富士時報
第61巻第10号(1988年10月)
電磁開閉器特集
高松 巌,村山 功,山崎 誠
汎用制御機器の市場は、FA化の需要に応じて、電子化機器を中心に大きく躍進をしている。電子化機器は、マイクロエレクトロニクス技術の適用によって、小形化・高機能化し、大きく変貌しつつある。これに関連して、電磁開閉器も電子化機器との整合が求められ、市場ニーズが多様化している。これにこたえるため、次のねらいで小形電磁開閉器新SCシリーズを開発した。(1)多様化するニーズへのフレキシブルな対応、(2)仕様の国際化と高性能化、(3)電子化関連機器との適用上の整合、(4)使いやすさと安全性の追及。
広田 耕人,高橋 明博,山口富貴夫
コンタクタは電動機制御や電気信号の制御要素として広範囲に使われている。近年、システムの複雑化、高性能化に対し、コンタクタには信頼性、保守点検性の向上や、長寿命、多用途対応への高機能化などの要求が強まってきている。今回開発した新SCコンタクタは、長寿命、高機能、使いやすさの向上などを追求した製品で、主な特長は次のとおりである。(1)電気的長寿命(AC 3級 200万回以上)、(2)高信頼性補助接点(DC 5V 3mA適用可能)、(3)保守点検容易、(4)豊富なオプションで多機能化へ対応、(5)世界の主要規格に標準で適合。
古川 国幸,大岳 成明,笠原 廣敏
補助継電器は、多接点で接点構成が豊富、高電圧回路に適用可、取扱いが容易などの特徴から、制御回路に多数使われている。近年の制御分野の電子化、システムの複雑化、高度化に対し、補助継電器には接触信頼性向上、多用途対応への高機能化、使いやすさの向上などの要求が強まっている。今回開発した新SHシリーズは、これらの要求にこたえた商品で、主な特徴は次のとおりである。(1) 接触信頼性を一段と向上(DC 5 V 3 mA適用可能)、(2) 豊富なオプションユニットで多機能化へ対応、(3) 使いやすさを向上、(4) 世界の主要規格に標準で適合。
秋池 勝美,大上 聡克,千田 文雄
サーマルリレーは、電磁接触器と組み合わされ、電動機の焼損保護機器として、各種設備の自動化・省力化機器とともに広く用いられている。近年では生産システムが複雑化・大規模化しており、電動機の故障がシステムに与える影響が大きく、保護の信頼性をより向上させることが望まれている。このような市場ニーズに呼応し、多年の経験を基礎に、保護精度の向上、高信頼性1a1b接点の採用、幅寸法の縮小化、各種機能の追加、豊富なオプションユニット、などの新小形サーマルリレーを開発したので、その概要と特長を紹介する。
内田 一海,富岡幸太郎,石原 三男
新SCシリーズ電磁開閉器は、多様なニーズにこたえ、構造・性能面での改革と各種オプションによる多機能化により、よりワイドな適用を可能とした。今回、ワンタッチで2極・4極の補助接点が増設できる補助接点ユニットをはじめ、寿命カウンタユニット、主回路サージ吸収ユニット、コイルサージ吸収ユニット、コイル駆動ユニットなど豊富なオプションの開発を行った。
更に、可逆形、機械ラッチ形などの応用機種についてもユニット化により流通・調達面での改良と系列の充実を図った。
市川 治雄,中村 豊,河原木 豊
高効率の有極電磁石(永久磁石内蔵)の採用により、低消費電力コイルを実現したSJ-0G形高感度コンタクタは、プログラマブルコントローラ(PC)や電子式検出機器などの半導体出力で直接駆動が可能であるとともに、数々の特長を有しているので、発売以来好評を得ている。
今回、基本形に加えて、(1) 可逆形、(2) 補助接点追加形、(3)動作表示灯付、などを開発し、シリーズ化した。
本稿では、これらシリーズの概要とその特長について紹介する。
清水都美雄,糸賀 一穂,武内志乃夫
開閉部に半導体素子を利用したソリッドステートコンタクタ(SSC)SSシリーズは、昭和60年発売以来、高頻度開閉、長寿命、無保守化などの特長を生かし、電動機やヒータの制御に幅広く使用されている。この度、市場要求の強いSSCとして、小容量形(200V 8A)と故障検出機能内蔵形(200V 20~40A)を新たに商品化した。
また、オプション品として、ヒータの電力制御に最適なサイクル制御方式を採用したパワーコントロールユニットを商品化したので、本稿ではこれらの概要とその特長について紹介する。
星野 定雄,日向 正光,小松 健二
電磁開閉器の寿命は、負荷開閉、通電による本来機能を遂行していく過程で被る電気的・機械的ストレスと長期にわたる設置、使用状態において受ける環境ストレスによって限界に至る。実使用上は、これらの要因がからみあっており、劣化のメカニズムは非常に複雑である。適切な保守点検を実行することは、有効製品寿命を延ばし、設備の信頼性向上のために重要である。本稿では、使用環境に対する選定、運搬・保管・保守上の主要項目となる接点、鉄心及びコイルの保守点検について説明する。
清水都美雄,月花 正志,柴田 勝美
プリント基板用リレーは、(1)入力―出力間の絶縁性、(2)接点オンオフ時の抵抗比、(3)耐ノイズ性、(4)コストなどにおいて優れ、これらの長所を生かしつつ半導体部品との共存化が進んでいる。各種装置の高性能・小形化が進む中で、リレーにも小形化、高感度化、入出力の高い絶縁性などの要求が高まっている。今回開発した超小形カードリレーはこれらのニーズに対応したもので、主な特長は、次のとおりである。(1)小取付面積20mm×5mm、(2)小消費電力120mW、(3)入力―出力間の衝撃波耐電圧4.5kV、入力―出力間結合静電容量1.4pF。
久米 秀男,西尾 三男,只野 伸
エレクトロニクス技術の急速な進歩により、各機器は高性能化、高度化、複雑化し、マンマシンインタフェース機器としての操作機器、表示機器の重要性はますます高まってきている。このニーズに対応すべく、操作機器においては接触信頼性の高いコマンドスイッチ、カムスイッチを開発した。また、表示機器においてはデーダの表示が可能なデコータ付数表示器、そして人間の聴覚に訴えるブザーを開発した。併せて、高機能化志向として、コマンドスイッチの集合体ともいえるフラットコマンドボードの動向を紹介する。
林 英雄,中井 郁穂,中野 昭三
各種の設備や装置の高機能化・複雑化の進む中で、機器や回路は電子化とともに多様化している。サーキットプロテクタ(CP)は、各種用途に合ったものが望まれている。
今回開発したCR-R形は、主にOA分野への適用をねらったものであり、電源スイッチ兼過電流保護器として最適である。ロッカ操作方式で超小形、高い信頼性、欧米規格の認定取得、及び豊富なバリエーションの特長がある。
本稿では、商品の特長、仕様及び適用について紹介する。
鹿野 俊介,福田 雅臣,神事 健彦
富士リモートターミナルは、工場、ビル設備などにおける監視・制御レベルの信号伝送機器であり、これを用いることにより配線工事の合理化、システムの簡易化、フレキシビリティ化などを実現できる小形、高性能な信号多重伝送装置である。
豊富な機種、幅広い適用性により、現在、多方面において多く採用されているが、更に拡大する市場ニーズに対応して機種拡充、拡大を行っている。ここに、標準リモートターミナルとともに新開発機種を紹介する。
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注
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