富士時報
第74巻第7号(2001年)
インバータ・サーボ・UPS の応用特集
栗田 茂文・加護谷 隆己・松枝 弘宣
FA分野では,汎用インバータならびにサーボシステムの適用が拡大し,設備の小型化・省力化あるいは高速化・高精度化が図られている。一方,IT分野の拡大に伴い,コンピュータシステムを電源トラブルから守る無停電電源装置(UPS)も飛躍的な適用拡大を遂げ,コンピュータの安定稼動に貢献している。本稿では,これらの技術動向と富士電機の取組みを紹介し,その成果である豊富な製品系列により幅広い用途に対し,最適な機種選定が可能であることを述べる。
野村 哲也・米澤 裕之
上下搬送用インバータとしては,高性能化や使いやすさが市場要求として高い。富士電機が開発した「FRENIC5000G11UD」は,本格的な速度センサ付きベクトル制御による高性能運転,ディジタルAVR による滑らかな運転,エレベータ専用機能と豊富なインタフェースとによる操作性向上,データコピー機能付きタッチパネルによるセットアップの簡素化といった特長を備えている。本稿ではその概要と適用例について,特性例を交えて紹介する。
金沢 直樹・豊田 敏久・山本 健
ベクトル制御インバータ「FRENIC5000VG7S」は,従来機種に比べ性能,機能,インタフェースを大幅に向上させて市場に投入している。これら新機能の中で,ユーザープログラマブル機能を備えたオプションカード「UPAC (User Programmable Application Card )」は市場で好評を得ている。UPACの適用により,FRENIC5000VG7Sはさらに幅広い分野への適用が可能になった。本稿では,電気自転車用試験機,検品機,搬送装置へのUPACの適用例について紹介する。
辻原 弘・林 寛明・大路 正孝
今日のインバータは,発展するパワーデバイスと制御技術により小型・高精度・高速応答・多機能な可変速駆動装置として位置づけられており,運搬機械の省力化,自動化,高速化を可能とする。本稿では,インバータの運搬機械への適用例として,「FRENIC5000VG7S」のクレーン,立体駐車場への適用例,「FRENIC5000MG5」の立体倉庫への適用例を紹介する。
糸魚川 信夫・野村 尚史・廣瀬 英男
産業分野で利用されている電気エネルギーの約70%は,モータドライブで消費されている。このため,モータドライブの高効率化が重要となっている。このニーズにこたえる電動機として,永久磁石同期電動機がある。この電動機は,標準誘導電動機に比べ界磁損失がないため,高効率・小型・軽量である。本稿では,同期電動機駆 動を専用とする「FESPACシリーズ」(低減トルク仕様)の特徴であるV/f制御による位置センサレス同期電動機の駆動方式とその適用分野について紹介する。
松永 哲夫・中井 勝
環境改善と衛生管理を目的として食品加工工場がHACCPといわれる衛生管理方式を採用するようになり,大量調理用熱源にはIHが使用されるようになった。加えて従来の単なるガス加熱の代替として使用されるのではなく,IHで特別の効果が得られる用途やIHでなければできない用途に積極的に使用されることが多くなり,さらに今後新しい効果が期待されるようになってきている。本稿では,最近製品化され当初予想以上の効果が得られた炊飯釜(がま)加熱用途と今後IH 特有の効果が期待される蒸気発生器加熱用途を説明する。
志賀 孝・酒井 利明・伊藤 加代
サーボシステムは,上位コントローラと組み合わせ,機械の性能アップ,コストダウン,システムの拡張などに貢献し,さまざまな産業機械に使用されている。本稿では,サーボシステムを使用したハーネス加工機の特徴および各機構部でのサーボシステムの適用例を紹介する。
藍原 隆司・市川 誠・金子 貴之
富士電機のサーボシステム「FALDIC‐αシリーズ」は,小型・高性能でさまざまな特徴を持っている。その制御技術応用例として「制振制御技術」「フルクローズド制御」「高速バス制御」について紹介する。特に「制振制御技術」はロボットアームの先端の振動を抑制するために,先端位置やアームの剛性を考慮した独自の方式で,幅広い用途で大きな成果を上げている。
市中 良和・鉄谷 裕司・山田 達也
高性能ベクトル制御インバータ「FRENIC5000VG7S」は,誘導電動機の適用に応じベクトル制御,センサレスベクトル制御,V/f制御の選択ができ,同期電動機はベクトル制御,V/f制御(専用品)の運転が可能となった。また制御性能の向上により,電動機を駆動可能な最高速度も上がっている。本稿ではFRENIC5000VG7Sの特 殊電動機(高速電動機,多重巻線電動機,同期電動機)との組合せ応用技術について紹介する。
藤倉 政信・廣瀬 順
需要の増大が期待される海外市場向けとして開発した「UPS7000シリーズ」は,非絶縁型の新しい変換方式を採用し,小型・軽量化を実現するとともに欧州EN 規格における安全性と電磁環境両立性に適合し,CEマーキングを自己宣言した中容量UPSである。本稿ではUPS7000シリーズの特長,仕様,構成,要素技術および試験結果を紹介する。
松尾 浩之・大路 桂二郎・山本 真理子
サーバの普及・拡大に伴い,ミニUPS(無停電電源装置)の需要が急速に高まっている。最近,この種のUPS には,小型・軽量,低コスト,さらにはネットワーク対応といったことが求められている。今回,富士電機では,常時商用給電方式を適用した出力容量500から3,000VA のミニUPSとネットワークに対応したUPS 管理ソフトウェアを製品化した。本稿では,それらの仕様,回路構成および特長を紹介する。
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