ニュースリリース
船舶事業強化に向けた「船舶スクラバ用レーザ方式ガス分析計」の発売について

2019年8月29日
富士電機株式会社

 富士電機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:北澤通宏)は、船舶事業の強化に向け、船舶スクラバ用レーザ方式ガス分析計を発売しましたので、お知らせいたします。

1. 背景

 国際海事機関(IMO)は、大気汚染原因物質の一つである硫黄酸化物(SOx)の排出量抑制に向け、船舶燃料の硫黄分濃度の上限を、指定海域(注1)を除く全海域で、2020年に0.5%(現在3.5%)とすることを定めています。本規制は新造・既存船問わず全船に適用され、船舶所有者は規制強化以降、低硫黄成分燃料へ切り替えるか、船舶用排ガス浄化装置(SOxスクラバ)(注2)を使用するなどの対応が必要となります。また、SOxスクラバを搭載した船舶は、排ガス浄化性能の指標として、二酸化硫黄(SO2)と二酸化炭素(CO2)のガス濃度比を連続監視することが義務付けられています。
 今般、当社はこの排ガス監視装置として、世界最小の船舶スクラバ用レーザ方式ガス分析計を発売しました。当社は、2018年に船舶用排ガス浄化システム(EGCS:Exhaust Gas Cleaning Systems)を発売しています。本製品を自社製EGCSに適用しシステムを強化するとともに、他スクラバメーカーに対しても本分析計を拡販することで、船舶事業の拡大を図ります。

(注1)

:北米、米国カリブ海、北海・バルト海他は2015年から0.1%に規制

(注2)

:排ガスに海水を混ぜ、排ガス中の硫黄酸化物を低減する装置

2. 製品の特長

1)世界最小かつフレキシブルな配置を実現

 従来のガス分析計は、煙突から排ガスを吸引する採取器と加熱導管、排ガス中のダスト・水分を除去するサンプリング機器(前処理機能)、各機器への電源供給・通信を行う制御機器、排ガス中のSO2とCO2の濃度を測定するガス分析計で構成されます。これらを盤用キャビネットに格納するため、船内に大規模な設置場所を確保する必要がありました。
 本製品は、前処理機能を採取部に集約し、検出部・制御部・採取部の3ユニット構成で設計。ユニットごとに壁面や床などフレキシブルな配置が可能です。さらに、耐腐食性材料を採用するなどして盤への格納を不要とすることで、当社従来製品に比べて体積を90%低減し、世界最小サイズを実現しました。これらにより、既存船への設置(レトロフィット)が容易です。

2)レーザ方式を採用し、メンテナンス頻度を大幅に低減

 レーザ方式ガス分析計では、レーザ素子と受光素子を用いてSO2とCO2の濃度を同時に測定します。一般的な赤外線方式と比べ構成部品が少なく信号ノイズを大幅に低減できます。そのため、校正作業を年1回に低減(赤外線方式は毎週必要)するとともに、交換部品が少ないことから、赤外線方式に比べてランニングコストを50%以下に低減できます。
 開発段階では、高い測定精度や船上での耐環境性(振動、高温など)が要求されるため、製品化が困難でした。当社は、ごみ処理場や鉄鋼を中心に様々な分野で培った技術力(機構設計や信号処理など)を活用し、船級認証で要求される測定精度レベルと充分な耐振動性・耐熱性などを確保することで、日本で初めて船舶スクラバ向けに、レーザ方式のガス分析計を製品化しました。

3. 主な適用先

バルカー、タンカー、コンテナ船、自動車運搬船など

4. 仕様

5. 製品に関するお問い合わせ先

 富士電機株式会社 パワエレシステム インダストリー事業本部
 オートメーション事業部 システム営業技術部 第二課
 03-5435-7021

【参考資料】

製品ホームページ :

(注)

本リリースに掲載している情報(製品仕様や問い合わせ先等)は発表日時点のものであり、予告なく変更する場合もございます。
あらかじめご了承ください

以上