富士時報
第60巻第12号(1987年12月)
プログラマブルコントローラ MlCREX-F特集
吉田 昌弘,梅里 泰正
富士電機のプログラマブルコントローラであるMICREX-Fシリーズの開発戦略、製品体系、今後の課題について述べた。開発のポイントは体系化されたコンポーネントと強力なネットワークによるフレキシブルな自動化システムの実現と、ソフトウェア開発環の強化にある。今後はネットワークとソフトウェアの国際的コンパチビリティが重要になるが、前者に対してはMAPの製品化を急ぎ、後者については、自ら開発した関数型中間言語をベースにして、コンパチビリティのあるソフトウェア生産システムを開発していく。
野尻 裕昭,中島 千尋,武井 孝憲
MICREX-F500は、コントローラ機能からマンマシン機能までをもつFシリーズの最上位機種である。F500は開発の基本をオープンアーキテクチャの実現におき、ハードウェアに国際互換性をもたせ、マルチプロセッサによる制御と管理の一体化、中間言語採用によるフレキシブルなソフトウェア表現、多重化システム構成などの特長をもつコンポーネントを提供する。F500は従来のプラント制御分野への運用のほか、トータルFAシステムの基本コンポーネントとして、分野別制御システムの素材として製品展開する。
田中 春樹,吉田 裕,石橋 景二
プログラマブルコントローラ(PC)の発展に伴い、様々なプログラム表現法が実現されてきた。しかし、いずれも機械語との対応で機種依存性があり、プログラムの互換性は保証されていない。今回、PCプログラムの可搬性を高めることをねらった言語FCL(Function Control Language)を開発した。FCLはPCのプログラミング言語と機械語との間に位置する中間言語で、関数型の構造を持つ。これにより機種あるいはメーカーを超えてプログラムの作成や利用ができ、プログラムを共通の財産として蓄積できるようになる。
橋本 親,林 則夫,田中 貢
FAの普及に伴い、PCに対し一層の高速性、高信頼性及びシステム構築の柔軟性が望まれている。MICREX-F200シリーズは、これら要望を実現するために以下の機能拡充を図った。
(1)入出力の応答性を向上するための直結形P10ユニットの開発
(2)信頼性を向上する二重化(デュープレックス)システムの開発
(3)既存のシステムとFシリーズを接続するPリンクインタフェースの開発
本稿では、これらの概要を紹介した。
菊地 洋,佐藤 勇昇,高橋 裕幸
MICREX-F120シリーズは、既存機種であるF100シリーズとF200シリーズの補間機種として、高速化、メモリの拡大、命令の追加を行い、更にTEST機能、二重化機能を備えた高速、高機能な中規模PCである。FPK120、FPK125、FPU120の3機種があり、いずれもTリンクインタフェースを標準装備している。更にFPL125はPリンクインタフェース機能を、FPU120は直結PIOバスインタフェース機能がある。本稿ではF120シリーズについて紹介した。
小泉 浩治,西岡 勝,吉川 和男
MICREX-F80/F81シリーズは、MICREX-Fシリーズの中位プロセッサF100シリーズの下位機種である。PIOモジュールを一体化したFPU80、FPU81、独立分散型のFPK81の3種類があり、いずれもアプリケーションプログラムメモリを内蔵し、各種PIOを接続するためのTリンクインタフェースを備えている。また、専用LSIの採用による高速性とリモートPIOによる省線化により、シーケンス制御を主体にした自動化ラインの制御に最適である。
青山 豊,石井 靖
プログラマブルコントローラ(PC)MICRE-Fシリーズは、FA、FMSを志向した分散制御・階層化構成に効率よく対応できるため好評を得ている。MICREX-F30/F50シリーズは、シリーズの下位機種として、設計思想・アーキテクチャを同一にして開発、商品化された。高速処理、高機能及びネットワーク対応など、上位機種の特長を受け継いだコストパフォーマンスの高い汎用小形PCである。本稿ではF30を中心に、その特長、仕様などを紹介した。
小泉 浩治,山崎 俊之,田中 貢
MICREX-FシリーズのPIOには、Fシリーズネットワーク(F-Net)のTリンクに結合するカプセルタイプと、ベースボードに複数個装着するモジュールタイプとがあり、多機能化、独立分散化に経済的に対応できるので好評を得ている。
一方、多様化、高度化する要求にこたえ、広範囲な用途に適用できるよう、現行品の改良、多点のDIOをはじめ、AIO、高速カウンタ、パルス入力などの機種を豊富に開発して系列に加えた。
野尻 裕昭,手嶋 敬三,林 則夫
プログラマブルコントローラ(PC)が実用化されて十数年を経過するが、この間高機能化が進み、その適用範囲は飛躍的に拡大し、いまでは制御システムのキーコンポーネントとして中心的な地位を占めている。これに伴い、PCの評価基準も「高性能」と合わせて「信頼性の高いシステム」が重要な要素となっている。高信頼性システムへの対応としては多重化システムの構成が一般に知られているので、富士電機の新世代PC MICREX-Fシリーズを使用した多重化システム構成例を紹介した。
新居 俊夫,濱田 明秀
MICREX-Fシリーズの高機能ローダとしてD20は様々な分野で利用されてきた。その結果、市場から多くの要求が出され、今回これに対応すべき大幅な機能拡張を行った。
ハードウェアではシステムメモリの増大、液晶表示器の機能向上ソフトウェアではドキュメントでの範囲指定、使用状況一覧表の画面表示、印字速度の高速化、接点使用リスト、二重書チェック、データ領域の保存、F120への対応を行った。
井城 元栄
FA、FMSラインの発展に伴い、PCが普及してくると、PCプログラムの設計、作図作業が大きな割合を占めてくる。このようなもとで効率的、省力的に設計、作図するシステムとして開発されたのがPC-CADである。
仮名漢字を用いることができ、強力な編集機能、会話方式による対話プログラミング、MICREX-Fへのプログラム入力、入出力図作成、プロッタによる図面作成など豊富な機能でPCプログラムの設計が可能になっている。
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注
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