富士電機技報
新製品紹介論文(2019年)

高信頼二重化コントローラシステム「MICREX-SX SPH5000H」 2019-S09

下川 孝幸  ・  高橋 真規子 2019年11月27日

監視制御システムは,設備の稼動状況や異常などを示す。管理者はモニタの情報を基に,監視制御システムを通じて設備や機器の動作指示を行う。また,このコントローラは,モニタに表示するための情報をはじめ現場の設備や機器からさまざまな情報を収集し,管理者の指示に従って適切にプログラムを実行する。
社会を支えるインフラ設備である水処理施設などのインフラ設備は,1年を通じて24時間の連続稼動が求められる。わずかな時間の稼動停止は提供するサービスに支障を来し,事業者にとって多大な損失にもつながる。設備が止まることを避けるためには,高い信頼性を備えた監視制御システムが求められている。
富士電機は,このような市場要求に応えるため,統合コントローラ「MICREX-SX シリーズ」の新CPU モジュールとして,システムを二重化することで信頼性を高めたコントローラ「MICREX-SX SPH5000H」を開発した。

産業機器向けAC-DC電源「FIP06シリーズ」 2019-S08

多和田 信幸  ・  小口 博之  ・ 橋爪 真悟 2019年11月26日

近年,各業界の慢性的な労働力不足に対応するため,生産ラインのロボットや,サービス業の自動チェックイン・アウト機など,産業用機械の導入が加速している。多種多様な機械が増加することに伴い,電力を供給する電源機器にも多様な出力仕様が求められている。
富士電機は,これらのニーズに応えるため,お客さまが自由に出力数とその電圧を選定できるAC-DC 電源としてマルチ出力電源「FIP06 シリーズ」を製品化した。

電鉄向け大容量パワーモジュール「HPnC」 2019-S07

三友  啓  ・  市川 裕章  ・ 原田 孝仁 2019年11月6日

近年の地球温暖化対策の観点から,エネルギー効率の改善とCO2 排出量の削減が求められている。そのような中,さまざまな分野にパワー半導体を用いた電力変換装置が広く使われるようになっている。特に,電鉄分野をはじめ,風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギー分野においても,装置の大容量化かつ小型化が進んでいる。そのため,これらの装置に搭載される大容量IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールに,並列接続による大容量化への対応やさらなる高電流密度化による小型化が要求されている。
これらの市場要求に応えるため, 新規パッケージ(M292)に第7 世代「X シリーズ」チップを搭載した,大容量パワーモジュール「HPnC」(High Power next Core)を開発した。

第7世代「Xシリーズ」 1,200V/2,400A RC-IGBTモジュール 2019-S06

高崎 愛子  ・  掛布 光泰  ・ 山野 彰生 2019年9月26日

人口増加や経済成長により,エネルギー需要は世界的に拡大の一途をたどっている。CO2排出抑制による地球温暖化対策や,安全・安心で持続可能な社会を実現するために,電気エネルギーを効率的に変換するパワーエレクトロニクス技術への期待が高まっている。中でも,産業,民生,自動車,再生可能エネルギーといった幅広い分野で用いられる電力変換装置のキーデバイスとして,パワー半導体であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールの需要が拡大している。電力変換装置の小型化や低コスト化,高性能化に伴い,IGBT モジュールのパワー出力拡大や高信頼性化が求められている。
富士電機は,チップおよびパッケージの技術革新により,高いパワー出力および信頼性を実現した第7世代「X シリーズ」 1,200V/2,400A RC-IGBT モジュールを開発した。

小容量UPS「GXシリーズ」用ネットワークカード「Web/SNMPカードⅡ」 2019-S05

森藤 裕治郎  ・  初見  博  ・ 畠中 伸治 2019年9月26日

無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power System) は,産業分野では半導体製造装置やデジタルプリンタなどの電源保護として利用され,IT分野ではデータセンターなどのサーバ機器やネットワーク機器などの電算機器を電源保護として利用される。特にIT分野では,電源が遮断される前にデータを退避したり,基本ソフト(OS:Operating System)を適切な処理で安全に停止するOSシャットダウン処理を行ったりすることが必要である。UPS にUPS 管理システムを連携させることで,バッテリの電力が残っている間にOSシャットダウン処理を自動で実行させることができ,無人化されたサーバルームなどのIT 機器を電源異常から守ることができる。
UPS管理システムには,サーバやPC などのコンピュータにインストールして動作させるアプリケーションソフトウェアと,UPSに直接実装してネットワーク経由で管理が可能なネットワークカードによるものがある。前者ではUPS管理用として専用のコンピュータが必要になるのに対し,後者ではUPSに組み込むので専用コンピュータは不要となる。データセンターなどのIT分野では限られたスペースに多くのサーバを配置するため,後者の省スペースタイプのニーズが高い。また,昨今のIT分野では,ネットワークの暗号化や仮想化技術を取り込んだ技術への対応が重要視されるようになってきている。
富士電機は,これらの機能に対応した小容量UPS「GXシリーズ」用ネットワークカード「Web/SNMP カードⅡ」を開発した。

EVリユース蓄電池システム 2019-S04

山野 博之  ・  宮村 尚孝  ・ 松井 裕志 2019年8月22日

昨今の電気自動車(EV)の普及に伴い,EV で使い終わった中古電池を安全に有効活用する体制が整ってきている。
一方,需要家に設置する蓄電池システムは,従来,ピークカットによる契約電力低減に伴うエネルギー費用の削減が目的であった。2016 年度から2020 年度までの予定で実施されている経済産業省のバーチャルパワープラント(VPP)実証事業の成果が制度化すれば,ピークカット以外の収入が得られるようになり,投資回収効果が高くなる。
本システムは,EV リユース蓄電池を採用し,ピークカット,VPP 対応機能,さらに事業継続計画(BCP)に対応可能な需要家向け蓄電池システムである。

第 7 世代「X シリーズ」IGBT モジュール 1,700V 系列 2019-S03

永井 大嗣  ・  増田 晋一  ・ 吉田 健一 2019年6月28日

近年,地球温暖化対策の観点から,CO2 排出量の削減が求められている。エネルギー変換効率の改善や,風力発電や太陽光発電などといった再生可能エネルギーの利用が拡大している。これに伴い,電力変換装置 1 台当たりの出力電流が拡大する傾向にあり,キーデバイスである大容量 IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールの需要が拡大している。同時に,上述の装置は社会インフラの一部を構成するため高信頼性であることも求められている。
このような電力変換装置における出力電流の拡大,低消費電力化および高信頼性化の要求に応えるため,富士電機では第 7 世代「X シリーズ」IGBT モジュールの1,700 V 製品を開発した。

船舶スクラバ向けレーザ方式ガス分析計 2019-S0

田原 雅哉  ・  東  亮一  ・ 赤尾 幸造 2019年6月28日

船舶からの排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOX)などによる人体や環境への影響を低減するため,海洋汚染防止条約により燃料油中の硫黄分濃度が国際的に規制されている。2020年1月からこの規制が強化される。高硫黄燃料油の使用は,排ガス浄化システム(EGCS: Exhaust Gas Cleaning Systems)を搭載し,適切な運用をした場合に限られている。EGCS の要件を定めた国際海事機関のガイドラインにおいて,排ガス浄化性能の指標として二酸化硫黄(SO2)と二酸化炭素(CO2)のガス濃度比を定め,この指標が規制値以下であることを連続監視することを義務付けている。
富士電機は,EGCS において SOXを低減するスクラバに不可欠な排ガス監視装置として,小型でメンテナンス頻度が少ない船舶スクラバ向けレーザ方式ガス分析計を開発した。

山陽電気鉄道株式会社 5000系リニューアル車向け SiCハイブリッドモジュール搭載の鉄道車両用VVVFインバータ 2019-S01

田島 宏一 2019年2月20日

地球温暖化などの環境問題に対処するため,輸送機器の省エネルギー化が進められている。鉄道車両においても,車両を駆動するVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ装置,および補助電源装置といったパワーエレクトロニクス機器の低損失化が進められている。このような背景の中,富士電機は,低損失のデバイスを搭載して小型・軽量化を図った在来線向けVVVFインバータを開発した。

本誌に記載されている会社名および製品名は、それぞれの会社が所有する商標または登録商標である場合があります。著者に社外の人が含まれる場合、ウェブ掲載の許諾がとれたもののみ掲載しています。