富士時報
第82巻第2号(2009年3月)
特集 ドライブと電源技術
奥野 嘉夫
富士電機システムズ株式会社取締役ドライブ事業本部長代理
保坂 忍, 伊藤 伸一
現在、省エネルギー、環境ニーズを中心としたドライブ・電源ソリューションへの期待が世界中で高まっている。富士電機ではこのニーズを取り込み、ドライブ事業を注力事業分野として中期戦略を策定した。ドライブ事業においては、産業・社会ソリューション、輸送ソリューション、エネルギー・環境ソリューション、コンポーネントの4 つをターゲット分野とした。顧客視点への事業構造の見直し、システムソリューション事業の強化、世界トップレベルのコンポーネントの提供により、事業の拡大を図ることとしている。
中村 一夫, 笹川 清明
パワーエレクトロニクス機器は、家電機器から産業・社会インフラまで幅広い分野に浸透し、省エネルギー、生産性向上、電力エネルギーの高度利用に貢献している。富士電機は、幅広い分野、用途に特徴ある製品群を提供するとともに、市場ニーズをとらえた魅力ある次世代製品を提供するため、電力変換回路技術、制御技術、電力機器技術の基盤技術の強化とパワーエレクトロニクスプラットフォーム構築のためのパワーエレクトロニクスの要素技術開発を進めている。
西郷 宏治, 山衛守 貴博, 中川 雅之
富士電機では10 kVA(400 V 級)から10 MVA(3.3 kV 級)のドライブ装置をそろえている。サーボシステムを含めたドライブシ ステムとして、産業・社会分野の産業プラントの製造プロセスで要求される高精度な速度制御、揃速(せんそく)性、トルク制御、高速応答性に対応している。電源装置では、瞬時電圧低下・停電などの信頼性向上が求められ、高圧大容量瞬低対策装置を提供している。
井上 亮二, 尾崎 覚, 藤田 昌孝
日本全体のCO2排出量の20%を占める運輸部門の中で、鉄道や船舶はエネルギー効率が高く地球環境に優しい大量・高速・安全かつ経済的な輸送手段である。富士電機は輸送ソリューションとして、省エネルギーと環境の市場ニーズを先取りした研究開発を積極的に推進し、社会に貢献できる鉄道車両と船舶用のドライブ・電源技術としてのパワーエレクトロニクス製品やサービスを提供している。
安東 圭司, 松原 正剛, 軽部 邦彦
富士電機はパワーエレクトロニクス技術でエネルギー・環境分野の省エネルギーソリューションを提供している。例えば、インターネットデータセンター(IDC)では、無停電電源装置(UPS)、サーバなどIT 機器の内蔵電源回路の高効率化だけでなく、空調関連設備の省エネルギーの提案もしている。産業分野ではエレベータ向けの省エネルギーをはじめ顧客ニーズを満足する非常用電源を提供している。自然エネルギー分野では、太陽電池向けの高効率パワーコンディショナによる省エネルギーで環境に貢献している。
酒井 利明, 奥田 善久, 鉄谷 裕司
汎用インバータは、ファン・ポンプ、搬送装置、昇降装置、工作機械など幅広い産業分野に適用され好評を得ている。CO2 削減のためのさらなる省エネルギー化、機械装置の安全性向上、搬送装置への適用範囲拡大などの要求に応えた新たな製品をラインアップしている。またサーボシステムでは、単に性能重視だけでなくトータルシステムのコストダウン、シンプルなシステム構成、使いやすさおよび開発・セットアップ時間の短縮に応えた新たな製品を開発した。 適用事例についても紹介する。
中原 泰男, 土平 啓文, 岩崎 哲之
ドライブシステムは技術革新や新製品の提供スピードが速い。富士電機はこの変化に迅速に対応できるアフターサービス体制を築いている。強電部品と電子部品の組合せからなるドライブシステムが安定して長期間稼動できるようにワールドワイドサービスネットワークを提供している。このサービスは部品供給管理システム、顧客情報管理システムおよびリモート監視システムからなり、インバータの診断、回転機絶縁診断、回転機振動診断などの予知保全技術と組み合わせてライフサイクルサービスとして提供している。
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注
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