富士電機株式会社

CSR取り組み事例女性活躍推進の取り組み

「メーカーで働く魅力を自分の言葉で伝えたい」
女性技術者だけで組織する「理工系女子採用プロジェクト」

富士電機は、「多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します」を経営方針の1つに掲げ、ダイバーシティの取り組みを強化しています。
その一環として女性の活躍推進にも注力しており、理工系を中心とした女子学生の積極採用や採用後の柔軟な働き方を後押しするための各種施策を実施しています。今回は女性技術者が主体となって活動している「理工系女子採用プロジェクト」の取り組みを紹介します。

自分で自分の可能性を狭めてほしくない

理工系女子採用プロジェクトの開始は2012年度にさかのぼる。その背景について人事・総務室人事部採用センター課長の伊藤はこう語る。

「当社は重電メーカーのイメージが強く、技術系の女性社員が少なかった。学生の理系離れ、少子高齢化の進行や雇用形態の多様化など、会社を取り巻く環境の変化に柔軟に対応していくには、事業に多様な視点や価値観を取り入れる必要があると考えました。技術者を含む女性社員数の増加が、結果として男女問わず働きやすい職場づくりにつながるのではないかと考えたのです」

しかし、そもそも理工系の女子学生が少ない中、電機メーカーの仕事と直接つながりのある機械系、電気系(以下、機電系)の学生となるとさらに数が減ってしまう。

人事部 採用センター 伊藤

「堅く、男性が多いという重電メーカーのイメージが先行し、女性が働きやすい会社なのか、女性がやりがいをもてる仕事があるのかといった不安から、自分で自分の可能性を限定してしまう女子学生が多いのではと思ったのです。ですから、そうした不安を払拭し、電機メーカーで働くことのやりがいや楽しさを技術系の先輩女性社員から直接語ってもらおうと企画したのがこの「理工系女子採用プロジェクト」です。対象とする学部も機電系に限定せず、理工系学部全般に範囲を広げました」

独自の取り組みで女子学生との接点を拡大

プロジェクトの担い手は同じ理工系出身の女性社員だ。

「入社後にライフステージの様々な場面とどう向き合ってきたのか、女性社員として抱える悩みや不安をどのように軽減・克服してきたのか等を女子学生と同じ目線に立って、プロジェクトメンバーから直接語りかけることにより、当社で働く姿をより具体的に描いてもらうことができると考えました。具体的には、プロジェクトメンバーによる理工系の女子学生への働きかけ、ホームページでの情報発信、就職説明会での相談ブース開設、女性キャリアカウンセラーとのコラボレーションによる「女子学生キャリアデザインフォーラム」開催など、メンバーが直接女子学生に語りかける接点の拡大に努めました。当時、こうした採用活動はかなり珍しかったと思います」

今では「理工系女子採用プロジェクト」がきっかけで入社した女性社員がこのプロジェクトに加わることも多く、プロジェクト自体も非常に活性化している。

研究分野は違っても大学での経験を活かす工夫

さて、それでは実際に理工系女子採用プロジェクトに関係した社員の話を聞いてみよう。
松本工場で働く電子デバイス事業本部の加藤木は理工系女子採用プロジェクトを通して2018年に採用された。

加藤木はこう言って笑う。

「大学では農学部で生物化学を専攻していました。具体的には植物の中で生きているカビの研究です。今の仕事で関わっているのは半導体で使う樹脂材料ですから、大学時代の研究とは直接の関係はありません」

しかし、加藤木は続ける。

「文献を調査して、実験して、その結果を確認して分析するというサイクルは、今の仕事も大学時代の研究も同じです。内容は違っても、大学時代の経験は十分に活かせていると感じています」

電子デバイス事業本部 加藤木

加藤木は就職活動の際に、東京で行われた理工系女子採用プロジェクトの会社説明会に参加した。少人数の会で詳しい説明を聞けたことが良かったと言う。

「理工系の中でも農学部ですので、そもそも就職できるのかという不安がありました。説明会では、いろいろな職種の女性の先輩方がテーブルについて、興味のある職種の方に話を聞くと言う形で5、6名での座談会が行われました。私が体験した他社の説明会は数百人規模で会社の説明を受けるものもあり、詳しい話を聞ける雰囲気ではありませんでした。そのような中、女性だけを集めた技術職の説明会は他にはなかったと思います」

説明会の後も、プロジェクトリーダーから連絡があり、エントリーシートの書き方や面接時のアドバイスを受けることができた。また、内定が決まった後にもフォローの連絡があったそうだ。

「女性同士で助け合えるネットワークがあるのだなと思いました。同じ理工系女子の先輩に親しみも感じましたし、どの職場に配属されても相談できそうだという安心感が生まれました。ですから、不安を感じることなく入社できました」

学生が本当に聞きたいことに答えたい

同じく電子デバイス事業本部の中村は2009年に入社。これまで理工系女子採用プロジェクトでリクルートをしてきた側だ。中村がこのプロジェクトに注力する背景には自分自身が就職活動の時に感じた思いがある。

「当時、富士電機ではすでに女性を積極的に採用しようという方針はありました。しかし、私自身、就職活動の際に女性の技術者の話を直接聞くという経験はできなかったため、入社するまでは具体的な姿が描けず不安に思っていました。実際入社してみると同じ部署に女性の幹部社員やチームリーダーがいて、安心して仕事ができる環境ではありましたが、就職活動の時にそうした女性の話を聞けていたらさらに安心できたと思います」

電子デバイス事業本部 中村

先ほどの加藤木の話にもあったように、理工系女子採用プロジェクトの良さは、女性のみの少人数の説明会で実際の仕事はもちろん、職場環境についても本音で対話ができることだと中村も言う。

「就職活動をしている学生は、基本的に『仕事を頑張ります!』という姿勢を見せようと思うものです。ですから、例えば育児休業といった女性のワークライフバランスに関わるような質問はなかなかできません。特に大勢の参加者がいる説明会では難しいでしょう。理工系女子採用プロジェクトの説明会は1回あたりの学生数が10名程度ですので、そうした内容についても質問しやすいと思います。むしろこちら側から結婚や出産、親の介護といったライフステージの変化に先輩たちがどう対処しているかを積極的に話すようにしています」

実際に中村の周囲には、育児休業から戻って技術系の仕事をバリバリこなしている女性や、子育てをしながら幹部社員に昇格した人もいる。

「そういった具体例を話すようにしています。自分が就活当時に聞きたかったことを積極的に学生のみなさんに伝えたいという気持ちが強いですね」

女性が活躍する富士電機を目指して

当初10名程度でスタートした理工系女子採用プロジェクトは、ここ数年50~60名の規模で活動を継続している。メンバーはみな、会社からの強制ではなく、自発的に参加している。

前出の採用センター伊藤は言う。

「プロジェクト発足前は概ね一桁で推移していた理工系女子の採用数も、2020年4月入社では59名にまで増えています。このプロジェクトの活動が着実に実を結んでいると感じます。プロジェクトメンバー間でも、積極的なコミュニケーションを図って横のつながりができているようで、仕事や育児等の悩みを共有・相談しているとの話もよく耳にします。お互いに刺激しあい活躍の場を広げるとともに、多くの人にキャリアアップに挑んでほしいと思います」

富士電機は、女性社員の積極採用と併せてキャリア形成や仕事と家庭の両立に向けた取り組みを充実させ、女性の活躍支援に一層注力していく。

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