富士時報
第62巻第2号(1989年2月)

特集論文

放射線機器特集に寄せて

片瀬  彬

放射線機器の現状と展望

山口 清治

放射線機器の現状と展望を、日本電気計測器工業会の放射線機器機種別売上高中期予測を基に、総合機器、モニタ、応用計測器について、現状の技術と今後の技術動向について述べる。
特に1987年度の低調が響き、189億円程度にとどまったが、1988年度から回復基調となり、1991年度には280億円を予測しており、モニタを中心としたコンピュータシステムの大形化が考えられる。

放射線検出器

吉田 義輝,鈴木 敏和,武永 雄二

原子力発電所などにおける各種の放射線モニタや測定器に用いる検出器は、全面的に富士電機で製作している。これらに関し、近年開発したものを中心に原理,特徴、使用目的,仕様、試験結果などに関し概説する。加圧式γ線用及び通気形β線用電離箱、3He及びBF3中性子用比例計数管、ガスフロー式大面積β線検出器、GM計数管、大面積プラスチックシンチレーション検出器、そしてSi半導体検出器としてポケット線量計用、サーベイメータ用、エリアモニタ用、そして大面積β線用及び中性子線用のものについて記す。

放射線測定器

長瀬 由幸,山村 精仁,増井  馨

放射線測定器は、各種放射線検出器を内蔵したサーベイメータなどの測定器類と、検出器と切り離し、独立して各種の信号処理を行い、結果を指示 表示する受信計器類(放射線モニタ用モジュールなど)に大別できる。
本稿では、上記の各機器の構成と特長を述べるとともに、最近開発した光ファイバ採用の新放射線モニタ機器についても紹介する。

放射線モニタ

田中 春夫,清瀬 三郎,古賀 啓介

原子力発電所をはじめ、放射能・放射線取扱施設などにおける放射線防護の基本は、これらの原子力施設で働く作業者及び周辺公衆が、施設の運転に起因する放射線被ばくから、十分安全に防護されるように運転を管理し、かつ必要な対策をとることであるといわれている。ここでは、被ばくの評価及び管理に使用される放射線モニタを、プロセスモニタ(放出管理モニタ)、作業環境モニタ、周辺環境モニタ、に大別して、その代表例をそれぞれの簡単なシステム系統図を添えて、その構成と仕様について紹介する。

汚染測定装置

武智 俊明,柳嶋 良平,小林 裕信

原子力発電所などにおいて、放射性同位元素による人体及び物品の表面汚染検査に使用されている測定装置の中で代表的なものに、体表面モニタ、物品モニタ、ランドリーモニタがある。最近ではマイクロプロセッサを組み込み、CRTによる使用手順説明や故障診断機能、各種のデータ処理機能を持ち、高感度で使いやすいものになってきた。ここでは、これらのモニタに加え、体内沈着量を測定するホールボディカウンタ、肺モニタ、サーベイメータなどの校正に使用する校正装置のシステム構成、性能、機能などについて紹介する。

放射線管理システム

青木 勝則,三保谷英一,千木良 誠

原子力発電所では、厳重な放射線管理が実施されており、その業務は多岐にわたり、取り扱う情報は膨大な量になることから、業務の省力化が求められている。
本稿では、原子力発電所における「放射線管理業務の総合自動化」を目指した、スーパーミニコンピュータ2台による大規模集中管理方式の放射線管理システムの構成、処理について紹介する。

普通論文

イメージディスプレイ FIIDシリーズ

岡  昌彦,井川 喜裕,中谷 充良

FIID (Fuji Intelligent Image Display) シリーズは、モノクロ及びフルカラー濃淡画像を効率的に処理、表示する画像処理ディスプレイシステムである。
本稿では、今回新たに開発したFIID-12BL (モノクロ用)及びFIID-24BLT(フルカラー用)について、開発の背景、ハードウェア及びソフトウェアの概要、特長、実際の応用などについて紹介する。

産業用高機能カラーグラフィックディスプレイ

堀池 秀生,小山  深

制御システムでは、従来から運転状態の監視などにグラフィックディスプレイが重要な役割を果たしてきた。一方、制御システムは、制御対象や運用形態の多様化に伴い、ますます高機能化しつつある。このような制御システムを効率よく運転するためには、従来にも増して操作員が多量の情報を手際よく処理できるマンマシン装置が必要とされている。本稿では、こうした要求に応じて開発された高機能カラーグラフィックディスプレイFIVC-800について、その特徴、機能及びソフトウェアサポートについて概説する。

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