富士電機
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富士電機テクニカ株式会社

FAQ

Q24.各種ヒータに対し,APRの定格電流を選定する際の計算方法を教えてください。

ヒータは温度特性から分類すると,

  1. (1)合金系およびカーボン系等
  2. (2)純金属系
  3. (3)炭化けい素系

の3つに大別できます。この3つに分けて計算例を紹介します。

1. 合金系およびカーボン系等

合金系およびカーボン系等は,温度変化に伴う抵抗値変化分が10%以下と小さいため,すべてのAPRが適用できます。図Aに3φ APRを使用した代表例を紹介します。

図A
図A

図Aに示す回路で負荷電流Imax〈最大値〉を計算すると次のようになります。

数式
ただし,
  1. A:ヒータ1 本当りの定格容量〔W〕
  2. B:ヒータの一相分総数〔本〕
  3. C:三相分
  4. D:ヒータ一相に加える電圧〔V〕
  5. E:線電流換算値
  6. F:電源電圧変動+10%換算値
  7. G:ヒータの抵抗値の温度変化分+10%換算値
  8. H:ヒータの製作誤差+5%換算値※1

この計算結果より,APRの選定は3φ 200V,250Aとなります。
この回路で重要なことは定格入力電圧時に,APR出力電圧を160V〈80V×2〉におさえることです。

※1:
ヒータの製作誤差はJIS C2520-1975〈電熱線および帯……ニクロム,鉄クロム〉に規定されている「線の導体抵抗許容差」によると,ヒータの線径もしくは帯の幅により±5%~± 2%の許容範囲となっています。

2. 純金属系

純金属系は,温度変化に伴う抵抗値変化分が数倍~十数倍と大きく,一般にはNシリーズの制御方式A形およびB形を使用して交流CLRもしくは交流ACRを行います。図Bに交流CLRを使用した代表例を紹介します。

図B
図B

図Bに示す回路で,まず変圧器の二次電流を求めます。

数式
ただし,
  1. A:ヒータ1 本当りの定格容量〔W〕
  2. B:ヒータの一相分総数〔本〕
  3. C:ヒータ一相に加える電圧〔V〕

次に変圧器一次電流I1をもとめます。

数式
ただし,
  1. D:変圧器二次電流I2
  2. E:変圧比の逆数

この結果により,APRの選定は1φ,200V,100Aとなります。CLR設定値は83Aに設定します。
交流CLR〈もしくは交流ACR〉による特長として,合金系およびカーボン系の計算例のように電源電圧変動,ヒータの温度変化による抵抗変化分およびヒータの製作誤差を考慮する必要のないことです。

3. 炭化けい素系

炭化けい素は,温度変化に伴う抵抗値変化分が3倍くらいあり,経年変化に伴う抵抗値の増加が3~4倍〈初期値に比べ〉になります。炭化けい素の場合,Nシリーズで制御方法A形、D形を使用する方法があります。

(1) 制御方式A形を使用した例

図Cに交流CLRを付加すると負荷電流I0は次のようになります。

図C
図C
数式
ただし,
  1. A:ヒータ一本当りの定格容量〔W〕
  2. B:ヒータの総数〔本〕
  3. C:ヒータに加える電圧〔V〕

この計算結果より,APRの選定は1φ,200V,250Aとなります。CLR設定値は200Aに設定します。経年変化が進むにつれ,設定値を下げていきます。
たとえば初期値の3倍に経年変化したとき,設定値は200A/3≒115Aとなります。

数式
ただし,
  1. P:定格電力
  2. I1:初期時の負荷電流
  3. I3:3倍経年変化時の負荷電流
  4. R1:初期時の抵抗値
  5. R3:3倍経年変化時の抵抗値

(2) 制御方式D形を使用した例

(1)項と同様となりますが、ただし経年変化に伴う設定値変更は不要となります。