ヒータは温度特性から分類すると,
の3つに大別できます。この3つに分けて計算例を紹介します。
合金系およびカーボン系等は,温度変化に伴う抵抗値変化分が10%以下と小さいため,すべてのAPRが適用できます。図Aに3φ APRを使用した代表例を紹介します。
図A |
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図Aに示す回路で負荷電流Imax〈最大値〉を計算すると次のようになります。
この計算結果より,APRの選定は3φ 200V,250Aとなります。
この回路で重要なことは定格入力電圧時に,APR出力電圧を160V〈80V×2〉におさえることです。
純金属系は,温度変化に伴う抵抗値変化分が数倍~十数倍と大きく,一般にはNシリーズの制御方式A形およびB形を使用して交流CLRもしくは交流ACRを行います。図Bに交流CLRを使用した代表例を紹介します。
図B |
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図Bに示す回路で,まず変圧器の二次電流を求めます。
次に変圧器一次電流I1をもとめます。
この結果により,APRの選定は1φ,200V,100Aとなります。CLR設定値は83Aに設定します。
交流CLR〈もしくは交流ACR〉による特長として,合金系およびカーボン系の計算例のように電源電圧変動,ヒータの温度変化による抵抗変化分およびヒータの製作誤差を考慮する必要のないことです。
炭化けい素は,温度変化に伴う抵抗値変化分が3倍くらいあり,経年変化に伴う抵抗値の増加が3~4倍〈初期値に比べ〉になります。炭化けい素の場合,Nシリーズで制御方法A形、D形を使用する方法があります。
図Cに交流CLRを付加すると負荷電流I0は次のようになります。
図C |
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この計算結果より,APRの選定は1φ,200V,250Aとなります。CLR設定値は200Aに設定します。経年変化が進むにつれ,設定値を下げていきます。
たとえば初期値の3倍に経年変化したとき,設定値は200A/3≒115Aとなります。
(1)項と同様となりますが、ただし経年変化に伴う設定値変更は不要となります。