ソリューション・事例
電力需要予測システム(ZEBLA)

富士電機機器制御(株) 吹上事業所
当社製 電力需要予測システム活用による省エネ活動の推進

省エネによる事業所の体質強化計画

空調負荷の低減を図ったテントブース

富士電機は、低炭素社会の実現を目指し、生産時の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。生産拠点においても、電気、熱エネルギー技術と生産計画を連携させ、エネルギー利用の最適化を図る「工場スマート化」を推進しています。

受配電機器や制御機器の生産拠点である富士電機機器制御(株)吹上事業所では、2010年より「省エネによる事業所の体質強化計画」に取り組んできました。エネルギーのムダ削減を目指し、使用エネルギーの見える化、生産ラインの再構築やレイアウトの改善、建物の屋根素材見直しによる空調・照明の効率化などに取り組みました。

省エネパトロール

同時に、社員による「省エネパトロール」や省エネ推進に関する勉強会開催など、社員一丸となった省エネ活動にも精力的に取り組んでいます。

今回、活動の要となったのは、2015年に導入した当社製の電力需要予測システム「ZEBLA」(ゼブラ)です。日々電力使用量が変動する工場の電力需要制御は大変難しく、電力使用が特定の時間帯に集中しないようにできるだけ平準化し、電力会社との契約電力量を越えない様に抑えることが求められます。従前の「デマンド制御」方式では電力使用料を契約電力以下に抑制できたとしても、生産計画の変更などには柔軟に対応できず、省エネと生産計画の両立という面で多くの課題を抱えていました。しかし、長期の電力需要予測が可能な当社製電力需要予測システム「ZEBLA」(ゼブラ)を導入することで、早い段階からの電力抑制制御が可能となり、電力需要のピークを抑え、生産計画に影響することなく電力平準化を図ることが可能になりました。

化石燃料脱却にむけたクリーンエネルギー化(電気化)推進では、老朽化ガス大型空調機の電気化更新で、契約電力量を増やすことなくスムースなエネルギー転換を実現しCO2削減にも大きく貢献しました。

電力需要予測システム ZEBLA

「ZEBLA」(ゼブラ:Zero Energy Building Logging and Analysis)は電力需要を予測し、最適な省エネ対策を自動で行うEMS(Energy Management System)です。過去のデータからその日の使用電気量のピーク時間帯を予測し、電気が足りないときには重要度の低い電気機器の間引きや抑制運転、それでも不足する場合は発電機を稼働させて、リアルタイムで自動省エネ対策を実行します。また、学習機能を搭載し予測精度を常に進化させることを可能にしています。

電力需要平準化のためのシステム構成例

吹上事業所に導入するにあたり、本来ビル向けだったZEBLA(BEMS版)を「工場向けZEBLA(FEMS版)」に改良しました。

従来使用のBEMS(Building Energy Management System)版ZEBLAでは制御対象がOA機器や照明・空調等に限られており生産活動への影響が限られていたのに対し工場用FEMS(Factory Energy Management System)対応版では、OA機器、照明、空調設備以外の生産に関わる全ての設備に影響を及ぼします。特に緻密な制御を要する炉や加工機械は、瞬時停電や電圧変動による製品品質への影響が大きいことから大変難しい操作が要求されました。更に、 働く社員の労働環境確保の観点などからも、照明や空調の停止は避けなければなりません。

そこでFEMS版では、状況に応じて最適なタイミングで制御対象を選択する「TPO制御」機能を搭載し、生産性と快適性を損なわずに電力需要ピークを分散することを可能にしました。ZEBLAの導入により、2018年度にはエネルギー原単位(原油換算)で対2015年度比▲25.7%を実現しました。

省エネセンター会長賞受賞

吹上事業所の「電力需要予測システム(ZEBLA)活用による省エネ推進」は、「2019年度(令和元年度) 省エネ大賞」事例部門にて「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。 今回の受賞では、ZEBLAによる「電力需要の平準化」に加え、ZEBLA導入と他の省エネ施策を同時推進することによって契約電力を上げずにガス大型空調機を電動化(クリーンエネルギー転換)し、エネルギー使用量の削減に貢献したことが評価されました。2018年度には、エネルギー削減量(原油換算)年1,167kL、電気使用比率83%、エネルギー原単位(原油換算)対2015年度比▲25.7%を達成しました。

今後は、電気だけでなくガスや水にも監視と制御の範囲を広げたり、天気予報と連携させ自然エネルギーの変動を予測したり、さらにムダのない総合的な省エネシステムを目指します。

(注)

「省エネ大賞」 一般社団法人省エネルギーセンター主催、経済産業省後援
優れた省エネの取り組みや省エネルギー性に優れた製品並びにビジネスモデルを表彰するもの

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