富士時報
第75巻第12号(2002年)
コントローラ適用技術特集
菱沼 正勝・増本 英夫・石井 靖
統合コントローラ「MICREX-SX シリーズ」(SX)は,高速処理をはじめ,時代を先取りしたコンセプトを生かし,適用分野を拡大している。本稿では,適用拡大を支えるSXの特徴(高速化,オープン化)を生かし,ソフトウェアの部品化やシステムニーズへの柔軟な対応を示した。また,実際の適用例を示し,その中で用いられるブロックエンジニアリングなどの開発手法や,アプリケーションを支えるコンポーネントについても紹介する。
松本 雅好・福島 幸治
「D300win」は国際規格IEC61131-3 に準拠したプログラム開発支援ツールとして発売以来,ソフトウェア製品の持つフレキシビリティを生かし,さまざまな機能・性能・操作性の改良を実施,発展しながら「MICREX-SX シリーズ」とともに好評を博してきた。近年のプログラマブルコントローラのオープンネットワークへの対応や,サーボモータやインバータとの組合せによる適用用途の広がりとともに高機能・複雑・大規模化が進む制御プログラムの生産性をさらに向上させる開発環境が求められる中,Ver.2の使いやすさを進化させ,快適性を増したVer.3を開発した。本稿ではD300win Ver.3の主な特徴を紹介する。
吉野 稔・山口真砂晴・工藤 恵優
「HEARTシリーズ」は,ExcelやVisioのオフィスオートメーションソフトウェアで作成した制御仕様書を,プログラマブルコントローラ(PLC)やDCS(Distributed Control System)の制御ソフトウェアに自動変換し,なおかつ,その仕様書上での試験機能も併せ持つ支援ツールである。記述した仕様書どおりにソフトウェアが動作し,設計・製作・デバッグ作業も不要なため,高品質なソフトウェアと高効率なエンジニアリングが可能である。
相田 忠勝・島田 喜秋・田尻 賢二
富士電機が提案している3種類のモーションコントロール方式について紹介する。ネットワーク方式では位置決め機能内蔵のサーボアンプで長距離の分散システム,多軸用のMCモジュール方式では大容量のモーションプログラムで複数機械の制御と分かりやすさを目的とした表形式のプログラム作成ローダ,またFB方式では同期運転システムの考え方と電子カムのシステムについて説明する。
井上 幸雄・喜納 政宏・東郷 光彦
統合コントローラ「MICREX-SX シリーズ」(SX)の特徴の一つであるFBD言語によるプログラミングにより,駆動制御の要素をFB化して,効率よくプログラミングを行い,ドライブシステムへ適用した例を3件紹介する。また,SXの別の特徴である,SXバスによる高速通信を生かし,駆動装置の制御データを収集し解析するシステムについても1件紹介する。
藤田 和弘・高橋 文男・平尾 良伸
生産・製造設備の現場では,省力化・コストダウンを目的とした安定・安全操業のための効果的な設備管理の実現が強く望まれている。この課題のソリューションとして,富士電機では,急速に発展,低価格化してきているITを応用したリモート監視・保守システムを提供している。本稿では,統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」を適用したリモート監視システムを構築するための,公衆回線利用の富士オンラインアダプタと,イントラネット・インターネット利用のSX-Webモジュールの概要を紹介する。
前枝 昌弘・永田 康則・福井 行夫
近年における社会の情報化の流れを受け,ビル管理システムにおいてもライフサイクルコストの低減を目的とした管理対象機器の拡大とマルチベンダー化に対する強い要求がある。これら要求への対応として,BACnet,LONWORKSを代表とするビル管理に適したネットワーク,技術により,制御機器のオープン化・標準化が進行している。本稿では,統合コントローラ「MICREX-SX シリーズ」を利用した富士通(株)のLONWORKS対応ビル管理システムの開発,納入事例およびその標準化手法,ならびに適用商品を紹介する。
宮宗 潔・川浦 正人
プログラマブルコントローラ(PLC)のアプリケーションソフトウェアで温度制御を行うシステムについて紹介する。PID制御用ソフトウェア部品を使用した標準的なPLCハードウェアによる温度制御システムを紹介し,グループ会社である富士電機インスツルメンツ(株)で開発している盤内収納型温度調節計(「MICREX-SXシリーズ」をプラットフォームとしている)を併せて紹介する。
福住 光記・高橋 秀夫
高速,小型の統合コントローラ「MICREX-SXシリーズ」の多彩なプログラム機能,豊富な周辺装置を活用して,高速アナログデータ収集システムを構築した例を紹介する。また,高速アナログデータ収集システムの構成と特徴,システムの適用例についても説明する。
木内 恒夫・丸林 雅美
地球環境保護への関心の高まりや,省エネルギー法の改正・強化により,業種を問わず電力エネルギー使用量の削減に向けて,一段と強化した取組みが求められている。本稿では,このような背景の中で電力監視システムを導入する際のインタフェースや計測信号の多様なユーザーニーズに対応するために,コントローラを適用した電力監視システムを紹介する。
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注
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