富士電機のSDGs
女性活躍推進

ESG 環境・社会・ガバナンス

多様な人財の個性を価値創造の原動力に。
~富士電機のダイバーシティ&インクルージョン~

2023年3月更新。所属・業務内容は取材当時のものです

富士電機は「多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します」を経営方針の一つに掲げ、ダイバーシティ&インクルージョンを強く推進しています。その中でもとくに力を注いでいるのが女性活躍推進。採用からキャリア開発に至るまで、多様な取り組みにクローズアップするとともに、第一線で活躍する女性社員の声を紹介します。

富士電機のダイバーシティ&インクルージョンを紹介します

富士電機は、人を大切にする

人事部 企画・労政課 福岡典子
人事部 企画・労政課 福岡典子

富士電機は企業行動基準に「人を大切にする」という文言を掲げ、人権尊重と多様な人財の活躍を推進している。「人」は企業の競争力の源泉ととらえ、その価値を最大限に引き出し、企業価値向上につなげることを目指している。人事部 企画・労政課の福岡典子は、富士電機が推進するダイバーシティ&インクルージョンのゴールを次のように話す。

「富士電機のダイバーシティ&インクルージョンは『多様な人財が仕事と家庭を両立させ、働きがいを感じながら意思決定にも参画していく』『性別や国籍、年齢に関係なく、それぞれに個性を生かし、存分に能力を発揮する』ためのもの。そして多様な人財のチームワークが生み出す化学反応から、唯一無二の価値を生み出していくことを目指しています。多様な人財の活躍推進はもちろん、さらなる社員の幸せと価値創造に向けて取り組んでいます」

富士電機が、とりわけ力を注いでいるのが女性活躍推進だ。2006年度に女性活躍の専門部隊を設置。以降、制度や支援の充実、それらの実効性を高め、利用を促進する取り組みによって、確かな成果が生まれている。全社員に占める女性社員比率は約15%に到達し、企画系職種(一般にいう総合職)に就く女性は約3倍に増加。30歳代半ば未満の若手層の割合も大きく伸びている。さらに、女性活躍推進法で掲げられている女性管理職については10倍近くになっているという。

女性技術者による、本音のプロジェクト

人事部 採用センター 課長 飛石勇気
人事部 採用センター 課長 飛石勇気

富士電機は技術系の女性社員が少ないという課題を抱えていた。そこで2012年度からスタートしたのが「理工系女子採用プロジェクト」だ。本取り組みは、約60名の理工系女性社員が参加し、大学訪問や社内外の採用イベントでのPR、オンラインによる個別面談・座談会などを実施。女子学生に対し、仕事のやりがいや風土の魅力、キャリアへの不安を払拭してもらおうというものでその活動は多岐にわたる。人事部 採用センターの飛石勇気はこの取り組みのポイントをこう語る。

「参加する女性社員には『本音でぶつかってほしい』とお願いしています。だから、学生の皆さんからの評価も高いイベントになっているんです。耳当たりのよい言葉を並べるだけでは、入社後のミスマッチにつながりかねない。嘘偽りのない本音と、彼女たちの魅力に触れてもらうことを第一に考えています」

人事部 採用センター 朝田亜希
人事部 採用センター 朝田亜希

仕事の苦労も、やりがいも、包み隠さずに伝える。いきいきと輝き続ける女性社員たちとふれ合う時間は、学生たちにとって何よりも貴重な体験になっているようだ。その成果は数字にも表れ、2018年度以降の女性採用比率は20%を上回り続けているそうだ。さらに、人事部・採用センターの朝田亜希は、プロジェクトがもたらすメリットはそれだけではないと強調する。

「このプロジェクトはイベントに参加した女性社員たちのネットワークづくりや、モチベーションの向上にも寄与しています。参加者たちからの『部門を超えた横のつながりが増え、仕事がやりやすくなった』や『仲間の活躍を知り、自分自身も頑張ろうと思えた』という声を聞くたびに、本プロジェクトの重要性を感じ、やりがいにつながっています」

女性のキャリアに一貫したサポートを

「本音」に惹かれて、入社を決めた女性社員を待っているのは、ライフステージに応じてキャリアと意欲を支援する「本気」の取り組みである。結婚・出産・育児と仕事の両立に漠然とした不安を抱える社員に、社内で活躍する女性社員をアドバイザーとしてペアリングする「シスター制度」は将来に向けた気づき、成長支援の機会となっている。また、OFF-JTとOJTを連結させる施策を重点的に施すことで、上位職に引き上げていく「重点キャリア開発」は女性管理職の拡大に向けた軸となっている。さらには、管理職の女性を次世代の経営人材へと導いていく「女性管理職研修」を実施している。加えて、復職者と上司がお互いの状況や考え方を共有し、今後の仕事やキャリアについて話し合う「ペアワーク研修」など、一貫したサポート体制を敷いている。

「一般的に女性はインポスター症候群の特性があると言われています。自己肯定感を高め、『自分にはできない』という先入観から解放し、自信を創出する。そんな取り組みを推進したいと考えています。時には、『女性ばかり優遇では?』といった声も聞かれますが、女性活躍推進を行ううえで、そのような漠然とした違和感を乗り越えながらここまで進んだと実感しています。全社員の意識改革も含めて、さらなる取り組みのアップデートに努めていきたいですね」(企画・労政/福岡)

公平に、それぞれの機会を支えていく

「当社の『ダイバーシティ&インクルージョン』は、トップダウンから環境整備、そして意識改革へと発展していきました。今後は経営戦略としての『ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン』をカルチャーとして根づかせること。それがひとつの到達点であり、更なる高みへの通過点だと私は考えています。平等であることはもちろん大切ですが、公平(エクイティ)であることも必要な考え方です。全社員の意識改革のためにも、従来の取り組みに囚われることなく、さまざまな施策にチャレンジしていきたいと思っています」(企画・労政/福岡)

平等(Equality)だけでは不十分で、公平(Equity)であることも必要
平等(Equality)だけでは不十分で、公平(Equity)であることも必要

女性社員の声

発電プラント事業本部 発電事業部 火力・地熱プラント部 武藤 寿枝(1999年入社)

発電プラント事業本部 発電事業部 火力・地熱プラント部 武藤 寿枝(1999年入社)

「私のミッションは、自社製の蒸気タービン・発電機を中心とした発電設備を納入するプロジェクトのとりまとめをすること。主に地熱発電所向けの仕事を任され、発電所全体の基本設計を手掛けています。よりいいモノをつくっていくために、誰もが自由に発言できる、おおらかでフラットな風土が富士電機の魅力だと感じています。管理職になるにはさまざまな研修を受ける必要があり、上位職を目指すことに困難を感じる人もいるでしょう。ですが、富士電機には女性のキャリアをしっかりとサポートしてくれる制度があります。心配ご無用ですから、どんどん活躍の場を広げていってもらったらよいと思います。」

Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021 Photo by Kenta Yoshizawa
Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021 Photo by Kenta Yoshizawa

武藤はダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みとして、経済産業省主催の女性リーダー人材育成プログラム「Women’s Initiative for Leadership(通称:WIL)」への参加など社外でも積極的に活動しており、Forbes JAPAN WOMEN AWARD2021ではイニシアティブ賞を受賞した。

「WILに参加し、基本的人権の尊重がまずあって、その上に会社を含めた社会が成り立っていることを改めて認識しました、仕事をする上で常に意識しています」

パワエレ インダストリー事業本部 技術部
本田 ともみ(2014年入社)× 市原 知里(2022年入社)

同じ部門に所属し、鉄鋼設備向けのシステム納入におけるプロジェクトマネジメントを担当する女性技術者ふたりに富士電機で働くことの魅力を聞きました。

左:本田 ともみ、右:市原 知里
左:本田 ともみ、右:市原 知里

本田 私が富士電機に入社したのは、「理工系女子採用プロジェクト」を通じて、実際にエンジニアとして活躍している先輩方に出会えたことが決め手でした。「私も富士電機の一員として活躍したい」と憧れを抱いたのですが、市原さんはどのような想いで入社を決めましたか?

市原 大学時代も工学部だったため、女性が少ない環境に強い抵抗はありませんでした。しかし、入社前に女性技術者たちとの座談会に参加できたことは、入社の決めての一つとなりました。ものづくりとプラントエンジニアリングを通じて、豊かな暮らしを届けたい。そんな想いを実現できる会社だと再認識できました。

本田 私自身も学生時代と男女比率など環境の大きな差はないと感じています。入社して半年が経過しましたが、職場の環境にもだいぶ慣れてきましたよね。

市原 はい。先輩方は優しく、面倒見のいい人ばかり。特に女性技術者の本田さんの存在には助けられています。男性技術者が大多数を占めていますが、不自由さや機会の不公平さを感じていません。それ以上に、仕事自体が「右も左もわからない状況」です。少しでも理解が深められるよう、現在は先輩方に教わっているところです。ちなみに、本田さんは子育てと仕事を両立されていますが、富士電機にはどのようなサポートがありますか。

本田 富士電機のいいところは、「どう働いていくか」を自分で決めて、調整できること。部内には産後復帰経験者がいなかったのですが、時短勤務制度や時間休暇取得、働く場所を選べるLocation Flexible勤務制度などを活用しながら、自分の働き方を作ることができています。忙しい日々を過ごしていますが、それができるのは市原さんも含めた周囲の支えがあるからこそだと強く感じています。富士電機の仕事はチームで進めていくものですから。

市原 本田さんの姿を見ているからこそ、私も安心して目の前の仕事に打ち込めています。先輩方が私を支えてくれたように、私も採用関連のイベントを通じて、学生の不安解消の手助けができたらと思います。

本田 そうして女性技術者のネットワークが次代に紡がれていくことは、私たちにとっても、会社にとってもメリットのあること。さまざまな出会いに刺激をもらいながら、さらなるチャレンジに向き合っていきたいですよね。

貢献するSDGs目標

働きがいも経済成長も

当社は、経営方針に「多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します」と掲げており、一人ひとりの多様性を受け入れ、社員の力を最大限発揮できるしくみや風土・環境づくりに積極的に取り組んでいます。「女性活躍の推進」は中期経営計画の人事戦略の一つにも掲げており、これは当社のSDGs目標「5.ジェンダー平等を実現しよう」に貢献するものです。