(ピッキング型)」と「摘み取り方式(アソート型)」に分類することができます。それぞれのピッキング方法についてはメリット・デメリットがあり、物流倉庫現場においては、適材適所で使い分けをしているといのが実際です。

富士電機が実施した仕分け・ピッキング作業に活用しているデジタル機器に関する調査(複数回答)では「デジタル表示機」55.4%、「ハンディ―ターミナル」が40.1% といった結果になりました。

出荷作業とピッキング方法

続いて、種まき方式・摘み取り方式それぞれについて、出荷作業を効率化するためのピッキング方法を説明します。

摘み取り方式(ピッキング型)の出荷作業の場合

・リストピッキング(紙)

紙に印刷された出荷リストを見ながら、商品をピックアップする方式です。特別な設備は不要で、例外対応でも対応しやすいのが特徴です。一方で、属人的になりやすく、ピッキングの記録が手記入だったり、類似商品をピッキングミスしてしまったりすことへの対策が課題になります。

・ハンディターミナル

ハンディターミナルを操作するスキルが求められますが、都度が画面を確認出来たり、ロケーション管理機能を使えることが多いため、さまざまな作業形態に適用できるのがメリットです。

・デジタルピッキングシステム(DPS)

棚やかご台車に設置されたデジタル表示器に、ピッキングすべき商品・数量を表示することでピッキング作業を行う方式です。作業者はハンズフリーで作業ができます。

ハンディターミナルと比較して操作が簡単で、マニュアルなどを用意しなくとも作業できます。教育訓練がほとんど必要なくなります。一方で、ピッキングミスをゼロにはできないため、作業ミス時のチェック機能の有無が選定のポイントになります。

種まき方式(アソート型)の出荷作業の場合

・リストピッキング(紙)

あらかじめ出荷先が決められたカゴ台車等が用意されており、紙に印刷された出荷リストを見ながら、商品を種まきする(商品をカゴ台車に配る)方式です。こちらも紙のリストを使うため、属人的になりやすく、物流品質をどう担保するのかが重要になります。

・ハンディターミナル

ハンディターミナルを操作するスキルが求められるのと、操作画面を都度見る必要があるため、作業スピードはデジタル表示器を活用した場合より遅くなりますが、高いピッキング精度が期待できます。

・デジタルピッキングシステム(DPS)

デジタル表示器に、種まき数量が表示され、これを目印に商品等を文字通りまいていく作業を行う方式です。作業者はハンズフリーで作業ができます。デジタルピッキングシステムと同様に操作が簡単で、教育訓練がほとんど必要なくなるのがメリットです。

出荷作業を効率化するために必要な現状分析

デジタル化を目的にマテハン機器を導入しても生産性があがるとは限りません。規模や頻度によっては現状維持という選択がいい場合もあります。

出荷作業を紙のリストで行った場合、どうしても作業者の熟練度に依存することが避けられず、人が作業するという意味では作業ミスや間違えを抑えることには限界があります。中期的に物流品質を維持するためにはデジタル化の検討が必要になります。

どちらが最適かという結論は出しづらく、出荷作業の頻度・規模・商品アイテム数等を考慮し、出荷作業を効率化し、物流品質を維持できる仕組みを考える必要があります。

ハンディターミナルは端末操作を覚えることが必要ですが、バーコードがついていれば正確な出荷作業ができ、種まき式・摘み取り式にも対応できるメリットがあります。

デジタル表示器は、複雑な操作を覚えなくとも精度が高い出荷作業を行えるのがメリットです。また、バーコードがない商品の出荷作業にも適応ができます。

このように出荷作業のやり方にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

出荷業務を効率化するためには最適なマテハン機器を選択する必要があります。まずは物流倉庫の現場の現状分析を行い、どのような課題があるか整理することからはじめてみてはいかがでしょうか。

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