鋳造業界・鋳造工場の動向調査
鋳造工場における人手(人材)不足に関する意識調査

人手不足が業務及ぼす影響、「深刻な影響がある」「影響がある」で6割超。

鋳造工場の経営課題のひとつは人手(人材)不足です。

鋳造工場は産業に欠かせない製品を製造する重要な役割を担っていますが、人手不足・人材不足は、技術継承が困難になる、生産能力や品質の低下、競争力の低下・事業継続の危機など、鋳造工場の経営に深刻な打撃を与える可能性があります。

この背景には労働人口の減少、熟練技術者の高齢化による退職、国際競争の激化などのがあります。鋳造工場では今後、いかに人材確保・人材育成をしつつ、限られた人材・人員でも高品質で、高い生産性を維持するかに対処していくことが求められます。

今回の調査における鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無についての設問では、「深刻な影響がある」「影響がある」の合計は60.2%となりました。

今回、富士電機の鋳造工場ソリューションサイトでは製造業かつ鋳造工場に勤務している回答者を対象に、人手(人材)不足に関する取り組み状況、具体的に実施していること、 問題・課題についてのインターネット調査を実施し、「鋳造工場における人手(人材)不足に関する意識調査」としてまとめました。

鋳造工場における人手(人材)不足に関する意識調査結果

調査概要

対象エリア

:全国

調査対象者

:製造業従事者で、かつ、事業所形態が鋳造工場

有効回答数

:347人

調査方法

:インターネット調査

調査期間

:2023年6月27日~6月30日

属性データ

[左:所属部門]

  • 製造・生産 58.8%

  • 生産管理 11.2%

  • 品質管理 9.5%

  • 技術・研究開発 5.2%

  • 保全・点検 4.6%

  • その他 10.7%

[右:従業員規模]

  • 100人未満 34.6%

  • 100人~499人 28.0%

  • 500人~999人 9.8%

  • 1000人~2999人 9.5%

  • 3000人以上 18.2%

調査項目

  • 鋳造工場の人手(人材)不足状況

  • 鋳造工場で人手(人材)が不足している理由

  • 鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無

  • 鋳造工場の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

  • 鋳造工場の人手(人材)不足への対応方法・取り組み状況について

    • 多様な人材の活用

    • 教育訓練・能力開発の強化

    • 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

    • 業務の外部委託(アウトソーシング)

    • ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

    • 多様な働き方実現

    • 従業員間における業務の平準化

    • IoT/IT活用による省力・効率化

    • 既存設備の更新による省力・効率化

    • AIによる自動化・省力化

  • 鋳造工場の人手(人材)の不足に関する問題・課題について(FA)

以下、動向調査の内容を抜粋してご紹介いたします。

鋳造工場の人手(人材)不足状況

「非常に不足している」と回答したのは全体の13.0%

鋳造工場の人手(人材)不足状況について、「非常に不足している」と回答したのは全体の13.0%となった(図1)。

図1 鋳造工場の人手(人材)不足状況

鋳造工場の人手(人材)不足状況の調査結果
図1:データ
  • 非常に不足している 13.0%

  • 不足している 34.3%

  • やや不足している 29.4%

  • 特に不足していない 15.3%

  • わからない 8.1%

鋳造工場で人手(人材)が不足している理由

もっとも回答が多かったのは「退職による欠員」で37.2%

鋳造工場で人手(人材)が不足している理由について、もっとも回答が多かったのは「退職による欠員」で37.2%、次いで「離職率が高い」で32.3%、「採用数の不足」で31.2%の順に続く結果となった(図2)。

図2 鋳造工場で人手(人材)が不足している理由

鋳造工場で人手(人材)が不足している理由の調査結果
図2:データ
  • 退職による欠員 37.2%

  • 離職率が高い 32.3%

  • 採用数の不足 31.2%

  • 労働生産性が低い 19.2%

  • 人材獲得競争の激化 15.8%

  • 既存業務範囲の拡大 13.2%

  • 過去の採用抑制の影響 12.8%

  • 景気回復による業務量の増加 10.9%

  • 休職による欠員 9.4%

  • その他 6.4%

  • わからない 4.1%

鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無

「深刻な影響がある」と回答したのは全体の11.7%

鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無について、「深刻な影響がある」と回答したのは全体の11.7%、「影響がある」が48.5%となった(図3)。

図3 鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無

鋳造工場の人手(人材)不足が業務及ぼす影響の有無の調査結果
図3:データ
  • 深刻な影響がある 11.7%

  • 影響がある 48.5%

  • 今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される 35.7%

  • 影響はない 2.3%

  • わからない 1.9%

鋳造工場の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

もっとも回答が多かったのは「技術・ノウハウの伝承が困難」で56.1%

鋳造工場の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)について、もっとも回答が多かったのは「技術・ノウハウの伝承が困難」で56.1%、次いで「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」で39.6%、「職場の雰囲気の悪化」で30.6%の順に続く結果となった(図4)。

図4 鋳造工場の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)

鋳造工場の人手(人材)不足が業務に与えている影響(懸念される影響)の調査結果
図4:データ
  • 技術・ノウハウの伝承が困難 56.1%

  • 従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少 39.6%

  • 職場の雰囲気の悪化 30.6%

  • 納期遅れやミス 24.7%

  • 業務の見直しや業務改善活動の停滞 23.5%

  • 業務・サービスの質の低下 19.6%

  • 需要増加に対応できず機会損失が発生 16.1%

  • 外部委託や採用活動などによるコストの増加 12.2%

  • 事業拡大・企業成長の妨げ 11.0%

  • その他 2.4%

  • わからない 4.3%

鋳造工場の人手不足への対応方法・取り組み状況

「取り組んで効果があった」の回答が最も多かったのは「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」で10.5%

鋳造工場の人手不足への対応方法・取り組み状況について、「取り組んで効果があった」の回答が最も多かったのは「ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化」で10.5%、次いで「既存設備の更新による省力・効率化」が10.5%、「業務フロー・業務プロセスの改善・見直し」が9.4%の順に続く結果となった(図5)。

図 5 鋳造工場の人手不足への対応方法・取り組み状況

省エネルギー対策に対する具体的な取り組みの調査結果
図5 データ

[「取り組んで効果があった」との回答比率]

  • 多様な人材の活用 6.0%

  • 教育訓練・能力開発の強化 9.0%

  • 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し 9.4%

  • 業務の外部委託(アウトソーシング) 7.5%

  • ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化 10.5%

  • 多様な働き方実現 6.8%

  • 従業員間における業務の平準化 7.5%

  • IoT/IT活用による省力・効率化 6.0%

  • 既存設備の更新による省力・効率化 10.5%

  • AIによる自動化・省力化 4.4%

多様な人材の活用

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%

多様な人材の活用について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%、「取り組んだが効果がでていない」が13.9%となった(図6)。

図6 多様な人材の活用

多様な人材の活用の調査結果
図6:データ
  • 取り組んで効果があった 6.0%

  • 取り組んだが効果がでていない 13.9%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 36.5%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 6.0%

  • 取り組んでおらず、予定もない 17.7%

  • あてはまるものはない/わからない 19.9%

教育訓練・能力開発の強化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.0%

教育訓練・能力開発の強化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.0%、「取り組んだが効果がでていない」が18.0%となった(図7)。

図7 教育訓練・能力開発の強化

教育訓練・能力開発の強化の調査結果
図7:データ
  • 取り組んで効果があった 9.0%

  • 取り組んだが効果がでていない 18.0%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 33.8%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 7.1%

  • 取り組んでおらず、予定もない 13.9%

  • あてはまるものはない/わからない 18.0%

業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.4%

業務フロー・業務プロセスの改善・見直しについて、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の9.4%、「取り組んだが効果がでていない」が12.4%となった(図8)。

図8 業務フロー・業務プロセスの改善・見直し

業務フロー・業務プロセスの改善・見直しの調査結果
図8:データ
  • 取り組んで効果があった 9.4%

  • 取り組んだが効果がでていない 12.4%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 33.1%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 10.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 16.5%

  • あてはまるものはない/わからない 18.4%

業務の外部委託(アウトソーシング)

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%

業務の外部委託(アウトソーシング)について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%、「取り組んだが効果がでていない」が10.9%となった(図9)。

図9 業務の外部委託(アウトソーシング)

業務の外部委託(アウトソーシング)の調査結果
図9:データ
  • 取り組んで効果があった 7.5%

  • 取り組んだが効果がでていない 10.9%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 22.9%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 11.7%

  • 取り組んでおらず、予定もない 25.6%

  • あてはまるものはない/わからない 21.4%

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.5%

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.5%、「取り組んだが効果がでていない」が7.9%となった(図10)。

図10 ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化

ロボット・自動機等の活用による自動化・省力化の調査結果
図10:データ
  • 取り組んで効果があった 10.5%

  • 取り組んだが効果がでていない 7.9%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 21.4%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 10.5%

  • 取り組んでおらず、予定もない 28.2%

  • あてはまるものはない/わからない 21.4%

多様な働き方実現

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.8%

多様な働き方実現について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.8%、「取り組んだが効果がでていない」が9.4%となった(図11)。

図11 多様な働き方実現

多様な働き方実現の調査結果
図11:データ
  • 取り組んで効果があった 6.8%

  • 取り組んだが効果がでていない 9.4%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 25.6%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 12.0%

  • 取り組んでおらず、予定もない 25.6%

  • あてはまるものはない/わからない 20.7%

従業員間における業務の平準化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%

従業員間における業務の平準化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の7.5%、「取り組んだが効果がでていない」が11.3%となった(図12)。

図12 従業員間における業務の平準化

従業員間における業務の平準化の調査結果
図12:データ
  • 取り組んで効果があった 7.5%

  • 取り組んだが効果がでていない 11.3%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 30.1%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 9.8%

  • 取り組んでおらず、予定もない 24.1%

  • あてはまるものはない/わからない 17.3%

IoT/IT活用による省力・効率化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%

IoT/IT活用による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の6.0%、「取り組んだが効果がでていない」が6.4%となった(図13)。

図13 IoT/IT活用による省力・効率化

IoT/IT活用による省力・効率化の調査結果
図13:データ
  • 取り組んで効果があった 6.0%

  • 取り組んだが効果がでていない 6.4%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 22.9%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 13.2%

  • 取り組んでおらず、予定もない 26.3%

  • あてはまるものはない/わからない 25.2%

既存設備の更新による省力・効率化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.5%

既存設備の更新による省力・効率化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の10.5%、「取り組んだが効果がでていない」が7.1%となった(図14)。

図14 既存設備の更新による省力・効率化

既存設備の更新による省力・効率化の調査結果
図14:データ
  • 取り組んで効果があった 10.5%

  • 取り組んだが効果がでていない 7.1%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 25.2%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 14.7%

  • 取り組んでおらず、予定もない 21.4%

  • あてはまるものはない/わからない 21.1%

AIによる自動化・省力化

「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.4%

AIによる自動化・省力化について、「取り組んで効果があった」と回答したのは全体の3.4%、「取り組んだが効果がでていない」が5.3%となった(図15)。

図15 AIによる自動化・省力化

AIによる自動化・省力化の調査結果
図15:データ
  • 取り組んで効果があった 3.4%

  • 取り組んだが効果がでていない 5.3%

  • 取り組んでいるが、効果はまだわからない 19.9%

  • 取り組んでいないが、取り組む予定がある 12.4%

  • 取り組んでおらず、予定もない 36.1%

  • あてはまるものはない/わからない 22.9%

鋳造工場の人手(人材)不足に関する問題・課題について(FA)

鋳造工場の人手(人材)不足に関する問題・課題についてのFA(フリーアンサー)では、「採用・人材の定着」「従業員の高齢化」「労働環境」「個人への負荷集中」に関連する問題・課題が多くみられた(以下FA回答の抜粋)。

  • 昨今のコンプライアンス強化に伴い、業務量が増加しており通常業務に支障をきたしている。

  • 採用を長く行っておらず技術の伝承が難しい。

  • 欠員が出ている部署にヘルプで時々行くが、専門じゃないので効率悪い。

  • 個人負担が掛かりすぎで休めない。

  • 会社が従業員不足を補うために技能実習生を大人数入れているが、質の悪い、素行が悪い外人が多い為、余計に仕事が増えている。

  • 採用を長く行っておらず技術の伝承が難しくなっている。

  • 経験値の高い世代が減って行く予定。

  • 生産、製造が増加すると残業が増えてしまう。

  • 人員不足による時間外労働の増加人員不足による作業量の増加。

  • 皆余裕が無い上、それぞれで専門の仕事をしているため、休暇を取りにくい休暇を取った場合、その業務が止まってしまう。

  • 新しい人材が、募集してもなかなか来ない。

  • 教育してスキルを身に付けても離職してしまうことが勿体ない。

  • 中小企業で、業務の標準化ができていない。この為、退職の穴埋めが大変。

  • 製造スタッフが不足。暑い場所での作業があり、続かない人が多い。

  • 人手が足らない為に仕事が遅れ、更に仕事が増え、更に仕事が回らなくなる悪循環となっている。

  • 従業員の高齢化が目立つので、若い人材が必要。

調査結果ダウンロード

本調査結果については以下よりダウンロードすることができます。

鋳造工場における人手(人材)不足に関する意識調査のイメージ

富士電機では鋳造業界・鋳造工場に関連する動向調査を不定期に実施し、お客様に役立つ情報を発信しています。本調査に関するお問い合わせは「お問い合せ・導入に関するご相談」ページよりお知らせください。

[2023年調査]